↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
23/42

19. 素早すぎる強敵の登場

 な、何!? 私とライムは大きな悲鳴に驚き、顔を見合わせる。


「びっくりした〜! この声は……?」


「あちらの方から聞こえてきましたね。女の人の声だった気がしますが……」


 ライムは声が聞こえた方向に目を向けて言う。確かに、女の人の声だった……。


「行ってみよう! 困っているかもしれないし!」


 私はそう言うや否や、声がした方向に走り出した。今の悲鳴は、絶対に助けを求めているものだ。私の勘がそう言っている。


「えっ、ちょっ、リズムさん!? 急にどうしたんですか!?」


 ライムの困惑している声が聞こえた。急に走り出した私に驚いているようだ。でも、すぐに私についてきてくれた。


「ライム、待っていてもいいんだよ?」


 私はライムに無理についてこなくても大丈夫だと伝える。


「何を言っているのですか!? そんなことできません! なんだか、嫌な予感がするんです。そんなところに、リズムさん一人を向かわせるわけがありません! 僕も一緒に行きます!」


「ありがとう、ライム」


 ライムは力強い声で、一緒に行くと言ってくれた。それが、純粋に嬉しい。私はライムにお礼を言う。


 悲鳴の発生源を目指し、走り続けて五分。ついに目的地に辿り着いた。そして、その光景を見た私達は――


「「えっ!?」」


 揃って驚きの声を上げた。だって、この光景が衝撃的だったんだもん!


 私達が見た光景――それは、昨日見た果物屋さんの女の子が、つやつやの真っ赤な毛をした狼に襲われているところだ。襲われているといっても、噛みつかれているというわけでも攻撃を受けているというわけでもない。


 なぜなら、女の子のお父さんと思われる人物が、女の子を庇って狼と戦っているからだ。太い棒を巧みに使って狼からの攻撃を受け止めている。


 だが、相手はあの狼。素早く動いて、次々に噛みつき攻撃を仕掛けている。男の人も、もう五分ほど戦っているから、限界に近いだろう。所々、怪我を負っている。


 女の子は、涙を流しながら目に見えて震えている。怖くて、逃げることもできないような状態だ。このままでは、男の人が先に狼にやられて、その後に女の子の方も襲われてしまう。


 何とかしないと! このままじゃ、ダメだ! お父さんも、女の子も助ける!


「狼の方のレベルは二十八ですね。それに対してあの子のレベルは五、男性のレベルは十六です。この差では、あの二人に勝ち目はないでしょうね」


「うん。ライム、私はあの二人を助けたい。でも、私一人の力だと多分無理だから、力を貸してくれる?」


 私はライムに聞く。あの狼よりも、私のレベルの方が低い。三つの差があるだけなら、何とかなるかもしれないけど……相手は、戦闘に長けている。狼だし、何よりすばしっこいんだよね。悔しいけど、私一人では厳しい。


「勿論です。仲間ですから。一緒にあの二人を助けましょう!」


 ライムは、力強い笑みを浮かべて、頷いてくれた。


「ありがとう」


 私も、ライムの真似をして、力強い笑みを浮かべる。……ちゃんと力強いものになっていたかは怪しかったけどね。


「僅かですが、あの狼は闇を纏っています。ですので、まずは闇を取り除きましょう」


「うん。行くよ!」


 私とライムは同時に走り出す。


 それと同時に、お父さんが持っている棒を、狼がバキッと噛み砕いた。狼は、棒を折った勢いで男の人に噛みつこうと口を大きく開く。


「っ!?」


「まずいっ!!」


 これだと間に合わないっ!! どうしよう……!? 


