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ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第四章 姫様の一日
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姫様お昼休み



「へぇ。つまりこの世界には神様が実際にいて、リクちゃんはその神様の使い手。で、今日は姫様が国を見たいと言ったからリクちゃんは寝ていて、姫様が体を動かしている。昨日の夜あの場所にいたのは世界を壊そうとする黒い悪の仲間がいたからであって、私を捕まえたのはこの守護石がどんなものか教えるためだったって事ね……」

「そんな所です。理解が速くて助かります」


 姫様が説明をすると、アキは意外にも理解が速くてすぐに今の現状を受け入れた。

 その他に、姫様の話を聞いていたのはわたくし、キリ、マナ、ソウナ、白夜。ハナは今日風邪で休みのようだった。あの元気なハナが休むだなんて信じられなかったが、事実のようだ。

 なぜなら、朝キリの家から一度自分の家に帰ってから学校に来たからだ。その時にアキがベットで唸っているハナの熱を測ったら38℃と出たらしい。

 どの道、何の関係もないハナには到底話せない事であるが。


 今居る場所は学校のベクサリア平原の湖。ここにはあまり人が来ない。だから秘密裏なことはここでするに決まっている。

 何故人が来ないかと言われると、ここでは水の精霊と雷の精霊がよくケンカしていて、それに巻き込まれると命の危険だと噂されている。授業中に起こったり、休み時間に起こったりと、どんな時でもケンカするので生徒の間ではこの湖に来てはいけないと言う集団意識がある。

 ……完全にわたくしとキリの事だ。

 正確にはケンカでは無くて決闘。どんな時でもではなくて、キリが授業をさぼりに行った時だ。

 初めに何が起こっているのか好奇心の高い人が見に行ったときに、ウィンディーネとキリが戦っていた時を見たので、そうなったらしい。


 キリはいまでこそ四肢にしか雷を纏っていないが、入学当初はそうでもなかった。

 四肢にだけ雷を纏うのはそちらの方が魔力消費が少ないかららしい。

 キリが全身に雷を纏っていて、ウィンディーネとぶつかり合っていたので、見た人はそう見えたのだろう。

 わたくしは視界の外にいたので見えなかったらしい。

 おかげでキリはここには人が来ないから寝に来ているし、それを知っているわたくしが起こしに来ている。


「昨日の夜にそんな事が……」

「ウチに言ってくれればよかったのに……」


 ソウナとマナが腑に落ちない表情で姫様を見る。

 特にソウナなんかはリクについて行くと言ったのに眠らされたのだから余計に腹が立つだろう。


「まぁ、リクの性格からして仕方ねぇンじゃねぇの?」

「明日リク君になんて言ってやろうかしら……。キリさんみたいな事を言う勇気なんてないもの……」

「お前絶対にからかってるだろ?」


 そうでもなかったらしい。


「俺達を頼らねぇンだよ~って?」

「お前もからかってるだろ!? 喧嘩ならいくらでも買ってやる!」


 キリが立ち上がると同時に逃げ始めるソウナとマナ。「待てやテメェ等!!」とか言いながら雷の拳を振るうキリに追いかけられるソウナとマナは笑いながら逃げていた。時折拳が当たるコースを絶妙なタイミングでソウナが魔法を使って防ぐのでキリの頭にさらに血が上る。


「……子供のケンカ」

「放って置けばいつかは元に戻ってきますわよね?」

「……俺達を頼らねぇンだよ……か。……さすがキリ。……私はあんな事言えない。……さすがキリ。……恥ずかしい」

「聞こえてんぞ!」


 鬼のごとき顔で振り向くキリ。すると、白夜はキリに向かってピースをしていた。

 キリの標的が変わって白夜へと進むが、白夜はガンランスに乗って絵本に出てくるような魔女のように逃げていく。


「子供ばかりですわ……」

「ふふ。面白い人達ですね。できれば、私が雷を使う前に戻って来てくれればいいのですが」


 もう二度とあんなのは喰らいたくない。そういえば、リクが得意なのは氷と思われるのだが……どうして雷が使えるのだろうか?

