表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/28

第19話 午後実習⑯ 御経塚・魔物進軍掃討戦①

 第19話 午後実習⑮ 御経塚・魔物進軍掃討戦


 迷宮ポーターの景色がガラリと変わる。

 ここは別世界。ずぶの素人の僕が、どういうわけだか戦場にやってきた。


 見渡す限り、すべてが赤い。

 焦げた匂い、遠くの爆音、足元を震わせる衝撃──胸の奥がひゅっと縮む。

 到着した瞬間から、怒号が飛び交っていた。ほら、目の前からも。


「もたもたすんな。あとが支えてるんだ。はやく退きやがれ」


 年配の探索者に背中を押され、僕は慌ててポーターから離れる。

 十秒もしないうちに担架が運び込まれ、魔法陣が光り、傷病者は消えた。


 ポーター周辺は重傷者で溢れ返っている。

 早く離れなければと思うのに、赤く染まった死の風景に目が奪われた。


 鬼塚さんが言っていた“赤化”。

 魔物生息数が一定値を超えると、大地も草木も建物も赤く染まり、

 石碑が完全に赤くなったら魔物進軍が本格化する──

 新人実習で聞いた説明とは、やはり迫力が違う。


 これが……魔物進軍掃討戦モンスターパレードウォーの世界か。


 丘の中央に立つ石碑は、空から突き刺さったような細長い岩で、いまは完全に赤く染まり切っている。その周囲を、十四基の小型石碑端末が円形に取り囲んでいた。


 灰色迷彩服の受付嬢たちが、緊急オペレーターとして走り回り、

 十四基の迷宮ポーターは絶え間なく光を放ち、探索者を送り出し続けていた。


 フェアが居るからと、だいぶん舐めてた。

 焦げた匂い、遠くの爆音、足元の震動が、戦場の現実を叩きつける。

 当然、小市民の僕だから、喉が乾くし、手が汗ばむし、足が竦みそうになる。

 冷静な判断をするためにもまずは、いまの状況を受け止め、深呼吸を何回か繰り返し、不測の事態にも対応できる様に、頭の中で最悪のケースをいくつか並べておくとしよう。


 そこに。


「翔太、ボーっとしてないで、早く行きましょ」


 何故か、表情も柔らかく笑みを浮かべる小恋路からも急かされる。どういうことか、小恋路はそれほど緊張して無さそうな、寧ろ、何だかウキウキしてる様にみえるのは何故なんだろう?


(そりゃあ、翔太様が小恋路ちゃんを大事に思ってて、バディーみたいな関係を望んでるからに決まってるじゃないですか~?)


(てことは、小恋路に何かした?)


 フェアは、まるで悪戯を自慢する子供のように声を弾ませた。


(はいデス~。本人了解の上で~、フェアの複製体を一人、小恋路ちゃんに憑依させちゃいました。フェアの八十パーセントの出力ですが、こんな雑魚迷宮~、いまの小恋路ちゃんだったら、一人で十分すぎるです~)


(じゃあ、僕、帰っていーい)

(無理デース!!)


 流石はフェアさん。

 こんな緊張感漂うような危険地帯でも、ほんわか雰囲気は揺るがなかった。

 このまま僕の癒しに付き合ってもらえると、恐怖心に心を焼かれずに、このまま踏みとどまれる。だから、この調子でお願いします。


 さてさて、改めまして。

 魚津ダンジョンの迷宮ポータルから、御経塚ダンジョン十階層へ転移してきた。

 ギルドGメン七名に新人五人、それから保護者一名。

 ついでに契約妖精一名を加えた総勢十四名が、戦場ど真ん中に放り込まれた。


 御経塚ダンジョンは、縄文時代にタイムスリップした、又はその時代をまるっとコピペした仮想ダンジョンのようだった。草原と森の中に、縄文時代の竪穴式住居の集落が平地の至る所に点在する。天気は晴れ、季節は春先、気温は温かすぎず寒すぎず。

