6 幕間
今回は春之視点です。
「...8時半か」
秋一の事務所から帰ってきた後、準備を済ませ、化物についての調査を進めていた俺だったが、気付いたら寝てしまっていたようだ。俺は床から起き上がり顔を洗いに向かう。
(潜入は4日後か、時間に少し余裕があるな)
俺は目玉焼きトーストを食べながら思案する。
(秋一...あいつは今準備している頃か?)
俺はやや胡散臭さの残る美丈夫な探偵ついて考えていた。
すると突如、家の固定電話が鳴り響いた。
「!...誰だ?」
俺は急いで向かい受話器を取る。
「よう、俺だ」
電話口からは聞き慣れた声が聞こえてきた。
「秋一...いきなりどうした?」
電話の相手は秋一だった。俺達は前もって電話番号を交換し合っていた。
「今から事務所に来られるか?」
「...問題ないけど、何かあったのか?」
「何も、ただ行きたい場所があって、ここからだとちょっと遠いんだ」
「行きたい場所って?」
俺がそう返すと、秋一は告げた。
「権座研究所さ」
「は?何でだ?決行は4日後だろ?」
「そうじゃなくて、下見さ、俺も事前に見ておきたくて」
そういう事か、確かに秋一にも一度見ておいてもらった方が良さそうだな。
「じゃあ、すぐに向かうから待ってろ」
「了解」
俺は電話を切って、コートを羽織り秋一の元へ向かった。
俺が車で事務所の前まで来ると、そこに秋一はいた。
「悪いな、わざわざ来てもらって」
「構わない、乗れよ」
俺がそう促すと、秋一は助手席に座る。俺はそのまま研究所へ向かった。
「ここに停めるぞ」
俺は車を停め、研究所の方向を指し示す。
「あそこだ、見えるか?」
「ああ、実際に見ると本当に凄いな」
視線の先には、およそ20万平米ほどの研究所が存在していた。
「中はもっと凄いらしいぞ」
俺達がしばらく研究所を眺めていると、警備員が声をかけてきた。
「研究所に用がおありで?」
「いえ、ただおっきくて凄いなーと思いまして。」
俺は咄嗟に誤魔化す。すると幸運にも、警備員はあっさり帰っていった。
「この辺にしておくか」
秋一がそう言い、俺は車を走らせる。
事務所に帰る途中俺は、ふと気になり秋一に質問を投げかける。
「秋一の両親はどんな人なんだ?」
すると秋一は物憂げな顔をして...
「俺が9歳の頃、飛行機事故で死んだよ」
「!?」
俺は驚愕の色を隠せなかった。
「悪い...」
「いいって、随分昔の話だ」
秋一はあっけらかんと答える。
(こいつにもそういう事情があったなんて...)
俺はそう思った。
「今日はありがとな、送ってもらって」
「いいよ、俺も退屈してた所だ」
「じゃあ」
そう言って秋一は事務所へ戻ろうとする。
「秋一」
俺がそう呼びかけると、秋一は不思議そうな顔で振り返る。
「どうした?」
「その...何か困ったことがあったらなんでも俺に言えよ。俺達は.....仲間だろ?」
俺がそう言うと秋一は一瞬、目を見開いた後、微笑み──
「ああ、俺たちは仲間だ」
そう言って事務所に戻っていった。
俺は車に乗り込み、走らせる。
その顔には笑顔が浮かんでいた。
ますます仲が深まる二人...!




