41. 私、重大事項を思い出す
「ああぁぁぁ!!」
「ぷほぁ!?」
「うおっ!」
ある日の朝。私は、あることを思い出して思わず叫んでしまった。ハッとして口を押さえたが、時すでに遅し。驚きとともに私を見るライムとフィアル。そんな彼らに、私は苦笑いした。
「あぁ〜、あはは……。なんでもないよ。些細なことを思い出しただけだから」
私はそう言って二人を安心させた後、今日もレベル上げをしよう、と提案する。二人はすぐに乗ってくれたから、私が叫んだ理由についてあまり深く探られずに済んだ。ふぅ、よかった。今思い出したこと、私にとっては「些細なこと」なんかではないけれど……。
私たちは、いつも通りにレベル上げをするための準備(杖に“浄化”を付与すること)を終え、家を出た。
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
うわ、マジでどうしよう……!? え、まだ何も準備してないよ? このところ、ずっとレベル上げしてて準備する時間なかったし。村に行って買ったほうがいいんだろうけど……。
うぅ、どうしよう。でも、今「村に行こう!」って言ってもライムに不審がられるよね? ライムって、私の企みとかそういうのに敏感だから。
こんな感じで、私はレベル上げをしているときにも「さっき思い出したこと」で頭の中がいっぱいだった。ライムとフィアルは真剣に生物や魔物と戦っている中、私だけ戦いに集中できないでいた。
「どうにかしてフィアルを連れて村に行かないと……」
私が小声で呟いていると、突然、焦った声でライムが言った。
「リズムさん、後ろ――!!」
「え――??」
私が振り向くと、大きなカマキリが私に向かって鋭い葉っぱを放っているのが目に入った。速すぎる魔法に、私は対処できない。
魔法が当たる――! と、そう思ったとき。
「“氷の盾”」
ライムが、お得意の“氷の盾”で、瞬時に守ってくれた。
こ、怖かったぁ……。あれに当たっていたら、今頃大怪我をしていただろう。ライムのおかげで、私は怪我をせずに済んだ。
流石ライム! 本当に、助かったぁ……! ありがとう!!
「ライム、ありがとう!」
「いえ、お礼はまだ早いですよ。まずは、この凶暴な生物を倒してしまいましょう」
確かに、その通りだね。今は、「思い出したこと」で悩んでいる暇はない。ちゃんと、戦いに集中しないと。もし、大怪我をしてしまったら大変なことになる。
「“木の葉砲”!」
私はカマキリに攻撃をしようと、草魔法を放つ。私の手に魔法陣が浮かび、鋭く大きな葉が何枚もカマキリに向かっていく。しかし、カマキリはスッと避けてしまった。
「えっ、避けられた!? 素早い!」
私は、相当なスピードでこの魔法を放ったはずなのに……。でも……。
「えいっ!」
私は、一度避けられた“木の葉砲”の軌道を変えて、カマキリの死角からもう一度攻撃しようとする。
「!?」
カマキリもこれは予想していなかったらしく、避けきれなかったため、今度の私の攻撃は当たった。よしっ! これでもう倒せるはず……!
私はそう思ったけど、カマキリはまだ倒れていなかった。辛そうにしながらも、ふらふらと立ち上がる。
うわ〜、すごい体力。あなたの、負けそうでも諦めない、その姿勢は好きだよ。でも、無闇矢鱈に人を襲うのはダメ!
「よ〜し! 準備できたぞ! リズム、ライム、もう少しカマキリから離れろ!」
私がもう一度攻撃をしようとすると、それまで黙っていたフィアルがそう叫んだ。
えっ? どういうこと? フィアルの方を見てみると、彼の足元に、今まで見たことがない巨大な魔法陣が浮かんでいるのがわかった。
「えぇっ!? 何あれ!? フィアル、どうしたの!?」
「フィアルさんは、新たに広範囲魔法を創ったそうですよ。それを試してみたい、とのことです。僕らは、安全な場所に行って、様子を見ましょう」
「新しい広範囲魔法! フィアル、すごい! うん、遠くから様子を見よう!!」
うわぁ、新しい広範囲魔法!? やったぁ、楽しみ!
私はわくわくしながら、ライムとともに走る。私たちの移動が終わったのを確認してから、フィアルは技名を唱えた。
「“噴炎”!」
おお! 格好良い技名! わくわくっ!!
そして次の瞬間、フィアルの足元にある魔法陣をカマキリの足元にも出現させた。カマキリは急に現れた魔法陣に驚いたようだ。でも、その魔法陣が危険なものだと分かったようで、素早く移動する。
……が、魔法陣はまるでカマキリの足に引っ付いているかのようだ。魔法陣はカマキリがどんなに移動しても、カマキリから離れない。
“ターゲットから離れないようにする魔法”でも、魔法陣に組み込んでいるのだろうか。そう思ってしまいそうになるほどの引っ付きようだ。まあ、実際にはフィアルが魔法陣を操作しているのだろうけれど。フィアル、魔法陣のコントロールが上手すぎる……!
しばらくして、カマキリは止まった。どうやら動きすぎて疲れたようだ。そりゃ、五分間も全力疾走していれば疲れるよね。あのカマキリ、体力どうなってるのよ? さっき、私の攻撃も食らったはずなのに、すごい元気じゃん。
あれ? フィアル、目を閉じてる。一体、何をやっているんだろ?
私が不思議そうに見ていると、突然、カマキリの魔法陣から炎が噴射し、カマキリが宙に浮いた。
大きなカマキリが宙に浮く様子を想像してみてください(笑)。( ゜д゜)
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次回更新予定は10/28(水)です。
次回予告:カマキリとの対戦終了までのお話。(/ω・\)チラッ




