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Made for You  作者: 依代 蓮
Stand by You
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9/9

Stand by You④

臨海学校初日。活動を終えた悠は部屋で過ごしていた———

 三人が部屋を出ていったあとも、悠はしばらく窓際に立っていた。


 夕焼けが海を橙色に染めている。

 遠くから波の音が聞こえた。


 学校では、誰かの笑い声が聞こえるだけで胸が締め付けられた。


 でもここには、それがない。


 宮本もいない。

 誰かの顔色を窺う必要もない。


 たったそれだけのことが、こんなにも心を軽くするなんて思わなかった。


 コンコン。


「悠ー? まだいる?」


 村田が顔を覗かせる。


「飯始まるって。折角だし一緒に食べようぜ」


「わかった。今行く」


 部屋を出る。


 食堂には学年中の生徒が集まっていた。


「これうまっ!」


「ご飯おかわり行こうぜ!」


 あちこちで笑い声が上がる。

 悠の席も、それぞれのグループやクラスの話で盛り上がってる。


「なあ知ってるか?」


 C組の小杉が話し始める。


「A組の宮本がC組の夜野に告るんだって!」


 村田が反応する。


「夜野…ってあれだよな。体育祭の時に5人くらいから告られたけど全員振った」


 西野も乗っかる。


「先輩からも告られたんだろ?」


「そうそう。けど宮本もかっこいいとかって結構有名じゃん」


 悠の肩がびくっとなる。


「まあ顔かっこいいもんな」


「僻みかよ、西野」


 茶化す悠。


「そんなんじゃねえし」


 笑いが起こる。


「なんか今夜海岸で告るらしいわ」


「どっちも人気者だしお似合いかもな」


「とうそらカップル成立かー」


 小杉の発言に悠が問う。


「とうそら?」


「宮本斗真の"とう”と夜野天の”そら”」


 そら。


 その二文字が耳に入った瞬間。

 悠の心臓の鼓動が、早くなるのを感じた。


 でも。

 まさか。

 そんな偶然あるわけがない。


 頭では否定しているのに、その名前だけが妙に引っ掛かった。

——————————————————————————————————————————————

 夕食も終わり、消灯までは少し時間があった。


「次ババ抜き負けたやつジュースおごりな!」


 村田の提案で場に緊張が走る。


 最初に一番多かった小杉の手札を悠が引くところから始まった。


 早速ジョーカー。

 一番右に配置する。


 6枚ある悠の手札の左端を村田が取った。

 揃った。残り3枚。


 ゲームは順調に進んだが、ジョーカーは動かない。

 2枚残った悠のカードを村田が引く。


 ジョーカーは、動かなかった。


「流石にお金は出すわー。俺コーラで」


「じゃあ缶コーヒー」


「スポドリで」


 3人の期待と小銭を片手に外へ出た。

——————————————————————————————————————————————

 夜の海沿いは7月とはいえ、半袖には寒い。

 自販機のある宿舎の裏手。


 少ない街灯が海岸を照らしていた。

 潮風が心地よく吹き抜ける。


 一人の男子生徒が砂浜に立ってるのを見かける。


 宮本だ———

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