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須木奈篇 リハビリ野郎とSS姉さん〜壱〜

毎日21時更新します…

ほっぺたの一階ロビー。


職員四名と天野女史がテーブルに着く。

今から佐部さんの会議がここで行われるのだ。


「えと、本日は佐部昼人さん担当の相談支援事業所。天野さんにお越しいただきました」


何で私が進行役なんだと思う。

この天野ってオバサン苦手なんだよ〜。

基本、自信持って仕事してる人がムリ。

自慢じゃないけどプロとして自己肯定感、低いから私。


「それではサービス担当者会議を始めまふ」


いきなり噛んだ。


「先日デイケアを無断欠席して東京郊外に行ってた件、瀬見さんが外出前に面談されたんですよね?」

「ハイ、私がしました!」

「妄想発言がエスカレートしていると判断、受診に繋げる予定でした」


白木さんがフォローしてくれた。

一人じゃないんだと胸熱。


「ウ〜ン……彼、私には何も言わないんですよ。信頼されてるのね瀬見さん」

「ハイ。あ、イヤ〜えへへ」

「問題は退院後の生活ね……デイケア減らすかな」


ウチの法人では滅多に聞けない言葉出た。

サービス減らすって。


「彼はまだ若くて行動的ですから。何かストレングスになるような活動を探してもらうのはどうかと」

「うむ。余暇活動の充実ですな」

「身体の方は問題ないッス。歩くの早いし」


白木鈴木田中のほっぺた連続コンボ。


「運動系とかいいかもね。瀬見さん、彼が興味持ちそうなモノってわかるかしら?」


天野さんがこっち振ってキタ。

佐部さんてバトル系のイメージある。

何でだかわかんないけど。

…………あ。


「えっと……スピード()シューティング()、とか?」


一同はぁ? ってなってる。

何かスイッチ入った。


「あの! 私もハマってるんですけど。エアソフトガンを使った射撃競技でふ」


また噛んだ。


「競技自体は三、四秒で終わるんで体に負担かからないし、遊びのプレイから大会参加まで幅広くやれます」


一同私を見てる。


「あ、あと安全第一でやってます!」


驚くコトに。

優勝した。


◆◇


六階建ての病院。

 

佐部さんは五〇一号室に入院していて点滴中だった。

四人部屋だけど他の患者さんの姿はない。


「具合、どうですか?」

「まぁまぁ」


入院してると白のスウェットがよく映える。


「えーと、ところで佐部さんて射撃とか経験あったりします?」

「うん。アメリカで」


一気にテンション上がる私。


「え、実銃ですかッ。ハンドガン? オート? リボルバー?」

「初めて撃ったのはマスケット銃だけど。この火縄銃ってヤツは単発で先込め式だから、武器としては全然興味湧かなかった」


 火縄……?


「二百年程してアメリカで金属薬莢のリボルバーが作られて、そこから使い始めた」


ひょっとしてコルトSAAのコト言ってる?


「1875年にアメリカ西部でバンパイア戦争があって僕もパンパン撃ってた。射撃得意」


また妄想誘発したかもだけど。

入院中だから大丈夫。

だと思う。


「うん……ね。佐部さん退院したらエアソフトガン一緒にやってみません?」

「瀬見もやるの」

「もちです」

「じゃ、やる」



ほっぺた事務所。

入院中ではあるけど佐部さんの意向を確認した上で個別支援計画書を一部変更するコトとなった。


本人のニーズ〝楽しみを見つける〟エアソフトガン競技に参加。職員同行見守り、毎週金曜十三〜十五時。


ワクワクする気持ちを隠しつつ白木さんに質問。


「具体的に見守りって何をすれば」

「状態確認ですね。慣れるまでは不穏にならないよう観察して。本人しんどくなるようならタクシーで連れ帰って下さい」

「そこまでやるんですね」

「利用者さんの自立した生活を支えるのが私達の仕事なので。よろしくです」


遊びじゃないんだ。

けど、手応えも感じてる。

それではまた…

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