 星の盾(スターライトシールド)を使わないと守れない……? でも、何とか頑張れば、草魔法の盾でも守れそう……? 体に負担がかかるから、星の盾(スターライトシールド)を使うのはなるべく避けたい。


 どうする……? どうすれば、二人を守りながら狼とも戦うことができる……?? 私が迷っていると、ライムの声が聞こえた。


「氷の盾(アイスシールド)!」


 ライムがそう唱えると、男の人と狼の間に、氷の壁が出現する。狼は氷にドンッと当たった。一瞬、動きが鈍くなった隙を見逃さず、ライムは水の塊を発射する。


 だけど、狼はすぐに体勢を立て直すと、水の塊をスッと避けた。その素早さに、私もライムも目を見張る。……なんて速いんだ。今まで出会ってきた魔物たちとは桁違いだ。


 これは厄介だな。狼は、驚異的なスピードと、更に鋭い牙も持っている。素早いと攻撃が当たらないし、何より杖を当てるなんてことは不可能では……!? 闇を取り除くには、どうにかして狼の動きを止めなければいけない。


 どうしよう……? 私は、女の子と男の人を見る。女の子の方はまだ震えている。あの子の力だけでは、とても逃げられそうにない。


 男の人の方はあちこちに怪我をしている。それに、さっきまで狼と戦っていたんだから、体力も限界の筈だ。彼だけならなんとか逃げることができるだろうけど……。


 きっと、女の子を置いて自分だけ逃げるようなことはしないだろう。でも、女の子を運んで逃げるのは体力的に無理だ。よって、二人ともこの場から動くことはできない。


 そして、ライムは氷の盾(アイスシールド)を使って、狼から二人を守っている。攻撃をしたいところだろうけれど、守るので手一杯な様子。そりゃそうだ。だって、ライムのレベルは二十七だもん。


 と、思ったけど、改めてライムのレベルを調べてみると二十八になっていた。い、いつの間に! もしかして、あの饅頭と化してしまった元魔物達の分の経験値だろうか……。なんだか複雑……。


 同レベルなら攻撃も通るかも……と思い、ライムと狼の動きを観察しながら作戦を練ってみることにした。


 狼は、ライムの盾に体当たりしている。同レベルで、しかも技術面はライムの方が上だからか、盾には傷一つ付いていない。ライムは、先程から狼にお得意の無情攻撃(水の塊)を当てようとしているけど、狼は全て素早く躱しているため、全然当たっていない。


 なるほど。やっぱり狼の動きを止めることができれば良いわけだ。物理的にものを当てて止めるのが無理なら……精神的にアタックをしてみたらどうだろう。


 よし、作戦は立てられた。これなら、私が成功すれば狼の闇を取り除くことができる。


 まず、私がやるべきことは……。


「“想いの歌《フィーリングメロディー》”!」


 この音魔法を使うことだ。この魔法は、相手の気持ちをコントロール……とまではいかないかもだけど、それに近いことができる魔法。


 気持ちをコントロールなんて強力だから、代償がいるのでは……と思うでしょう? でも、カミキソによると代償はいらないらしい。なぜなら、この魔法を成功させるのは難しいからである。


 この魔法を成功させるには二つのことを成功させないといけない。


 一つ目は、相手の感情を正確に把握して、相手の感情と自分がコントロールしたいと思う感情に合った歌(メロディー)を奏でること。うん、よくわからないね。でも、相手の感情が重要なポイントになるということはわかった。


 二つ目は、奏でる歌(メロディー)に自分の気持ちを乗せること。これは、私が得意な事だと思うから、なんとかなるだろう。


 これらが、“想いの歌《フィーリングメロディー》”を成功させるために必要な二つの鍵。正直、私に出来るかどうかはわからない。


 でも、もし成功すれば狼の動きは格段に鈍るだろう。なぜなら、私がこの魔法を使ってやりたいことは、相手を落ち着かせることだから。


 この狼は、闇によって凶暴化している。精神的に落ち着かせることで凶暴化を止め、更にはスピードを落とすことができる。スピードが落ちた隙に、杖を当てるというのが、私の作戦だ。


 さあ、作戦開始といこうじゃないか。

あの時の魔物饅頭がライムの力になりました。


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

次回更新予定は8/12(水)です。

これからは、毎週日曜と水曜の週2回更新いたします。詳細は、活動報告をご覧ください。m(_ _)m

次回予告:リズムの音魔法、発動!(/ω・\)チラッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。