 普段だったら、自然豊かな景観が広がるこの十階層。今はここが主戦場となっていて、草木も竪穴式住居も、木の柱を並べて築いた即席の防御壁も全てが赤い。


 この混雑した場から抜け出そうとしていると、急遽設置された掲示板が目に入る。


 そこに書かれている情報を瞬時に見分けると、既に十九階層から十一階層にかけての小型石碑は全て破壊され、ここが最前線の主戦場だとはっきりと告げていた。


 周囲の探索者たちに紛れ、足を止めずに黒田さんの手信号に従っていると、大勢の土魔法使いたちが、ヘロヘロになりながら、土壁を築いている様子を視界に収める。


 その土壁の上に昇った弓使いたちが、石碑に近づかせないよう必死に、ゴブリンや人馬に狙いを付けて矢を射る。


 木魔法使いたちも同様に、即席木製の櫓を造り、そこにも弓使いたちが詰めかけ、人馬兵に矢を射続ける。


 そうした生々しい戦場の気配が立ち込めるなか、ずっと同じ場所に留まり続ける危険性を、素早く身振り手振りだけで指示していた黒田さんだったが、ついにその重い口を開く。


「一旦、安全と思われる場所に身を隠し、周りの状況を伺う。移動するぞ。ついてこい」


 全員揃って、迷宮ポーターからある程度距離を保ち、即席の避難場所と思しき場所までたどり着く。その場で全員腰をかがめ身を潜めると、


「どうだ、朝倉君。エラー表示はどうなったかね」


 とうとう待ちきれずに声を掛けた黒田さんは、だいぶん大きな期待を込めた眼差しで、僕の顔を見詰めている。


 視線が痛い。痛すぎる。

 こんな誠実な大人を騙すなんて心が張り裂けそうだ。

 だけど、ここで立ち止まっていたら、本当に誰かが死ぬ。

 流石に、いまさらどうしようかと悩む段階は過ぎ去った。


 僕の為とおもんばかって、その本人にすら内緒で様々な裏工作に励むフェアさんだけど、いまや小恋路にまでその触手を伸ばし始めている。小恋路も巻き込まれてもいい、みたいな表情をしているし、もうそれでいいかと思うことにした。


 好きな女の子に守られるのは、正直ちょっと苦い。けれど、そのちっぽけなプライドはもう捨てた。小恋路が前に進むなら、僕はその隣に立つだけだ。


「あ、エラー表示が消えました」


 いかにもステータスウインドウを眺めているふうに装っているけど、これ全部演技だ。……とはいえ、ちょうどいい機会でもある。フェアさんに大分ステータスをいじくられてから、一度もちゃんと見ていなかったし、この際だ。観てみよう。


(ステータスオープン!!)

 ----------------------------------

 ■ステータス

 名前:朝倉翔太(15)

 種族:人間 

 属性:【卵】【迷宮】【光】【闇】【命】【無】【霊】【空間】

 ジョブ①:卵売りの商人(リトルエッグセラー) Lv.1⇒3UP

 ジョブ⑧:妖精術師(フェアリーメイジ) Lv.1

 ジョブ⑨:迷宮商人(ダンジョンディーラー) Lv.1

 ジョブ⓾:迷宮術師(ダンジョンメイジ) Lv.1

 生命力:30 ⇒ 250

 魔力総量:∞ 

 基礎体力:60 ⇒ 280

 基礎魔力:1650 ⇒ 1870 

 筋力:18 ⇒ 238

 器用:30 ⇒ 250

 敏捷:22 ⇒ 242

 運:100 ⇒ 104 

 SP:(parameter):1000 ⇒0

 SP:(job):100 ⇒ 0

 SP:(skill):100 ⇒ 0 

 DP:0 ⇒ -8,650,000,000,000

 スキル:卵生成 Lv.1/卵BOX Lv.1⇒4/迷宮卵 Lv.1⇒41/精神防御 Lv.1〈NEW〉/精神障壁 Lv.1〈NEW〉/精神干渉耐性 Lv.1〈NEW〉/憑依耐性 Lv.1〈NEW〉/妖精召喚 Lv.1〈NEW〉/購入 Lv.1〈NEW〉/

 ----------------------------------

「す……すごい――……」


(――DPの借金総額が……な……な、なんじゃこりゃー!! フェア、どういうこと?)


