後日談4 優しさの奥にある気持ち
子ども達が寝静まった頃、晴夏は湊のところへ歩み寄った。
「湊…。今日はわがままを聞いてくださって、ありがとうございました。お誕生日なのに、ケーキをほとんど子どもたちに分けてくださって…… 。
一口しか食べられていませんでしたよね。ごめんなさい。クリスマスケーキは大きめを購入しますね」
「別にいい。去年と同じところに事前予約するかもしれないしな。あと数日で予約締切だったか?……その日は遅くなるかもしれないし、前みたいに代わりに受け取って3人で食べててくれ。
……やっぱり、うちの子は2人とも可愛いよな」
湊が冷静に返すと、晴夏は微笑んだ。
「ええ、本当に。湊は、小さい頃はどんな子どもだったんですか?ゆうちゃんみたいでした?」
「あまり覚えていないが、外遊びが好きな典型的な子どもだったんじゃないか?」
(湊も、ゆうちゃんみたいに社交的だったんだろうなあ……)
「ゆうちゃん、沢山のお友達に好かれていると保育園の先生が教えてくれました。海斗ちゃんも、笑顔で周りを癒していると…。自分の子どもだけど2人を尊敬しています。私に似なくて嬉しいです。湊や亡くなった母みたいに、周りを幸せにする子に育ってくれて良かった」
晴れやかに笑う彼女を見て、湊は少し痛々しさを感じた。
「母親として子ども達に真剣に向き合ってくれているから。2人は晴夏を信頼して、のびのびと過ごせているんじゃないのか?」
「え?」
晴夏の手を引き寄せて、優しく腕の中に閉じ込めた。そして彼女の髪を撫でつけるかのように後頭部をゆっくりと撫でている。
(なんで?今日の湊、また優しくなってる……)
晴夏の鼓動は少し速くなった。
(晴夏の過去。あの動画だけじゃなくて、他にも聞いてみないとな……)
「お義父さんは、元気か?」
「はい。定年後も70過ぎまでは働きたいって言ってましたよ」
(明日お義父さんに連絡して、休みが合えば晴夏の実家に行ってみよう)
湊は彼女を撫で続けながら、決意した。
(湊の手。あたたかくて、心地良い……)
晴夏は夢見心地で目を閉じた。




