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ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第四章 姫様の一日
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分析力と情報網


「今日の授業は魔石争奪戦で使う魔石を使ってのチームの練習だ! 各自、まずはチームに別れてくれ!」


 一年のアーマメント組担当である茄波先生が声をあげて平原へと集まった生徒達へと指示を飛ばす。

 生徒達はそれぞれ自分のチームを集め始めるので、わたくしも自分のチームの所へと向かう。


「お、レナちゃ~ん! こっちこっち~」


 アキが手を振ってくれるおかげでわたくし達のチームは簡単に揃い、それから先生へと体を向ける。

 すると、わたくし達のチームを見てか、他のチームがざわめき始める。


「マジかよ……」「あのチーム強くね?」「だけどよ。後衛ばっかりじゃねぇか?」「後衛ばかりだけど、最近マナとか急激に成長したんだぜ?」「前衛に我らが女神様がいるしなぁ」「ずる~い私もリクちゃん欲しかったぁ」「なんか今日のリクちゃん神々しかったよね?」「そうそう! 朝とか私倒れちゃったもん」「リクちゃんになら魔石上げちゃってもいいかも」「草羅! 俺らは我らが女神の勇姿を見るべく、早急に見つけて我らが女神に倒されるぞ!」「おぅ! 志野村! 俺らの力を見せてやろうぜ!」


 最後の二人は何かとおかしな発言をしていたが、先生がざわめきを押さえると、生徒達全員が先生へと視線を戻した。


「……ん? キリ。お前、チームはどうした?」

「あ? 他の奴らなんて邪魔なだけだ」


 キリは結局一人で学校(戦場)を駆け抜けるようだ。

 やはりキリはそうでなくてはいけない。それこそがわたくしの幼馴染であり好敵手(ライバル)であり……。


「そ、そうか」


 キリがチームを組んでもそうなるだろうと先生は予想していたのでチームを組めとは言わなかった。


「お、おい。マジかよ……」「あんにゃろぉ……調子に乗りやがって……」「おい、一番初めに探しに行くか?」「ああ。【一匹狼】が退場するまで他の奴らにも声をかけようぜ」「草羅。俺達の作戦を忘れたわけではあるまいな?」「当たり前だぜ志野村。奴が我らが女神様と会う前に殺る!」


 最後の二人は先ほどリクを優先して探すと言っていたのではなかっただろうか?

 そして最初の人はまた「マジかよ」としか言っていないような気がする。初めに「お、おい」がついているかどうかしか変わらない。


「ふ~ん。結構みんな前衛が四で後衛が二。支援が一の別れ方をしているのね」

「当たり前でしょ~。むしろウチ達が変則的なんだよ~」


 確かに、前衛が二人で後衛が二人。支援が二人でトラップなどの罠師が一人なのだから仕方ないだろう。

 そして今日はその罠師であるハナが休んでいるためにわたくし達のチームは六人だ。


 だが、見方を変えるとあまりわたくし達のチームは変則的では無い。

 他のチームは前衛が攻撃の主体だから前衛の方が多いのだろうが、わたくし達のチームは後衛の攻撃が主体。前衛がわたくし達に近づかないように守ってくれれば問題ないのだ。それには、アキの状態異常の魔法もきっと役に立つ。


「別れたな! それでは、各自チームのリーダー集合!」

「あ、呼ばれたね。行ってくるね!」


 アキだけでなく、それぞれのリーダーが走って茄波先生の元へと向かっていく。

 すると、茄波先生が説明した後、何かの用紙と人数分の小さな箱を貰うと、それぞれのチームの所のリーダーが戻ってきた。


「何を貰って来たんですの?」

「ん? この用紙はルールが書いてある紙で、箱はこの中に魔石が入ってるんだって」


 箱を開けると、中から紫色に淡く光る石が現れた。


「わぁ……」「きれぇ……」


 などとその他のチームからも感嘆する声が聞こえてくる。


「今見ている石が魔石だ! 当日に使う物と若干違うが、今日はその魔石をチーム内で奪い合ってみたり、チーム内でチームをそれぞれ作って奪い合ったり、いろいろとして見ろ! 色が紫色から橙色に変わったら敗走という事で転送される時間だ! 今日は転送しないから安心しろ」


