4. 朝食の栄養バランスが大変なことになった件
今日はこどもの日!
ですが……内容はこどもの日と関係ありません。(^_^;)
この世界に来てから一日が経った。私は今、朝ご飯に何を食べるのか迷い中である。
う〜ん……。地球にいたときのように、目玉焼きとハム、野菜サンドにしようかな……。……いや、でも今はこの世界にいるんだから、朝ごはんもこっちの文化に合うものにしたほうがいい……?
どっちも捨てがたい! そう、この世界の朝ごはんの文化は地球とは全く違うのだ。だから当然迷うに決まっている。そして今、見事に迷っている。
この世界では、朝ごはんはその人の魔法属性に合うものを食べるらしい。魔法を安定して使うための願掛けとして。何か大事な理由があるわけでもなく、ただの願掛けである。だから、私はべつに属性魔法に合うものを食べる必要性はないと思う。魔法属性に合うものというのは下の通り。
炎→焼いた肉
水→焼いた魚
風→貝類
土→豆類
草→野菜
電気→卵
音→うどん(大根、ネギ入りのもの)
空間→パン
光→米
闇→カレーかハンバーグ
私の場合は、野菜とうどんと米。…………うん。これは組み合わせられない。栄養バランスが大変なことになる。
どうしてこのようなものになったのか、それは昔の人の気分である。初めてこれらの属性を持った人の好物が上のものだったらしい。闇属性の人……カレーかハンバーグって。朝からこれを食べるのはすごいな。
う〜ん……。野菜は食べるとして、問題は米とうどんだ。食品群が被っている上に、私、朝はパンを食べたい派なんだよね。米とうどんはなぁ……。
でもやっぱり、記念すべき初の朝食だし一食くらい栄養バランスがまずいことになっていても大丈夫だよね。
そう考えた私は野菜とうどんと米を食べることにした。食べたいものを思い浮かべながら食料庫を開けると、中には既に調理された白米と野菜サラダ、大根とネギ入りのうどんが入っていた。
うわぁ……! パン派の私でも美味しそうって思っちゃった。神様の用意したこの食料庫、すごい!
なんと、この食料庫はイメージしたものを用意することができるという、とてもすごい魔法具なのだ。
ほかほかのご飯と、野菜サラダ、うどんを食べると私は早速魔法の練習をしようと庭に出た。あ、ちなみにどれもすごく美味しかったよ! 食料庫さんありがとう!
え〜っと、練習って、何すればいいの……?
いざ練習! と張り切ったものの、私は何をすればいいのかわからない問題に直面することになった。
昨日は神様と試しに使ってみただけだからなぁ。
う〜ん……。よくある的あて修行的なやつをやってみようかな……?
じゃあ、あの木に向かって魔法を放つとしよう。
「えいっ!」
私の手に魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣から葉がたくさん出てくる。
……って、待って、コントロール難し過ぎない!? なんで!? ……わっ! そっちじゃない! もっと左、左〜! ……って、今度は行き過ぎ! 右、右に戻って〜!!
私は心の中で頑張って指示を出してるけど行き過ぎたり変な方向に飛んだりと、もうめちゃくちゃだ。最後に私の放った魔法は木を素通りして、神様の張った結界に当たり、散った。ごめんなさい、神様……。
コントロールがこんなに難しいなんて思わなかった……!
昨日、魔法を出すことは一発で出来たから、コントロールも簡単なのではないかと思っていた。けど、予想は見事に外れ、この結果だ。完全に魔法を舐めていた。くぅ! 絶対に上手になってやる!! 謎の敗北感を覚えた私は真剣にコントロールの練習を始めたのだった。
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
この世界には、魔力切れがない。だから、基本はどれほど魔法を使っても体に害はないのだ。よって、時が経つのを忘れるという問題が起こる。
魔法のコントロールにも少し慣れて、的に当てることが出来るようになった時。私がふと時計を見ると……。
なんと練習を始めてから五時間経っていたのだ……!
まさかこんなに熱中してしまうとは思わず、魔力切れがないことの恐ろしさを思い知った。魔力切れって、悪いことばかりじゃなかったんだね……!
うぅ……。お腹空いた〜!!
集中が切れたことで空腹が私を襲った。そりゃそうだ。朝の七時にご飯を食べてから五時間もやっていたんだから、もう昼食の時間であってもおかしくない。
私は空腹に攻撃されながら家の中に入り、全力で食料庫を開けた。
わぁ〜! 美味しそう……!