 多分、みんなには、僕がとんでもないレジェンドレアスキルを引き当てたと思うくらいに、ものすごい表情をしているように見えていることだろう。


 実際の僕の魂の顔は、ム〇クの叫びそのものなんだけどね。


(わたし知らないですー)


 僕の肩に透明化した状態でチョコンと座っていたフェアは、急いで僕の身体の中に憑依して逃げたけど、それ逃げてないからね。そして、これまで憑依する度に凄い苦痛に見舞われてきたけど、いまはそれを全く感じないんですが……もう、この子どうすればいいんだろう? 後で、小恋路に相談することが増えた。


「よし、これで魔物進軍掃討戦モンスターパレードウォーの勝ち目がみえてきたぞ。済まないが朝倉君、そのスキルを試して貰えないだろうか? もしもバフ系だったら、わたしが実験台に志願してもいい」


 黒田さんは、もうすっかり勝利を確信した目になっている。


 その黒田さんを尻目に小恋路に視線を向けると、‟わたしとバディー組みたいんでしょ”と心の声が突き刺さる。


 僕は素直に「うん」と頷くと、小恋路の表情が崩れた。


 そのまま手のひらを小恋路に向けると、‟これでいいんでしょ。あとの演技宜しく”と言う幼馴染同士では当たり前のアイコンタクトでやり取りする


「あ、凄い。力が漲る感じがします……」


 実際、凄い。魔力の密度というか、空気そのものが一段階重くなった気がする。


「おお……!!」


 小恋路のアーツ――『姫武装』を初めて見たけど、魔素が実体化して白銀の姫鎧となり、彼女の身体に吸い付くように装着された。その瞬間、白いオーラが陽炎のようにゆらめき、赤い世界の中でそこだけ“別の色”が灯ったみたいに見える。


 大げさかもしれないが、戦場に降り立つ『戦神の使徒』という言葉が脳裏に浮かぶ。


 丁度その時、視界の奥で大きな土煙が上がる。

 土壁の一角が、何かにぶち抜かれたように崩れ、そこからヌルリと銀灰色の巨体が姿を現した。


「――竜トカゲが何でいるんだよ。もう、前線が崩壊したのか」


 思わず声を荒げたのは、黒田さんの指揮下に入っている若いギルドGメンスタッフだ。


 正式名称は――リザードドラゴン。


 コモドドラゴンを何倍にも引き伸ばし、胴体を持ち上げたような半二足歩行。頭には鹿みたいな角が二本、いやらしく湾曲して生えている。鼻息ひとつで赤い土煙を巻き上げる、全長十メートル超えのトカゲの化け物――


 その巨体が、さっきまで魔法使いたちが必死に積み上げていた土壁も、木製の櫓も、玩具みたいに叩き潰しながらこちらへ向かってくるのを見た瞬間、周囲から一斉に悲鳴と怒号が上がった。


「応戦するぞ。赤槻君と新人たちは、この場で待機。朝倉君は後方からバフを頼む。Gメンスタッフは俺に続け」


 僕は黒田さんの言いつけを守り、飛び出していったGメンスタッフにバフをかけることにした。


 ただし使うスキルは、一つに絞る。卵生成スキルでバフを与える。


 すぐさま僕の思考を読み取ったフェアが、作業をさせることもなく、完全自動で動き出した。


 フェア特製モリモリバフ卵生成。


(任せてくださいデスよ~。ちょっとだけ盛っておきますね~)


 効果は、『ステータスパラメータ十倍』、『スキル威力二倍』、『魔法威力二倍』、『再生Lv30』、『自動生命力回復Lv30』、『自動魔力回復Lv30』、『ジョブ取得経験値十倍』、『スキル取得経験値十倍』、『取得SP十倍』、『バフ効果一時間』。


(……いや、もりすぎだろ)


