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だらだら生きるテイマーのお話  作者: めぇー
第3章
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2年後

物心ついた時から、とても北の街ペスカにあこがれをもっていて、お父さんがお仕事で行くときは何回もせがんで一緒に連れて行ってもらったなー。


王都にも一度連れて行ってもらったけど、断然北の街ペスカの方が素敵だと思う!今から行くのがとっても楽しみだ。


ーーーーーーーー


そしてあっという間に2年が過ぎ、とうとう独り立ちする時が来た。兄は東の街バリィーに旅立っていて、すごく良い場所だから独り立ちする時には遊びに来いと言っていたので、まずは東の街バリィーに行くことにした。


2年の間に虫を売りまくり資金を貯めつつ、テイム出来る動物と魔物を増やした。2年前の目標だったヤギや馬はテイム出来るようになり、片っ端から売ったのもあって、資金は結構潤沢にある。


それを知っていてか、妹があれこれ買って欲しいとおねだりしてきた。全部買うときりがないから、生活に役立ちそうなものだけを買ってあげた、香り付きの石鹸とか髪留めとか。


旅立つときはとても泣かれたから後ろ髪惹かれる思いだったけど、こればっかりは仕方がない。妹だっていつか旅立つだろうしね、その時僕は泣くだろうか?


この2年間で自分の呼び方も私から僕に変わった、俺じゃないのか?と散々友達にからかわれたけど、何となく俺と呼ぶのは抵抗感があって、僕に落ち着いた。なぜ私などと呼んでいたのか今となっては不思議だけど、その時は私が一番しっくり来ていたんだ。


狩りの腕もだいぶあがって、クマなら仕留められるようになった、相変わらず光魔法頼りだけど。魔クマは出会ったことが無いからわからないけど、冷静さを失わなければ、大丈夫だとは思う。


身体もだいぶ男らしくなってきた気もする、友達には全然ひょろっこいと言われるけど、そして変わらず髪の毛の癖毛は激しい。我が家全員くりんくりんの癖毛だから家族だととても分かりやすい目印になる。癖毛だと寝ぐせも気にならないから楽でいい。


そして相棒ができた、トカゲのムーだ。ある日森でご飯を食べてたら、目の前に普通より少し大きめのトカゲが来てね、普通なら近寄ってこないのにどうしたんだろう?って観察してたら、物欲しそうに口をパクパクしてて、なんとなく息も苦しそうだったから、お水とご飯をおすそ分けしたんだ。


そしたらその日の夜、窓にトカゲが居たんだよね。それ自体は珍しいことでは無いけど、それが何晩も続いたしなによりもサイズがあの森で出会った子ぐらいに大きかった。部屋にいると窓をタシタシ叩いてる気がして、中に入れてあげたらそのまま仲間になった。


特にテイムはしてないけど、ムーは僕の側に居ようとしてくれる。家族にも紹介して、ムーが家に居ても追い出されない様にして、すっかりみんなと仲良くなってる。家族からこっそり色々ご飯をもらっているようで、前よりだいぶ身が付いた気がする。


出発する前には旅の為の干し肉を沢山用意した、気づけば半分以上無くなっていたから、妹が持って行ってしまったのだろう・・・売られたのか食べられたのか・・・何かを売る為には商業ギルドに登録しておかないといけないから、まだ登録してない妹は食べたのだろう、育ち盛りだからね。


文句の一つでも言いたかったけど、妹なりの寂しい、いかないでという表現だと思って我慢した。旅の途中でなくならないぐらいには用意したけど、大荷物になりすぎてたから持って行ってもらって良かったのかもしれない。


最近流行り始めたのが空間収納を付与したバッグやポーチが出てきたことだ!これは国を揺るがすほどの凄い発見だった。今まで空間収納スキルの持ち主たちは、自分たちが袋に入れて移動するという概念が無かったのと、付与魔法が無いと空間収納付きの入れ物は作れないらしく、一気にその二つのスキルを持ってる人達は花形の職になった。


