第一話 ジャスティス学園ダンジョンに降り立つ!!
東京最底辺の工業高校。
摩郷島工業。
そこは真の漢を極めるための学校。
喧嘩!
カツアゲ!
ドラッグ!
野球!
悪の中の悪。
世の中の悪徳をコンプリートしたヤンキーオブヤンキーの巣。
男女共学なのに暴力とバイクと一子相伝の暗殺拳だけが学校を支配する!
まさに世紀末! あと六十年以上先なのに世紀末!
バイクに乗ったモヒカンがヒャッハーし、斧で襲いかかる。
あるものはパンチで竜巻を起こし、あるものは家伝の暗殺拳で真空を操る。
またあるものは世界中の暗殺拳を極め、身長十メートルに見えるらしい。
人間を超越したもの。
つまり変態だ。
そんな中にも一般人はいる。
それが俺。
今日入学式の極道仁義だ。
……言っとくけど本名だ。
なぜぼくはこんな学校に来てしまったのだろうか?
未だにわからない。
ただ言えるのは、おかんが失踪した。
ぼくの高校受験費用とともに。
で、ヤクザをやってた親父は埼玉県知事暗殺のヒットマンとして出陣。
SPに射殺された。
借金取りに臓器を売られそうになったところ、この学校に入れば借金取りもあきらめてくれると警察に言われ入学。
金も国が貸してくれた。
夜間に生活費を稼ぎながらの生活である。
おそらく失踪したおかんの臓器は高く売れただろう。
そんな売女とヤクザの息子の俺であるが、喧嘩などしたことない。
友だちもいない。
親たちが「ジャスティスくんと遊んじゃだめ」って言ってたし、担任も「ジャスティスくんと遊ばないように」って言ってたからね。
それでも組が後ろ盾だった中学までは安全だった。
でもいまは違う。
親父はもういない。母親はたぶん臓器を取り出されて海の底だ。
組長は都知事暗殺未遂と各種殺人の容疑で死刑判決を待つ身。
そしてぼくは一子相伝の暗殺拳の使い手などではなく、ただのオタク。
後ろ盾なし。
はい人生詰んだ。
もう終わり。
人生のやる気が消え失せたところで入学式。
さあ教室に入ろう……。
眼帯つけた髭にワカメ髪の暗殺拳使いそうな男に学ランにシルクハットがいた……三人衆みたいなのを確認。
腕が女子の胴より太い。主成分筋肉。
さあ帰ろう。
富士の樹海あたりに。
俺に相応しい場所に。
と思った瞬間だった。
「地震!」
ぐらぐらと建物が揺れた。
「ちょ!」
なにかが落ちてきて目の前が真っ暗になった。
「おい、生きてるか?」
生きてる……と返事しようと思ったらいきなりビンタ。
「目を覚ませ! 生きろ! 生きるんだ!」
べちこん! べちこん!
容赦のないビンタが俺を襲う。
さらにグーパン!
げぶら!
「殺す気か!」
「お、おう大丈夫か」
なんか美形にたたき起こされた。
短髪で男子の制服着てるチマッとしてる子だ。
俺は男でも関係ねえぜってやつは多いだろう。
なお俺にはその気はない。
でも……なんだか……エロいな。こいつ。
なんでだろう?
なんか全体的にエロいんだよね?
そのNTR専用機みたいな感じじゃなくて清楚系?
自分でもなに言ってるかわからない。
「ああ、なんとか生きてる。ありがとう」
感謝してないけど一応ね!
すごいだろ!
これが人間力だ!
「なにがあったんだ!?」
「地震があったんだ」
「クラスの連中は?」
「見て」
教室を指さす。
中は凄惨な状況だった。
その……真っ赤。
事故で天井が崩落したとかじゃない。
誰かに殺さされたのだ。
例の三人衆も首だけになってた。
特に感想はない。
人はいつか死ぬものだ。
外は見たこともない風景。
赤い太陽が見えた。
それも二つ。
二倍だから強いんだぞ!
「なにがあった?」
「か、怪物がやって来て……ぼくは瓦礫で身動き取れなくて見つからなかったんだけど。ようやく出られて」
冗談だろ。
怪物って……変態三人衆倒しちゃうくらい強いの?
「あー。俺は?」
「階段下で伸びてたよ」
「ジャスティスくんでしょ? みんな名簿見て笑ってたよ」
「あいつら死んでスカッとしたわ」
名前を笑うやつらは死ね。
「新城真琴だ」
「まこちんヨロ。俺、仁義って書いてジャスティス。ジャスくんでいいよ」
「ジャスくんね」
そうそう。
たしかスポーツバッグがこっちに転がって……。あった。
中を漁る。
バタフライナイフと親父の拳銃があった。
「君はなにを持ってきてるんだい?」
「親の形見。でもこの学校じゃ最低限だろこんなカス装備!」
「そうなんだけどさ!」
銃でも止められない。特に三年生は。
やつらにはロケットランチャーが必要だ。
「まこちんは? なんか武器持ってないの?」
「ぼくはこれだ」
日本刀を見せてくる。
「昔から剣道やっててさ」
嘘だね!
鍔までついてる!
中学レベルの剣道で真剣の使い方なんて習わないね!
居合とか古流剣術だろう。
「なんだその目は! たしかに剣道じゃないけどさ! 君だって拳銃使えないだろ!?」
じゃきん。リローディング。
できるんだな~。
「使えるよ。小学一年のとき組長が教えてくれた」
俺が小さい頃、テキ屋に闇金とオレオレ詐欺で儲かってたころだ。
組長と親父はよくフィリピンや韓国に連れてってくれて銃を教えてくれた。
ヒットマンをしたらお小遣いをくれるって言ってくれたのに、アメリカでスナイパーライフルの講習受けたらなにも言わなくなった。
不思議なものである。
ナイフも不法入国の外国人から習った。
向こうは日常生活の必需品だから使うの上手だよね。
「君の話は頭がおかしくなりそうだよ」
使えるだけだ。
強いとは一言も言ってない。
拳銃じゃ伝説の暗殺拳になんか勝てる気がしない。
そもそも俺はよくいる反社の子どもだろう。
変態暗殺拳の使い手とは違う。
連中を止めるにはロケットランチャーが必要だろう。
そんな状況でマガジンは一つだけ。
弾が重すぎるんだよ!
LAギャングスタイルで拳銃をベルトに挟む。
ナイフは片手に持ってる。
ストッパー片手で外して片手でオープンからのクローズ。
うむ、まだできる。
ナイフ使えるけど普段使わないからね。
「とりあえず外に出よう」
廊下を進んでいくと緑色の小さな人影が見えた。
どう言い訳しても怪物だ。
「どうする?」
そんなこと言われても。
戦う以外のコマンド出ないわけでさー。
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