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3-3

なんだかんだとサービス精神のかたまりであるカナちゃんは、私の選んだドレスを着てくれた。


カナちゃんのメンバーカラーである淡いクリアブルーのドレスと、プラチナに濃いブルーの宝石がはめ込まれた繊細な作りのネックレスを身にまとったカナちゃんは、現代日本の感覚で言うとまるでウェディングドレスを着た花嫁のように見えた。


うぅ…っ、なんてきれいなんだ……!


Ydolはメンバーカラーも秀逸だった。

メンバーの立ち位置とパーソナルカラーをうまく組み合わせていて、特にクリアブルーなんて人によっては大事故になる色だけどカナちゃんには良く似合っている。


クリアブルーはカナちゃんの透けそうなほど白い肌と、ネイビーに近いような色のしっとりと濃い黒髪によく映える。

まじめでしっかり者、というキャラクターともぴったりだ。


予算の関係か、アイドル衣装はいつもちょっと…なんというか…ペラペラだった、だからこそいつの日か大きくなったYdolのメンバーにしっかりした生地の衣装を着てほしいと思っていた。


まさか「しっかりした衣装を着てほしい」という願いが、こんな形でかなうことになるとは思わなかったけど……。


私は思わず泣きそうになったけど、侍女さんたちを待たせていることを思い出し、なるべくすみやかに着替えをした。


自分の服なんてなんでもいい、というかこんなきれいなドレスなんて私には似合わないと思ったけど、派手過ぎるのも嫌だから一番落ち着いて見えそうな濃いアイボリーのドレスを選んだ。

メイドさんは目を見張って、


「まぁ、とてもお似合いですわ。そちらは遠くキリウの地で織られた布地を、王都一の名店であるメゾン・ゴードの職人が……」


と滔々と語りだしたので、まぁ悪いチョイスではなかったのだろうと思う。

……この部屋にあるドレスすべてが、とても良いものであるという気はするけれど。


ともかくドレスを着せられ、髪を結われて案内されたのは、豪華……としか言いようのない部屋だった。


以前港町で観光した、外国の人が昔住んでいたお屋敷の中の一部屋をもっと豪華にしたような感じ。外観からもわかってはいたが…ここはともかく、お城そのものだ。


部屋に入ると、例によって先頭で私とカナちゃんを出迎えてくれたのはラムちゃんだった。


「まぁ…そのドレス、とてもお似合いですわ。聖女さま」

「あぁ、ありがとうございます……」


それにしても、この国の人たちはとにかく私を褒める。

私は聖女…という存在らしいので、とにかくヨイショするものなのかもしれないけど、こんなに真正面から、しかも何かにつけて褒められまくると逆に居心地が悪い。


それから、「聖女さま」と呼ばれるのも。


「あの、私…熱海メイと言います。良かったら、聖女ではなくメイと呼んでもらいたいんだけど……聖女っていうガラでもないし……」

「ガラ……ですか?」

「えっと、私、庶民だから、慣れないというか……」

「まぁ……」


ラムちゃんはかわいらしい猫目を少し見開いた。

小さな八重歯も、猫みたいでかわいい。さっきも思ったけど、元気そうなレモンイエローのドレスもよく似合っている。


「それは、これから慣れていただかないと困りますわね。……でも、」


くす、と少しいたずらっぽく笑って。


「メイさまのご希望は、すべてかなえるのがわたくしたちの仕事ですわ」


かっっっっっっわ

なにこの子?かわいすぎる。

今すぐデビューしよ?


「でも、外ではきちんと聖女さまと呼ばせていただきますわね。そこは慣れてくださいませ。

さ、メイさま。こちらにおかけになって」


なんて私が脳内でドルオタしていることに気付いていないラムちゃんは、冷静に私に奥の椅子を勧めた。

うん、そうだね。いつまでも立ち話ってわけにもね。


私とカナちゃんは、まるでドールハウスのような現実味のない豪華な椅子に並んで座った。



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