種族
「イフィリオス種族辞典?」
「名前の通り、イフィリオスに存在する種族について書かれている本だ。代表的な種族から、聞いたことのない種族まで載っているんだ」
まるで動物図鑑みたいだな....と頭の中で思う。
ほら、ライオンとかチーターとか有名なやつからキーウィみたいな「なにそれ」筆頭のものまで乗ってるじゃん。
※ちなみにキーウィはニュージーランドの国鳥とされています。鳥ですが、ほとんど飛べません。
「まずは、もはやいて当たり前の種族の人間種」
ページをぺらりとめくると、(一応服を着た)人間が描かれている。描かなくてもわかるような気がするけどなぁ......。
「人間種について話すことは....ないね」
「人間種の雑学ならいいけれどね」
「立ちくらみの正式名称は....眼前暗黒感だって......」
「それ正式名称あったんだ.....」
そんなことを話しながら、2、3ページめくると、またもや人間種と瓜二つの絵が出てきた。トレースしてる?
けれど、名称のところには「長命種」と書かれている。
「長命種?そんな種族があるのか?」
「名前の通り、寿命が他の種族より遥かに長い種族だ。その寿命の長さから、元老院を構成している元老の大半は長命種だそうだよ」
ぺらり。と1ページめくると、より長い文章が書かれているページが出てきた。
「長命種の特徴としては、一人一人が何か特殊な力を持っているところだね。例えば物を浮かせる、人の記憶を消す、虚偽に騙されない.....様々あるけれど、はるか昔から生きる長命種ほど、強い力を持っているとされている」
「たとえば.......地形を変えれるとか?」
「有り得そう......」
なんでもありになってこない?それだったら....。
「この2種が代表的な種族だけれど、それ以外にも種族は存在する。例えば.......」
そういいまたぺらり。とめくると、10何種類ほど絵が描かれているページがでてきた。
「長命種と同じくらい存在しているのが、獣種だね。獣の見た目をしていて、その種類は獣の数ほどあると言われているそうだ」
「確か......武力を重んじる種族だっけ?」
例えばメイス。例えば斧。例えば鉄球。
獣種の扱う武器は重量級なのである。一撃必殺も夢じゃない。
「中には...知的な者もいるんだっけ........」
まるでケイローンみたいだな...と思う。でもやっぱり使う武器はぶっとんだものなんだろうか..。
「他にも鬼火を操り複数の尾を持つ妖狐族や、自由に雨を降らせることのできる雨族など、いろんな種族がイフィリオスには存在する」
「そんなにいるんだ......」
これはまた意外に興味深い。知識の沼に陥った時に感じるあのなんとも言えない満足感に襲われているようなあの感じ。
「正直、こんなに細かく書かれている辞典を手に入れることができるとは思っていなかった」
「こんな辞典を求めて来たのに?」
「誰しも、予想より下の結果になることをよく考えるだろう?」
「まぁ、確かに」
「予想よりいい事は、案外少ないものね」
見てみよ、このご満悦な表情のアレアトを。
こっちまで幸せになるって。
「そういや、次の目的地はどこにするか決まっているのか?」
ちなみに今現在、タレスティアに1週間ほど滞在している状態である。もうすこし滞在することになるだろうが、そろそろ次の目的地を決めておく頃合いになってきたであろう。
「もちろん。なんなら、この街に来る前から決めていたよ」
「早くない?」
「ちなみにカタルシスは、イフィリオスの首都がどこか、知っているかい」
「あったりまえだろ!他の街名は答えられなくても首都くらいは覚えているぞ!」
「それならよろしい」
なるほどつまり次の目的地は首都と来たか....
名前は知っていても、行ったことは無い。だが、イフィリオス最大の巨大街であることは知っている。
「次は、首都トロイアへ行くつもりだ。あと数日滞在してから、出発するよ」
「はーい」
「首都か.ぁ......広い......」
残りの数日でしっかり準備を整える。何にしろタレスティアからトロイアまでの距離はものすごく離れているのである。
正方形の紙の中央にトロイアがあるとすると、タレスティアは端の方である。遠い。
「さて、そろそろ寝るとしよう。特にカタルシス」
「うぇ?」
「回復剤を飲んで元気いっぱいだとしても、しっかり寝るんだぞ?」
「あいあいきゃぷてん」
「それじゃ、おやすみ〜」
部屋の電気が消え、最初にアレーティアの寝息が聞こえてきた。その次にアレアト。
よし、2人とも寝たな。
俺は抜き足差し足忍び足で静か〜に部屋を出る。ちなみに俺の隣のベッドはネモが使っているが、もちろん不在である。俺より先に出てったからだ。
たどり着いたのは、タレスティアを一望できる場所。俺がネモを探しに行った時、最初に訪れた場所である。今回こそここにいると確信しているからこそここへ来たのだ。
「やっぱりここにいたか」
ピクッと震え、静かに振り返るネモ。
お隣失礼しまーす。
「夜風に当たるのが好きなのか?それとも夜空を見上げるのが好きなのか?」
「.....どっちもかな..........」
真っ黒なキャンバスに、細かい宝石を散りばめたように輝く星々は、掴めそうで掴めない遠い存在である。
「『たとえいつか忘れ去られたとしても、存在した軌跡は残る』」
ハッとしたように、俺の顔を見るネモ。その表情は、どこか驚きが混じっていた。
「ネモのモノテクネー?の呪文だろうが、俺はこのこの言葉が好きだ」
たとえ沢山の人々の記憶に刻まれなかったとしても、確かにそこにいたという軌跡は残る。それこそが、自分がこの世界に存在していたと証明出来るものである。
「.......カタルシスは、物語は好き...?」
「うーん。大体好きかな」
「そうなんだね..........」
暫く続く沈黙。だけど、それがとこか心地がいい。
静かに考えることのできるこの一瞬が、心地いいのである。
「物語は、全てが本物とは限らない。もしかしたら、実際は違うどこかがあるだろうし、全てが虚偽だってこともある」
その物語が本物であると証明することは、簡単な時もあれば想像以上に難しい時もある。
「だけど、それは関係ない。俺は物語自体が好きだ」
「それは......どうして?」
「物語の中では確かに人々は存在していて、物語の中で生きてる。たとえ現実じゃなくても、物語という世界で存在しているんだ」
「物語という世界........」
「いわば幻想だよな。でも幻想だとしても、確かにそこに存在しているだけで、俺はいいと思うしその存在を記憶に刻む」
「なぜ......?」
「俺にとって、その存在が記憶に刻む価値があるからだ」
とある人が言った。何も学びを得られないような人に出会ったことはない、と。
どんな存在であれ、新しい発見ができる。アホでもカスでもね。
「そして、俺にとって記憶に刻む価値があるのは、この世界の全てだ」
何も知らないよりは、すこしでも多くのことを知っていたい。
「『この世界の全てを知ることは不可能でも、知ろうとすることに意味がある』この言葉は、俺の師匠の口癖なんだ」
夜空に手を伸ばす。あの星の数ほど、俺の知らない事がある。
旅の意義はいくつあってもいいだろう。
途中から見つけたっていいだろう。
うーーん。ブレそう(多少キャラクター設定が)。頑張るしかねぇ。
大まかな柱にはちゃんと建設しているし。あとは追突するだけだ。




