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改訂版 魔法科学の最終定理  作者: 団丸


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神は再現可能か

  わたしは馬車を用意され、討伐隊の一人に付き添われて森の方に向かった。森を抜け30分経った頃だろうか? 山肌に沿って造られた洋館の前に降ろされた。

 討伐隊の隊員は洋館の警備の人と一言二言、言葉を交わすと帰ってしまった。

 セオドア卿の直属の部下なんだろうか? 煉の討伐隊とは違う服装だった。

 わたしは洋館の人に案内され、三階にあるドアの前まで案内された。

 部下の人はノックをしてドアを開けて会釈をし、「しばらくお待ちください」と言った。

 中に入ると黒板があり、今さっきまでなにか書いていたのか消し残りの跡がある。

 壁には絵が何枚か飾られていて、天に届きそうな塔を描いている。

 まるで『バベルの塔』だ。「この世界にも同じような神話があるんだ」と、呟いてしまった。

 もう1枚は油絵で『巨人』が描かれている。題名は『堕落の子』とプレートに書かれていた。

 プレジデントデスクの奥はドアのない書庫がある。薄暗い本棚には「神話大系」「聖典」「ゴーレム研究資料」の本が見える。

 部屋の中央にローデスクがあり、革張りのソファが置かれていた。ソファに腰を落とし深く座ったが、職員室に呼ばれた生徒みたいにバツが悪い感じで落ち着かず、すぐ立った。

 窓の外は雨がまだ降っている。レースカーテン越しに外を見た。

 拓けた中央に白煙が立ち昇っていた。あのゴーレムの骸が横たわっている。周りに数名の人が群がって調査をしている。

 「やっぱり夢じゃなかったんだ」

 現実を受け入れられず、言葉に発してしまった。

 腕時計を見た。10時13分……。(もう模試が始まってる)

 急に家の事が心配になってきた。

 (お母さんどうしてるだろ?心配してるだろうな)

 コン、コン、コン。ドアのノック音がしてセオドア卿が入って来た。

 出会った時の印象と同じ、隙を感じさせない。ソファの前に立ち「そこに掛けたまえ」と言った。

 セオドア卿が座るのを確認して、わたしは浅く腰掛けた。

 セオドア卿は深く腰掛け、足を組んだ。彫りが深く端正な顔立ちで、軍人というより哲学者の印象を持った。

 「……とはなんだね?」

 雷が鳴った。

 雨が屋根を殴りつけた。

 最初の言葉が聞き取れなかった。

 わたしは焦って「……え?あっ。え?」と答えにならない言葉を発してしまった。

 セオドア卿は深いため息をし、「君が言った科学とはなんだね?」と聞いてきた。

 改めて科学とはなんだと聞かれて、わたしは戸惑った。

 いつもはなんとなく科学と接して来たが、『科学』を問われたら……。

 わたしは少し考えた。「起こった現象を理解して再現するのが科学じゃないでしょうか」正解かわからないけど、わたしの中の答えを言った。

 セオドア卿は組んだ足のうえで手を組み、少し考えて言った。

 「再現か。我々が知ってる『魔術』とも『錬金術』とも違うアプローチだな……」

 セオドア卿はアゴのヒゲを触りながら言った。

 「ならばあのゴーレムのクリスタルも再現は可能かね?」

 「どんな仕組みかわかりかねますけど、理解出来たら再現出来る可能性はあります」と、わたしは答えた。

 セオドア卿は少し考え、わたしに鋭い視線を送りこう言った。

 「神は……。神は再現可能かね」

 わたしは虚を突かれた質問に答えが浮かばないというか、答えを持ち合わせていない。

 どう答えればいいのか、なんて言えばいいのか言葉が出てこない。

 わたしは声にならない声を発するが、喉を押さえつけられる感じで声が出てこない。

 神を信じてるわけじゃないけど、再現をするってことが畏れ多く、緊張で喉が閉じた。

 組んでた足を戻し「口がすぎたな。忘れてくれ」とセオドア卿は言った。






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