 僕の心のツッコミなんてお構いなしに、そんな頭のおかしい効果の卵が、瞬きする間に人数分生成され、宙にぷかぷか浮かび上がる。


 出来上がるや否や、フェアが照準を合わせて、前に出ているギルドGメンスタッフに向けて卵を投射した。


 前に出ている全員の背中に命中する。刹那、白い陽炎の煙のようなエフェクトが立ちのぼり、バフが掛かったことを告げた。


 それを目の当たりにしたマリアが、「え……一瞬でたまご?? たまごが空を飛ぶって、これが朝倉はんのスキルでありんすか?」とぽかんと口を開ける。


 上杉が額に手を当てて小さくため息をついた。

「……新人のスキルの範囲、完全に超えてる気がするんだが」


 そこで小恋路が翔太に声を掛ける。

「わたし、せっかく注目を集めたのに、置いてかれてるんですけど……わたしも混ざってきてもいいかな?」


「そんなの、駄目に決まってるでしょ。小恋路にバフをかけてもレベル1じゃ、推定レベル28の竜トカゲに蹴散らされるの、分かってる?」と僕。

 実際は小指一本で倒せることを知ってるけど、それをやったら、今後、小恋路の扱いがどうなるのか、言わずと知れたこと。なので却下。


「じゃあ、後方から支援する。それだったらいいでしょ。ねえ、お願いだって、翔太」

 小恋路が、さっきまで戦場のど真ん中で注目を浴びていたとは思えない顔で、上目づかいに懇願してくる。


「だったら、俺も後方から支援してえ。一回でも戦闘に参加すれば、経験値もらえるんだったろ。こんな美味しい機会、滅多に回ってこないぜ」

 武田は、今にも飛び出しそうな勢いで武器を握り直した。


「待て待て、こっちにヘイトが向いたらどうするんだ」

 上杉が眉間を押さえながら、現実的なツッコミを入れる。


「小恋路も自重してくれよ。小恋路の身に何かあったら、父さんと母さんに顔向けできないだろ」

 優斗兄さんは、妹とその隣の僕とを見比べながら、シスコン全開で眉をひそめた。


「ちょっと、いまは危険が迫ってるんだから、気を引き締めなさい。黒田先輩だったら、あんな竜トカゲ、いちころだから。そのまま黙って屈んでなさい」

 赤槻さんが、治療杖をぎゅっと握りしめたまま、一同を一喝する。


「いちころでありんしたら、その前に一撃だけ入れさせてくれてもいいでありんせんか」とマリアが、場の空気を読んでいるのか読んでいないのか分からない調子で口を挟んだ。


(じゃあ、フェアがみんなの希望にそって適当に引きつけますね)


 能天気な声が頭の中に響いた次の瞬間、止める間もなく、僕のステータスからDP借金額がまた増えた。


『ウッドガーゴイルを取得しました』

『ウッドゴーレムを取得しました』

『卵生成スキルにウッドガーゴイル・ウッドゴーレム情報を登録しました』


(フェア、ステイ、ストッ……)

 心の中で悲鳴を上げる間に、新たな特殊卵が十個、宙にふわふわと浮かび上がっている。


(もう、ここまでやったら、今さら後には引けません~、なので、パパっと済ませちゃいますね~)


 という念話が届くと、超強引にことを進めようとするフェアは、僕が注意をうながす前に、その卵を投射した。


 三個の卵は、黒田さんの目線と変わらないくらいの高さで高速で飛び、黒田さんたちを追い越し、竜トカゲ手前で孵化する。


 卵が弾け、そこから光の粒子が噴き出してくると、その束の間に具現化した大量の魔素が集積し、あり得ないほどのスピードで巨大なゴーレムの姿形に寄せていく。


 それが三体だ。

 地面がめりめりと沈むほどの質量を持ったその巨体に、思わず乾いた笑いが漏れた。


 残りの七つの卵は天に向かって投げられ、こちらも卵が弾けた次の瞬間には、ウッドガーゴイルが宙を舞っていた。

 羽ばたくたびに大気が震え、赤く染まった世界を切り裂くような鋭い音がして、鼓膜が怯える。


(ああ、やっちゃった……どうすんの、これ。小恋路を世間の荒波から守るとか言ってる場合じゃないよ。まずは自分の未来を心配した方が良さそうだ)


 その事実を生で目撃している赤槻さんからは、「何をしたのか今すぐ説明しなさい」的な強烈な視線を感じるが……


「説明は後でしますから……ガーゴイル隊、竜トカゲを特殊攻撃の蔦で縛り上げて。ゴーレムは力ずくで押さえつけて」


 七体のウッドガーゴイルが一斉に飛びかかり、特殊攻撃の木の蔦でリザードドラゴンの脚をぐるぐる巻きにしていく。

 足を取られて巨体が前のめりに倒れ込んだところへ、三体のウッドゴーレムが自重ごとかぶさるようにして押さえ込んだ。


 もはや、リザードドラゴンは身じろぎ一つするのもやっと、という有り様だった。


 その異様な光景に、前衛にいたギルドGメンたちが一瞬だけ動きを止める。

 黒田さんも、ちらりとこちらを振り返り、僕を見た。


「……朝倉」

 無言の問いかけのような視線が突き刺さる。


「もう動けなさそうなので、みんなに一撃だけ攻撃させること、できますか」

 僕は、できるだけ平静を装ってそう告げた。

 黒田さんは、短く息を吐き、わずかに眉間を押さえる。


 その胸の内では、別の声がこだましていた。

(わたしの想定を超えてきたな……)

