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魔法少女、誕生 Part.25

前回投稿した『Part.24』の続きをお届けします。

それではごゆっくりご覧下さい。

重苦しい雰囲気に身を包み実季(みのる)達に向け何か訴え掛けようとするクロード。

一方でそんなクロードに対し緊張感を覚える3人は揃って身構えながらもこの後彼の口から放たれる言葉に備えるも結果としてそれは取り越し苦労となってしまうのだった。


「何故それを早く言ってくれなかったんですか?」


先刻までとは違い目を輝かせながら問い掛けるクロードに思わず拍子抜けする3人だったがそんな彼等を他所に魔法使いの少年は浮かれた様子で喜びを露わにし始める。


「いやぁ、僕とした事がうっかりしててその発想には及びませんでしたよ。でももうひもじい思いをしなくて済む。いやっほ~い!」


察するに『食べ物を魔法で出す』という考えに至らなかったらしいクロード。

真琴からの一言がきっかけとなりその事に気付くあまり幼子の様に一頻りはしゃいだ後、クロードは徐に自身が所有するステッキを取り出すと今、口にしたいと願う飲食物を幾つか魔法で繰り出した。


「ひょっとして家で売ってる『あんパン』に、『限定メロンパン』じゃないか?」

「それにあの紙パックに入った飲み物、もしかして『ロージー牛乳』かしら?」

「って、全部私がクロードにあげたヤツじゃん!」


クロードの魔法によって繰り出された飲食物が自宅である吉岡パンにて製造販売されている菓子パンではないかと疑る智史(さとし)に続き真琴はこの地域のソウルドリンク『ロージー牛乳』らしき代物に目を留める。

片や実季はこれ等の飲食物を見た上で自分がメルシールーへと変身を遂げる前に空腹に耐え兼ねているだろうクロードへ差し出した物と全く同じである事を指摘した。

それぞれ異なった反応を示す3人を尻目に魔法で繰り出した飲食物の内、クロードは限定メロンパンを勢い良く頬張るとそれを流し込む様にロージー牛乳を口に入れる。


「嗚呼、美味しい・・・。」


恍惚とした表情を浮かべ噛み締める様にして限定メロンパンを食すクロードを受け実季はタイミングを見計らいたった今浮かんだ疑問をぶつける事にした。


「ねぇ、クロード。魔法で食べ物が出せるって分かったのに何でまたパンとロージー牛乳なの?」

「いやぁ、実季さんから頂いた際、あまりにも美味しかったのでまた食べたいと思っての事です。」


実季からの問いに対し屈託の無い笑顔を見せ答えてみせるクロード。

それを受け真琴と智史が当惑する傍で返答に窮してしまいそうになった実季は一先ず

「へぇ、そうなんだぁ・・・。」

と、当たり障りの無い台詞を述べるも次に放たれるクロードの言葉をきっかけにその感情が別のものへと変貌する。


「ですが僕としては実季さんから貰ったパンの方が美味しかった様に思えます。何と言うか、実季さんの優しさというか思いやりみたいなものが感じられたのかもしれませんね。」

「・・・!?クロード、なんて良い子なの!」


お世辞ではなく本心で述べたであろうクロードの言葉に感極まる実季。

続けて補足事項として智史の自宅である吉岡パンにて菓子パンとロージー牛乳を購入した経緯を説明した。


「へぇ。じゃぁ僕が食べたパンは智史さんのご両親が作ったものですか?」

「いやぁ、パンを作ってるのは親父と爺ちゃんと婆ちゃんだ。因みにお袋は看護師だからパン作りには関わってないんだ。」


父親である直哉と祖父母である泰造、静子がパンの製造を行っているのに加え母親である弥生は看護師として勤務している事を説明する智史。

するとクロードはどういう訳か表情を強張らせると

「そうでしたか。」

と相槌を前置きにした上でこんな言葉を告げた。


「では、今この時をもって智史さんの家のパンを魔法で繰り出すのを止める事にします。」


その言葉の意図を理解出来ず3人共が唖然とする中、魔法使いの少年は神妙な顔を維持させたまま話を続ける。


「智史さんの家に迷惑が掛かってしまう事も考えられますが第一にこれ程の美味しいパンの味を魔法界に居る腕利きの魔法使いがどんなに上級の魔法を繰り出したとて、再現する等、実現不可能です。」

「・・・!?クロード、お前って本当に良い奴だなぁ!」


今の言葉を受け実季と同様に感極まった智史はクロードを称賛するかの如く肩を組んだ。

一連の流れを第三者の視点として見ていた真琴は

「(クロードくん、恐ろしい子・・・。)」

と、クロード自身が生まれ持って兼ね備えているだろう(したた)かさに驚愕するのだった。


そして、時間的にそろそろ帰宅した方が良いだろうと判断した3人はクロードとこの場で分かれる事にする。


「それでは何か有りましたら、そのステッキで知らせます。」


実季の手の平に乗っているマッチ棒程の形状になったステッキを指しそう告げるとクロードは『ワンルーム カプセル』の中へと吸い込まれる様にして入っていったのだった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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