エピローグ
「あーあ。終わっちゃった! 楽しかった! 豚骨ラーメン飽きた!」
私の仕える神が、外見に似合わない口調で喋る。もっと大人の女性としての品格を持ってもらいたい。神に外見は意味の無いことだが。
元は人間だった神は外見をあまり変えられないらしいが、それによるデメリットがまさにこの神だ。子供に姿を変えて欲しい。私が幼女趣味なわけではない。
「お帰りなさいませ。我が神よ。お楽しみでしたね」
「うんうん! 楽しかった楽しかった! ひさしぶりに楽しく戦えた! レアだね! レアステーキだね! よし! 次はレアステーキいってみようか! 洗脳されてたふりで豚骨ラーメン食べさせられまくったし! 次は牛だ!」
テンションがたかい。どうやら充実してたようだ。退屈な時は、私に踊れと命令してくる神だ。どこの神か知らないがありがとう。助かった。
「芽吹いたって感じだね! よくよく思い出してみたらね! 昔、手を貸してあげた子のお姉さんだったよ! 生き返って面白い神になったんだね! 強い思いって奴だね! あたしすら忘れてたから誰も知らないと思うけど!」
「どういう事です?」
面白そうな神様にちょっかいをだしただけではないのか?
「大分前に退屈まぎれに仕込んでたのが実った話!」
よく分かった。
「つまり、自分でも忘れていたけど、この物語を引き起こしたのは貴女であったと」
「そういう事! なんかごちゃ混ぜで面白い、強い思いに、少し力を貸した事があったんだけどね。その思いで神格化したのが今回の暴走した神だった! 私が気付かないように思考誘導して暴走させたんだけどね! 元々秘めてた願望をだしてあげただけだし、問題ないよね!」
「相変わらずですね……」
黒幕がこの神様なのは割といつもの事である。
「ま、終わった話に用はもうないよ! 気分もいいし、失敗した前の実験をやろうと思うよ!」
一人で楽しむだけ楽しんだらさっさと次の事に目を向けるのもいつもの事である。
「実験ですか?」
「うん! 『学園』をやるよ!」
胃が痛くなる。前に盛大に失敗し、大変な目に遭った実験だからだ。
「そうですか。楽しみですね」
しかし、反対意見を言えないのが私だった。
「うん。楽しみ。退屈しないといいなー」
ええ。退屈しないといいですね。
どうか私に被害がきませんように。
「おい。手を出すなって言ったよな?」
「正直、すまんかった」
ボロボロの体を引きずって家に帰宅したら、友達がいて、正座させられ説教される。感想はマジで最悪。
「もっと言ってください。レイ様。このクズに」
「はい。無茶をしたこの人に言ってあげてください」
家に同居してる奴らも止める気配なし。最悪。
「あのー寝ていいか? 身体中痛いんだ」
「……永遠に眠らせてやろうか?」
「正直、すまんかった」
冗談も言えねえ。
「……だが。なかなか姿を現さねえあいつの動きが掴めた。そういう収穫もあったからな。許してやるよ」
「……そうか。で、どうするんだ? 戦ってみたが化物だぞマジで。アレに勝てる奴いるのか?」
二度と俺は殺し合いたくないと思った。殺るときは殺るけど。
「まだ力が足らない。殺らないよ。ちょっと実験を潰してやるだけさ」
「死ぬなよ。友達が死んだばかりで最悪の気分なんだ。追い打ちをかけんのはやめろな」
これ以上の最悪を重ねたくねえ。
「死ねねえよ。あいつを殺すまでは」
決意を込めた友達の言葉に俺は
「ああ。じゃあ止めねえ。頑張れよ」
こんな事しか言えなかった。
「ああ」
それに短く返すし、友人は姿を消す。
あの化物と全力で殺し合ったのは間違いだったかもしれない。
「説教は終わってしまったみたいですね」
「そうですね。残念ですね旦那様」
こいつら怪我が治ったらケツバットしよう……
消えるように高速で去っていった友人を見送り、正座を解いて俺は寝転んだ。
何が起こるにしても終わるにしても、今の俺にはどうしようもできないから。
俺は微睡みに身を委ねてひとまずの眠りについた…………
お読みいただきましてありがとうございました!
別作『学園世界の調べ人』が続編となっております。