(これで預言者の予言は立証できたということか。あとのことを思うと頭が痛いが、ここは大人しく従っておく方が得策か)


 やがて黒田さんは、観念したように小さくうなずいた。

「……後衛、新人。わたしの合図で一撃だけ入れろ。絶対に前へ出過ぎるな」


 僕の返事を聞いたフェアが、すかさず頭の中で声をあげる。

(では、後衛のみなさんにもフェア特製モリモリ卵をお配りしますね~)


「ちょ、待っ――」と言い切る前に、後衛の頭上にも卵がいくつもぽんぽんと浮かび上がった。そのまま、遠慮なく後頭部めがけて直撃していく。


 白い陽炎のようなエフェクトが後衛の背中にも立ちのぼり、ステータスが一斉に跳ね上がる気配がした。


 黒田さんの号令とともに、前衛も後衛も、それぞれ一撃だけを慎重に叩き込んでいく。

 最後に、黒田さんの黒剣がリザードドラゴンの首筋を断ち、巨体が砂煙を上げて崩れ落ちた。


 仲間たちの頭の中に、次々とレベルアップのアナウンスが鳴り響いているようだ。


「やった……!」「嘘、こんなに上がるの!?」

 初研修の仲間たちは、一様にステータス画面を見て歓声を上げていた。


 もちろん、僕のレベルもきっちり上がっている。


『ジョブ:卵売りの商人(リトルエッグセラー)のレベルが12に上がりました』

『ジョブ:妖精術師(フェアリーメイジ)のレベルが10に上がりました』

『ジョブ:迷宮商人(ダンジョンディーラー)のレベルが10に上がりました』

『ジョブ:迷宮術師(ダンジョンメイジ)のレベルが10に上がりました』

『新たにスキル:卵合成をおぼえました』

『新たにスキル:妖精強化を覚えました』

『新たにスキル:販売を覚えました』

『新たにスキル:買取を覚えました』

『新たにスキル:迷宮階層サーチを覚えました』

『新たにスキル:迷宮階層干渉を覚えました』

『パラメーター SPポイントを18000獲得しました』

『ジョブ SPポイントを1800獲得しました』

『スキル SPポイントを1800獲得しました』

『DP ポイントを5000獲得しました』


 そして、その次に続いた一行を見た瞬間、背筋が冷たくなった。


『卵生成スキルにリザードドラゴン情報を登録しました』


(……はい出た。不吉なやつ)

(もしかして、倒した魔物のデータ、全部ストックされていく感じ? これ、本当にチートだよね)


 討伐されたリザードドラゴンの巨体が、黒い煙になって風に溶けていく。

 残された場所に、じゃらじゃらと音を立てて、無数のアイテム素材が降り積もった。


「ちょ、ちょっと待って、量おかしくない!?」

 誰かの悲鳴じみた声が上がる。


 それもそのはずだ。

 フェアの運は、一五五〇。

 アイテム素材の回収率が、とんでもないことになっているらしい。

 通常ドロップはもちろん、レア素材まで重複して地面を埋め尽くしていた。


 黒田さんは、しばし呆然とその光景を眺めたあと、ゆっくりとこちらを振り返る。

「……朝倉。これは、どうすればいい」


 僕は条件反射でフェアに心の中で問いかけた。

(これ、どうするのが正解? さすがにここで次元収納はマズいよね?)


(はい、それはちょっと問題が生じますので~……卵生成で処理しますね)

 フェアは、いつも通りのホンワカ声で答える。


 次の瞬間、今度は「アイテム回収用」とでも言うべき卵がいくつも生成され、地面一面に転がる素材めがけて飛んでいった。


 当たったアイテムは、光の粒子の山に変換され、そのままふわふわと浮かぶ卵に吸い込まれていく。


 しばらくして、フェアが生成した卵を卵BOXに収め終わると、そこには、さっきまで素材アイテムで埋まっていた光景はもうなかった。


 ただ、何事もなかったかのように、更地になった地面だけが広がっていた。


(……やっぱりこれ、本気で扱い方を間違えたら、世界のバランスどころじゃ済まないかもしれない)

(こんなものを手に入れた自分の方こそ、一番気をつけないといけないのかもな)



 応援よろしくお願いします!


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「この後一体どうなるのっ……!?」


 と思ったら


 下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


 何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コメントや評価、レビューよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