食料庫の中に入っていたのは和食だった。白米に味噌汁、漬物に焼き魚。どれもとても美味しそうで、私はすぐにそれを食べた。
特に何も想像しなかったのに和食が出てきたということは私は心の奥で和食を食べたいと思っていたのだろうか……? それとも食料庫さんが「うわ〜、ヘトヘトで帰ってきたよ。しょうがないな、いいものを用意してやるか」みたいな感じで気を使ってくれたのかな?
はぁ〜! 美味しかった! やっぱりこの食料庫、すごすぎる……。
昼食を食べ終えて少しゆっくりした後、私はまた魔法をコントロールする練習を始めた。
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
練習を終え、昨日のように風呂と歯磨きを済ませた私は、ソファに座って今日あったことを振り返った。ちなみにきちんと時計を見て家に戻って来れたよ。
魔法をコントロールするのは難しいけど、魔法を使うのはすごく楽しかったな〜!!
フィール星に来てからというもの、地球では退屈だった毎日がとても楽しいものになった。
……まあ、こんな広い家に一人は寂しいけど。贅沢は言ってられないよね。
「こんばんは。魔法の練習は順調?」
そんなことを考えていた私に神様は後ろから突然声をかけてきた。
……っ! うわ、びっくりした〜! 神様って毎回急に現れるよね。っていうか、今日は光を出さなかったような……? いつもの発光はどうしたんだろう?
光を出さないで来るのは普通に驚くから、いつものように発光してほしい。いや、発光しても普通に驚くか。
「はい、順調ですよ。というか、今日は昨日のように発光しないんですね」
「あ〜、あれね。いちいち光を出すの、あんまり意味ないかな〜って思ったからもうやめた」
じゃあ、どうして最初は発光して来たんですか!? まあ、どっちにしろびっくりするのは変わらないからいいや。いつか慣れるでしょ。
「どんな練習をしたの?」
「魔法をコントロールする練習です。庭にある木を的にして、それに当てる感じで練習しました」
「ふぅん。なるほどね。……じゃ、早速お手並み拝見といきますか」
お手並み拝見……? え、もしかして今、魔法使います?
私が驚いていると、神様はパチンと指を鳴らした。視界が切り替わり、目の前には今日、魔法の練習をした木が現れる。
はい、人生で二回目……いや、三回目の瞬間移動いただきました〜! もう、あまり驚きませんからね〜。それにしても、神様って本当に何でもできるんだなぁ。すごいや。
「練習したときのように木に魔法を当ててみて」
「はい、分かりました」
ふっふっふ……神様、見ててくださいね? 一日中練習した私は今日の朝の私とは違うってことを証明してみせる!
体に流れている魔力を安定させて……えいっ!
私が放った草魔法は、しっかりと一直線に木に向かっていく。
よし……! このまま行けば命中だ!
と、私がそう思ったとき……
「えっ! なんで……!?」
なんと、私が放った魔法は急に右にズレてしまったのだ。私は慌てて元の軌道に戻れと心の中で指示を出す。きちんと魔法は元の軌道に戻り、木に当たった。
ふう……。危なかった〜! でも、どうして急に軌道が変わったんだろう? 練習してきちんとコントロールできるようになった筈なのに……。
「おぉ〜! すごい! 一日でこんなにコントロール出来るようになるなんて……!」
私が不思議に思っていると神様がパチパチと拍手をしながら話しかけてきた。
「途中で僕が右に逸らしてみたけど、しっかりもとに戻して木に当てるし……。本当に、一週間後にはもう生物と戦うことが出来そうだね」
「……ありがとうございます」
って、あれは神様の仕業だったんか〜い! 人の魔法を操れるなんてすごいなぁ……。……じゃなくて、どうしてそんなことしたんですか!?
神様に聞いてみると、彼は何食わぬ顔で言った。
「リズムの実力を見てみたくて。お手並み拝見って言ったでしょ? でもまさか、ここまで出来るとは思ってなかったな」
「それにしても急過ぎますよ……。言って欲しかったです」
「ごめんごめん。でも、そうしたら実力がわからないと思って」
むぅ〜! 確かにそうだけど! 突然コントロールが難しくなるわ、驚くわで忙しい私の気持ちもわかってほしい……。
「光魔法の方は練習した?」
「あ、それはまだです」
「じゃあ、明日からは光魔法の方も練習してほしいな」
「は〜い! わかりました」
その後、私は家に入って神様と少し談笑した。あ、家に入るときも瞬間移動だったよ? また急にやるから少し驚いちゃった。彼は人を驚かすのが好きなのかな?
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