魔法少女、誕生 Part.20
前回投稿した『Part.19』の続きをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
思いの丈を赤裸々に語った事で照れ臭さを覚えた真琴がはにかむ様にして笑う中、彼女の主観に共感すべく意見を述べようとする智史。
だが、そんな思考に至っているとは露知らず実季は間をすり抜けるかの如く智史よりも先に真琴へ向け口を開く。
「そう言えば小さい頃の真琴って『ラブリーキュア』や『ミルキーアレン』とか好きだったもんね?」
「あは、懐かしい。日曜の朝にやってたわね。確か実季も好きだったわよね?」
嘗て夢中になって見ていたアニメ作品に関する記憶が蘇り懐かしさに浸る真琴。
同様に実季の中でも当時の記憶が蘇ったらしく先程の真琴の言葉に付け加える様にして続ける。
「あと、智史も好きだったと思うよ。その日、録画してもらったやつを見ようとしたら偶に家に来て『お前が見たいんだったら見ろよ。付き合ってやるからさ。』って言って一緒に見た事が何回か有ったから。」
「実季!?そんな事、今此処で言う必要ないだろ?」
「でも、智史。本当の事じゃない?」
「そうだけど、何もガキの頃の話を蒸し返さなくても・・・。」
実季によって過去の言動を暴露され智史は激しく動揺するも当の本人からは『悪気』というものを一切感じられずそれを理解した途端フェードアウト気味に言葉を詰まらせる。
「智史くん、別に良いじゃない。男の子が女の子向けのアニメを見たって。」
「真琴、ニヤニヤしながら言うんじゃねぇよ!」
長い付き合いとはいえ今まで知らなかった情報を得た事で含み笑いを浮かべ意味有り気な言葉を掛ける真琴に声を荒げ反駁する智史。
「そうだよ。私も智史に付き合って『ハイパーレンジャー』や『マスクドライダー』を見てたから別に変じゃ無いよ。」
「実季、そういう事じゃねぇよ。」
慌てふためく男友達の素振りを受け罪悪感を覚えたのか自分なりに懸命なフォローを入れる実季だったがこの状況下において的外れな厚意を施す彼女に智史は半ば諦めた様子を窺わせながらも指摘した。
「(これも興味深いデータ。では無いか・・・。)」
これ等の光景を客観的に見た上でクロードが困惑する中、気を取り直し智史は先刻告げられずにいた所感を述べる。
「真琴、さっきの話だけどその気持ち分かるぜ。ガキの頃、俺も『ハイパーレンジャー』や『マスクドライダー』を見ながら憧れを抱いていたよ。強くなりたいとか誰かを守れるような存在になりたいとかいう理由で。」
「へぇ、可愛らしいわね。そう言えば斗真にもそんな時が有ったっけ。」
幼い頃の智史の経験談を聞き真琴は愛らしさを覚えつつ弟である斗真にも同様の時期が有った事を思い出す。
「それでこそ私の家に来た時、よくヒーローごっこやったよね?あの時の智史ってば決め台詞で『実季は俺が守る』とか言ってたよね。」
「実季、だからそれは昔の話だろぉ。」
「あらあら、智史くんったら。」
実季によって幼少期の言動を再び公表されてしまい反論する智史を見ながら真琴は含み笑いを浮かべた。
「(一先ずこのデータについては保留という事にしておこう。)」
幼馴染3人によるやり取りを一頻り見届けた末に人知れずクロードはそんな結論を導き出したのだった。
そして今一度、クロードは実季へ向けメルシールーから元の姿へと戻る為の方法を説明する。
「では実季さん。ステッキを真っ直ぐ構えて『フォームアウト』と叫んで下さい。」
「うん。『フォームアウト』!」
言われた通りステッキを正面に構えると魔法少女は変身を解除する言葉を唱える。
その瞬間、突如としてメルシールーとしてのコスチュームが眩しく光り始めると程無くしてシャボン玉みたく弾ける様にして消失したのだった。
「きゃぁ!」
「ひゃぁ!?」
「うぉっ!?」
意図せぬ出来事に驚倒するあまり悲鳴を上げるメルシールー。
真琴と智史が瞠目する傍ら首から下が眩い光に包まれているとはいえ屋外にて自身の身体のシルエットが露わになってしまった事で赤面する魔法少女は反射的に胸の辺りを手で覆う。
数秒後、身体中を包んでいた光が消えると彼女の出で立ちはパーカーにショートパンツ、コンバースのハイカットスニーカーという変身前の格好に戻っていたのだった。
「智史。今、見たでしょ?」
「いやいや。全然見てないぞ、実季。っていうか寧ろ見えてなかったぞ!」
恥ずかしさの余韻が冷めやらぬままジトッとした目付きで実季から問い掛けられるも智史は目を泳がせつつ必死にそれを否定した。
そして収まりの付かない心境のまま実季はクロードへとその想いをぶつける。
「っていうかクロード。こういう風になるって初めから分かってたんでしょ!何で言ってくれなかったの?」
「す、すみません実季さん。ですが光で覆われていてちゃんと隠れていたので大丈夫だとは思いますけど・・・。」
「大丈夫じゃないよ。私的にも倫理的にも!」
一瞬ビクリと肩を震わせた後、クロードはそれらしい理由を付け弁明するも今の実季には通用する筈も無く論駁されてしまうのだった。
「でもまぁ、見えなかったにしても迂闊に人前では出来ないわね?」
皆の心中を察したらしい真琴は飽くまでも平然とした態度を装い散らかり始めたこの場を静めるに相応しい言葉を述べたのだった。
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