 茄波先生の声を聞きながら、アキがわたくし達一人一人に箱を渡してきた。


「それでは、解散! 何かあったら見回ってる先生に相談すること!」


 茄波先生の声を後にして、わたくし達は真っ先にいつもの場所へと移動していた。


「そういえばアキさん。他のチームの情報は何か……」


 とまで言った時に気がつく。アキが一生懸命説明書だと言う紙を読んでいるのだ。

 邪魔してはいけないとわたくしは後で聞く事にしようと考えた時に……。


「大体は大丈夫。私達の実力ならあまり敵と成り得る人はいない。危険視するのは……先生のチームの情報が一切ない事と、キリ。あとは一学年三位の新見葛葉(くずは)のチームと一学年四位の青野璃里香(りりか)のチーム。一学年五位の臼井白露(はくろ)のチームはすべて前衛だったから初めに戦うのはダメ。回復なしで戦い続けて、戦闘以外の時に回復しようとする筈だからそこを狙えば楽勝だね」


 今さっき集まっただけなのにそこまで見通すアキの分析力は相当なものだった。


「あと、二学年の一位から三位と三学年の一位から六位だね。これはもう少し情報を集めてみるから今は一学年だけ納得してて」


 二年と三年の情報も持っているアキ。そちらも相当な物だ。

 わたくしはアキを敵に回すと大変な事になると思った。こちらの情報をすべて知られてしまうような気がして。


「二学年一位って言うと……グレンさんよね?」

「グレンさんは武装(アーマメント)だから一対多なら行けると思うんだけどな~。でも、さすがにそうはさせないように精霊使い(スペィレイトハンドゥ)はいるよね~」


 確かに。彰楼グレンは危険視した方がいいだろう。

 ジーダス攻略戦で奮闘し、そしてリク情報だがすでにロピアルズに入る事が決定しているとのこと。

 わたくし達はいつもの場所までくると……。


「ジャンケンポン!」


 アキの突然のジャンケンにより反射的にグーを出してしまっていた。

 その他の人は大体がパーを出していた。


「じゃあグループは私、白夜ちゃん、マナちゃん、ソウナさんで。もう一つは姫様とレナちゃんね!」

「え? え?」


 いまいち状況が理解できないわたくし。すると、姫様がわたくしへと向いてきた。


「とっさにグーを出してしまいましたね……。レナさん。よろしくお願いします」

「は、はい……」


 そうしていると、みんなそれぞれ武器を顕現し始めた。


「あっと、フィエロは使っちゃいけないんだったね~」

「そういえば……。ごめんなさいディス。中に入っていて」


 いつものように神具とやらを出していたマナとソウナが元に戻し、代わりにソウナは白い光を、マナは〝ファイアーバード〟を呼んでいた。


「それじゃあ説明するよ! まず、魔石を手に持って!」


 アキに指示されるまま、みんなが箱から魔石を取り出して手に持つ。


「じゃあ、今から私が言う言葉を言ってね? 私の名前の所は自分の名前を入れて!」


 そう言うと、アキが魔石を持った手を胸に持って行った。


「魔石に眠る精霊よ。契約せし我が名はアキ。今しばらく、我に付き合われよ」


 すると、魔石が呼応するようにして、一度光が漏れて、糸のような物が出てくる。すると、アキはその糸を首から下げた。


「これで終わり! それじゃあ、やってみて!」


 わたくし達はアキに言われて同じようにする。

 手に持った魔石を胸元まで持ってくる。


「魔石に眠る聖霊よ。契約せし我が名はレナ。今しばらく、我に付き合われよ」


 すると魔石から光が漏れてから、『つけて』と一瞬優しい声が聞こえたかと思うと、糸が現れた。

 わたくしは首から下げる。糸が切れないかと心配に思い、試しに引っ張ってみるが、切れるという心配は杞憂だったようだ。

 わたくしは視線を前へと戻すと、他の人達も同じように魔石を首から下げた。白夜は派手な動きをするためか、たれた糸の大体を魔石と一緒に胸ポケットへと納めていた。

 わたくしはグループになった姫様へと視線を向けると……。


「……はい。……ね」


 何やらブツブツとつぶやいていた。それも魔石に向かって。

 もしかして精霊と話せているのだろうか?


「姫様? 終わりましたの?」


 授業はいつまでも時間が続かないのでわたくしは声をかける。

 姫様は一度こちらを振り向いて、魔石へと語りかけると、それを首から下げて胸ポケットへと入れていた。


「はい。終わりました。彼女は意外にもおしゃべり好きでしたね」

「え?」

「すみません。こちらの話です」


 やはり、魔石の中の精霊と話せていたのだろうか?

 そんなことを思いながらも、わたくしはウィンディーネを呼んでいた。

 そして、アキのグループと対峙した。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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