 それもかなり高等な魔法だと思われる。

 〈サンダー・ショック〉だなんて聞いた事が無い。


「でも……今朝の事、面白かったなぁ。来週のスクープ欄に載せちゃおうかな?」

「わたくしは他にも疑問が残る所がありましたわ……」


 疑問とは、アキの教室は二階にあるのであって、五階には用が無いはず。なのに何故かわたくし達が教室に入るまで一緒に同行していた。


 今朝の事とは、リクがスペ組に来た時の事だった。

 いつものようにクラスメイト達が近寄って来て、前に進めなくなった所を、姫様が一言。


「そこを通りたいのですが、避けてもらってもよろしいでしょうか?」


 と優しく、しかもいつもとは違う雰囲気でその微笑みにより、クラスメイトのほとんどが出血。赤いカーペットが出来上がった。

 姫様はその上を浮遊魔法を使って地味に浮かびながら通って行ったのを覚えている。

 ほとんどというのは、わたくしとマナとソウナは違うからだ。

 朝のSHR、そして一時限目の前半は掃除で終わってしまった。

 ちなみに一番出血したのは志野村と草羅という人。SHRが終わっても出血していたから保健室送りになった。

 二人は未だに保健室から抜け出せていない。今はお昼休みの時間なのだが、午後の授業は受けれるのだろうか?


「そのことはもういいでしょう。それより、歴史の授業はとても面白い授業でしたね」

「リクさんの口から言うと嘘のように思えますわ……」

「いつも唸ってたもんね」


 何故アキが知っているのだろうか……。イク組とスペ組は合同でする授業など無いはずだ。

 それにしても……。


「待てやテメェ等! 〈雷球〉!」

「待てと言われて待つ人は自分に非が無いとわかっている人だけよ! 〈武盾〉!」

「いつもウチをからかってんだからたまにはいいでしょ~!」

「……あ。……そういえば私テレポート仕えるからいつでも逃げれる。……面白そうだからもう少しこのまま逃げよ」


 いつまであの人等はリアル鬼ごっこをしているのだろう?

 しかも約一名完全に逃げられる魔法を隠し持っている。


「でも、歴史の授業面白かったよね! だって先生がいつも唸ってるリクちゃんが軽々と問題を解いていくんだもん! ついにはリクちゃんの頭を疑っちゃってたよね!」

「ですから、どうしてアキさんはスペ組の授業中を知っていますの……?」


 こちらはこちらで授業の話を始めた。


 確かに、今日の歴史の授業は先生が狼狽していた。

 面白いほどに驚いていて、今日の歴史の授業は先生がリク|《姫様》に問題をたくさん出していたがすべて答えられて、むしろ先生がわからない問題をリクが教えていたということだった。

 ……明日リクがとても大変な思いをすることを姫様は考えているだろうか?


「姫様の授業風景は全部見てたよ! だってこんなスクープ来るかどうかわからないもんね!」

「アキさん、授業全部さぼったんですの……?」

「え? スクープだもん当然でしょ?」


 何を馬鹿な事を言っているのとでも言いたそうな顔だが、当然にしてはいけない事だと思われる。

 学校一を争う問題児だから仕方ないのかもしれないが。


 そうしてると、向こうで決着がついたみたいだ。


「おら、捕まえたぞ!」

「あ、あれ!? ウチだけ!?」

「ごめんなさいマナさん。私は自分自身だけで精一杯だわ」

「……私も」

「さて、どうやって料理してやろうか?」

「ふぃ、フィエロ!? フィエロどこ!?」

「す、すみませんマナ様。今のキリ様に関わると私もタダでは済みそうにありませんので」


 いつの間にかフィエロがキリとマナより遠くはなれた場所で頭を下げていた。


「覚悟はいいな?」

「ご、ごめんなさぁぁぁぁぁぁい!!」


 キリの怒りの拳を背後に、マナは涙目になりながら全力で謝っていた。





「それでは、向こうも決着がついたみたいですし、お楽しみの弁当を食べましょうか」

「そうだね! 食べよう食べよう!」

「じゃあ私もそうするわ」

「……同じく」

「ったく。仕方ねぇな。おら、起きろ」

「うぅ……キリがぶったんじゃぁん……いったぁい……」


 それぞれがそう言いつつも、食堂で買ってきていた弁当を広げ始める。

 そして、みんながみんな手を合わせた。


「いただきます」

『いただきます』


 ここまで姫様と過ごしたが、わたくしは何かが足りないと心の底で思ってしまった。

誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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