空間収納付きのポーチとバッグを考えた子はなんと僕よりも3歳年上らしい!そのポーチは最初は庶民に売られていたけど、貴族が独り占めするようになり、国が管理するようになり、どんどん値段がつりあがって行ってるらしい。


最初に売り始めた頃は練習と称して本当に安く売ってたみたいで、買えた人はものすごい運が良かったと思う。


僕の友達にも空間収納のスキルを持ってる子はいるけど付与魔法はなかったから、とても悔しそうにしていた。それでも、大きなお店で雇われることが決まってるから、安泰ではある。


いつかそのポーチを手に入れて旅に出たいなと思うけど、平民の僕がお目にかかれるチャンスがあるかどうか。


いつか空間収納付きのポーチかバッグを手に入れるのは目標の一つになっている。


今日寝たら明日は旅立ちの日だ。少し大荷物になってしまったけど、兄さんに渡すものなど沢山持たされてしまったので、しょうがない。妹は今日は一緒に寝ると言って我儘を言っている。もう10歳だというのに困ったもんだ。


妹の部屋に行って妹が寝るまで添い寝をした。妹のこの顔も今日で見納めかと思うと、ちょっぴり寂しくなった。次会う時は少しレディーになってるだろうか?変な虫がついてないといいけど、傍で見守ってあげれないけど、きっと父が目を光らせてるから大丈夫だろう。


妹が寝たので自分の部屋に戻ってから、もう一度荷物の確認をする。干し肉と寝袋、一生懸命貯めたお金、そして兄へのお土産。


荷物の2/3は干し肉だ。街道を歩いて行くので、お水は心配いらない。水魔法を持ってる人達が所々で水の樽に水を一杯にしてくれる優しい世界になっている。


ーーー


朝起きて、家族みんなでご飯を食べる。心なしかみんな無言だ。大人になったから旅立つ、喜ばしいことなんだけど、そのまま家族と疎遠になってしまう人もいるし、旅の途中で何が起こるか解らないから、今生の別れみたいになってしまう場合もあるらしい。


兄も最初の頃は頻繁んに連絡してきたけど、だんだんと連絡の感覚が広がってきている、めんどくさがりの兄らしい。僕は1ヶ月に1回ぐらいは連絡を入れようと思って居る。


ご飯が食べ終わり、いよいよ出立の時が来た。妹は泣いている、泣かれると辛いけど、兄の元に行ってから北の街ペスカに住む予定だから、ほんの数か月は会えないけど、すぐに一杯会えるようになるよと言って泣き止んでもらう。


父親と母親にも挨拶をする、父親にはしっかりとやっていきなさいと、母親は笑ってはいるけど、目には一杯涙があった。


沢山の感謝を込めてお辞儀をして旅立つ。またすぐ会えるから!と笑顔で別れるも、なんだか心に引っ掛かる物がある、また会えるなんて思うってとても幸せだよなと。


明日の補償なんていつだってないのに・・・と急に胸の中を木枯らしが吹くような気持ちになったけど、初めて家を出るわけだし、心細くなってるだろうと言い聞かせて、その心に蓋をした。


町をでて、兄の居る町、東の街バリィーに向かう。兄はカラフルな街だよと言っていたが、想像つかないからとても楽しみにしている。


しばらく歩いてると、水が沢山は言った瓶があったのでありがたく、お水を補給する。トカゲのムーが瓶に入ろうとしたから、慌てて止めた。意外とこの子はお水が好きで、僕が水浴びしてたりすると一緒に川に入ってきたりしたんだよね。


でもたまに焚火をしていると、火に飛び込もうとするから必死に捕まえて飛び込まない様にしている。あんなのに飛び込んだらひとたまりもないだろう?


乗合馬車に乗ることなく、歩いて旅をしているけど、次の町まで景色が変わり映えしなかったから、乗合馬車に乗っても良かったかなって思い始めた。


次の町は乗合馬車に乗ろう。

本日もお読みいただきありがとうございます


続きが気になる方は

イイネ ☆☆☆☆☆ ブックマークいただけるとうれしいです

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