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鑑定眼の社畜、今日もブラック魔王軍でなんとかがんばります!  作者: 鳶丸


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第042話 社畜、水魔ルロリスと相まみえる


 ポパーの実というちょっとしたサプライズがあった。

 休憩にもちょうど良かったと思う。

 

 ヴェラは……がっついてたよね。

 もはや完熟した実が全部なくなるくらいの勢いで。


「さて、ここまできたついでだ。ヴェラ、もうちょいがんばってくれ」


「いったいどこへ行きますの?」


「ええと、水魔ロリなんちゃらってのがいたろ? 挨拶に行くんだよ」


「ルロリスですわね! いい加減に覚えなさいな」


 とまぁいつものようにお姫様抱っこで移動する。

 慣れてはきたけど、まだしんどいな。

 

 湿地帯を飛んでいく。


「ヴェラ、ヴェラ! なにあのヘビ!」


 眼下にいるでっかいヘビ。

 なんだあれ、バカみたいな大きさの丸太が泳いでるみたいなサイズ感。

 

 パニック映画とかででてくるようなやつだ。

 真っ黒で、くねくねしとる。

 

「あれは沼ヘビですわね!」


「し、知っているのか、ヴェラ!」


「知っているもなにも有名ですわよ。あのヘビは魔物とかじゃありませんし」


「え? あの大きさで?」


「さっきからハルトは大きいって言いますけど、あれ小さい方ですわよ」


 ちょっと待って。

 さすがにそれは予想してなかった。

 そんなにでっかいのがいるの?

 

 ひょっとして百メートルとかのサイズ感?

 それもうなんとかタワーとかじゃん。


「あれは黒沼ヘビって呼ばれてますわね。鑑定眼を使ってみるといいですわ」


 なるほど、それもそうか。

 さぁ先生、出番ですよ。

 

 氏名:なし

 種族:黒沼ヘビ

 性別:オス

 状態:正常

 備考:黒沼ヘビの幼生体。成長すると鱗の色が変わり、橙沼ヘビと呼ばれる。その肉はたんぱくで美味。

 

 おっと。最後の一行は見なかったことにしよう。

 こんなもんヴェラやら魔王様たちに知られたら絶滅しちまう。

 

 すーぐ狩りに行こうとするからな。

 上位魔族ってやつは。

 

「すげー。ヴェラ、橙沼ヘビの幼生体って出たぞ!」


「ようせいたい?」


「子どもってことだよ。大きくなったら橙沼ヘビって呼ばれるんだって!」


「へぇ……そうなのですか」


 よしよし。

 これで上手く誤魔化せただろう。

 

「ところでハルト!」


「なんだよ、急に」


 ドキドキするじゃないか。


『わたくしと念話で繋がっていると忘れていませんか?』


『しまったああ! ヘビさん、ごめんよ。もう絶滅確定しちまったああ!』


 思い切り忘れてた。

 最近、念話の出番がなかったから。


『失礼ですわね! そんなに食べたりしませんわよ』


「いや、もう念話から切り替えてもいいかな?」


「いいですけど。でも、もともと黒沼ヘビはよく食べられていますわよ」


「え? そうなの?」


「この辺りに住んでいる魔族からすれば、狩りやすいんだと思います。それに一匹狩ってしまえば、かなりの量の肉を確保できるでしょう?」


 それはそうだ。

 ヴェラのような食いしん坊がいなければ、の話だけど。

 

「誰が食いしん坊ですか!」


「まぁまぁ。じゃあ、もし帰りに見つけたら一匹狩っていこうぜ。ヴェラがもらった亜次元倉庫なら入るだろ?」


「問題ないですわね! そうと決まれば、ハルト! ちょっと大人しくしてなさい!」


「え? ええ? ええええ!」


 ぽーいと空中高くに放り投げられるオレ。

 両手が空いたヴェラが、バババっと手を動かす。

 忍者の印みたいなのだ。

 

「悪魔術! 業火滅球ですわ!」


 ごわっと音がしたかと思うと、ヴェラの口から炎がでた。

 ちょっと黒みがかった炎の塊。

 

 しかもでっかいの。

 大きさはよくわからない。

 カッと光ったかと思うと、ちゅどーんと音がした。

 

 ぶわっと爆風に煽られて、オレの身体が飛んでいく。

 

「ちょ、なにしてんだよ! ヴェラああああ!」


「む。久しぶりだったので威力を間違えましたか!」


 間違えましたか、じゃねええ!

 クソ、もう自由落下してんぞ!

 

 死ぬ死ぬ死ぬ。

 

 ケツの穴がムズムズするじゃないか。

 やばいヤバいヤバーい!

 

「もう! わたくしがいるのですから大丈夫ですわよ!」


 おう。

 ヴェラがしっかりキャッチしてくれた。

 ドキがムネムネしておる。

 

 はー怖かった……って。

 

 ちゅどーんの煙が晴れていた。

 オレの目に映ったのは、身体がバラバラになったヘビさんの死体だ。

 その死体に魚かなにかがもう群がっている。


 自然ってのは逞しいなぁ。

 

「はぁ……あれを獲るなら、もっと手加減しないといけませんわね!」


「……だな」


 ってか、ヴェラってこんなに強かったの?

 こんなのニンゲンは勝てねーだろ。

 もはや兵器レベルじゃんか。

 

「こらー! おまえらかー!」


 オレとヴェラの耳に女の子の声が聞こえてきた。

 見れば、水の球にのった少女が杖をふりふり怒っている。

 

「ちょっとこっちこぉー! ()メてっじゃねーぞ! おおん?」


 言葉遣いは悪いが、まったく怖くない。

 なんかお子様がぷんすこしている感じ。

 

『ハルト……』


『うん……だいたい想像がつく』


『そうですか、あれが水魔……』


『ロリケルだな!』


「ルロリスですわ!」


「ややこしい! だってロリじゃん!」


「ややこしくしてるのはハルトですわよ!」


 ぐむ。

 それは正論かもしれない。


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