魔法少女、誕生 Part.28
前回投稿した『Part.27』の続きをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
実季が智史に送ってもらう形で自宅である『あかまつ小児内科』へと向かっている頃。
ジョギングをやり遂げる為、公園内にて幼馴染の2人と別れた真琴は速いとも遅いともつかないペースを維持しつつ自宅に到着したのであった。
「ただいまぁ。」
玄関のドアを開けアシックス製のランニングシューズを脱ぐとそれを目立たない様に隅の方へと置き家の中へ上がった真琴は洗面台にて手洗いを行った後、冷蔵庫に入っているポカリスエットを飲むべくキッチンへと向かう。
「お帰り、真琴。どうだったジョギングの方は?」
キッチンへ入室すると母である恵子が食卓スペースにて椅子に座りタブレット端末で書籍を読んでおりジョギングへと出発していく娘の姿を見送った経緯も有り真琴へそれについての感想を尋ねた。
「一応、公園まで行って来た。」
「公園?その割には随分、遅かったわね。」
2リットル入りのポカリスエットを冷蔵庫から取り出そうとする傍ら恵子からの問い掛けに答える真琴。
しかしながら、恵子は家から然程離れていないのにも拘わらず公園までの往復をしたにしては時間が掛かり過ぎている事に疑問を覚えるのだった。
「ま、まぁ色々とね。」
恵子からの問い掛けに真琴はポカリスエットを手にしたまま思わず言葉を詰まらせてしまう。
勿論、実季が『魔法少女メルシールー』へと変身を遂げた際に巻き起こった出来事が関係しているからである。
片やそんな真琴の様子を些か不審に思う恵子であったがその直後に
「(大方、実季ちゃんか智史くんと会って話しでもしてたんでしょうね。)」
と、判断すると一先ずこのやり取りを打ち切る事にした。
そこへ真琴と恵子のやり取りを耳にした事を理由に弟の斗真がキッチンへとやって来た。
「姉ちゃんお帰り。」
「ああ、斗真。ただいま。」
どうやら真琴が家を空けていた事を知っていたらしい斗真。
姉に向け帰宅の際の挨拶をすると真琴はそれに対しての返事をするのだった。
因みに真琴と3歳年が離れている斗真は実季の妹である実莉、智史の弟である一史と同級生であり上の兄弟達と同じく幼馴染の友人という間柄であった。
「ねぇ、俺にもポカリ頂戴。」
「うん、良いわよ。」
姉が手にしているポカリスエットを目にし、自分にもと強請る斗真に微笑交じりに二つ返事で答える真琴。
すると取り出した2つのコップにポカリスエットを注ぐ真琴の出で立ちを凝視した上で斗真は訝しげにしながらもこう尋ねた。
「ってか、姉ちゃんその格好なに?」
「べ、別に・・・。それよりほら、ポカリ入れたから。」
斗真からの問い掛けに真琴は一瞬ギョッとするもすぐさまそれをはぐらかす様にしてコップに注いだポカリスエットを差し出した。
その光景を傍から見ていた恵子は心成しかほくそ笑みながらも真琴へこんな提案を投げ掛けた。
「真琴、ポカリ飲んだら一旦シャワー浴びて来たら?ジョギングして汗かいただろうし。」
「お、お母さん!?」
母の提案の中に聞き捨てならない言葉が有った事で図らずも動揺してしまう真琴だったが、当の本人からは悪びれた様子は見受けられない。
「ええ、姉ちゃんジョギングして来たの?何でまた?」
「と、斗真!?べ、別に良いじゃない・・・。」
今、目にしている姉の出で立ちについて納得するも何故ジョギングをするに至ったのかを理解出来ないでいる斗真に真琴は再びそれをはぐらかす。
「んん?斗真、もしかして知りたいの?」
「もう、お母さんったら!」
「あはは、冗談、冗談。さ、シャワー浴びてらっしゃい、真琴。」
何やら斗真が知りたそうにしていると察知した事でその経緯について話そうとする母に真琴はこれ以上の暴走を阻止するかの如く声を荒げるとその姿を滑稽に思ったのか恵子は笑いながらも娘に対しシャワーを浴びて来る様、促すのだった。
姉の真琴が浴室へと向かおうとする中、ポカリスエットの入ったコップを口元に近付けると斗真はその後ろ姿を物思いに見詰める。
「斗真、もしあれだったらお風呂入って来て良いのよ?お姉ちゃんと。」
「お、お母さん!?俺、もう小5だよ。別にそんな。」
先の光景を目にした事で今度は息子へと『口撃』を仕掛ける恵子。
一方で斗真は母の言葉に吃驚すると顔を赤くさせながらもそれを拒んだ。
「まぁ入ると言っても浴槽にお湯は入ってないからシャワーだけになるけどね。」
「何で姉ちゃんと風呂に入る方向で話を進めるんだよ!」
「それと上がる時に給湯器のお湯張りボタンを押しといてね。」
「だから一緒に入らないって言ってるじゃんか!」
断言しているのにも拘らず聞く耳を持たない母に斗真は先程の真琴同様に声を荒げながらも反駁した。
そんな中、脱衣場の引き戸を閉め今し方自室へと取りに行った着替えを収納棚に置くと真琴はシャワーを浴びる為、身に付けている衣服を順番に脱ぎ始めた。
「(はぁ、お母さんってたまにああいう悪ノリする時有るんだよなぁ。)」
恵子のネガティブな一面を憂い溜め息が漏れる真琴ではあったが頭の片隅では実季と2人きりで帰るきっかけを与えた智史の事を気掛かりに思っていたのだった。
「(智史くん、上手くやってるのかしら?)」
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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