次の世代へ
「さぁっーて、俺は作業に戻るぞ。松茸はそこに置いといてくれ」
「ああ、よろしくな」
「お兄ちゃんさー。私が引けるリヤカー作ってくれない?」
「苗を運ぶのか。重い物は積むのか?」
「んー。そんなに重い物は積まないかな。なんで?」
「全部、木だと重くなるから、軽く出来る部分は竹にしようかと」
「それがいいね!」
「はい!完成!」
「ねえー。思ったんだけど、お兄ちゃんこれだけ色々作れるんだから、お兄ちゃんが売れる物作ればいいんじゃない?」
「ダメだ。絶対にだ!」
「何でよ?」
「屋敷にあったガラクタ?覚えてるだろ」
「時計とかね」
「あれになる可能性がある」
「どう言う事?」
「例えば、朝作ったリヤカーだ。ガイはなんて言った?」
「確か、車輪がどうのこうの?」
「そうそう」
「それがどうしたの?」
「そこだよ。恐らくガイさんは、あれを1度バラして、仕組みを理解して、再度組み立てるはずさ。僕らの居た世界では、リバースエンジニアリングって言うやつさ」
「それは解るよ。それが何か関係あるの?」
「じゃあ、あの時ガイさんがリヤカーを見て、この村で俺の仕事は無くなったと言って去ったらどうなる?」
「!?」
「自分が居る間は、魔法でポンポンと作れるが自分が居なくなったら?新たな物も作れず、壊れても修理出来ずになったら?」
「恐らくだけど、変に魔法が使えるせいで、技術が次の世代へ引き継がれてない」
「!?」
「母さんの魔法もそうさ。醤油、味噌が作れるが、今母さんが居なくなったら、ここに居る僕たちじゃあ作れない」
「さくらの魔法は、まだ不明点が多いけど、もし鉄を作る技術が確立してなかったら?」
「みどりの魔法もだ。種の品種改良も僕らじゃ出来ない」
「確かに、さとるの言う通りだ」
「昨日話の件で、生産可能と量産可能と分けた方がいい。量産可能は僕らが指導したり、村の人達が生産した物が良いと思う」
ふふふ。俺の子孫と言うかこの転生者達は面白い、のんびりしているのがたまに傷だがな。それとも前の世界の未来は、こんな奴等が沢山居るのか?それにしても面白すぎる。こりゃー楽しくなりそうじゃ。
ミリオタの記憶は全部見れてないが、こやつらに足りない物は、この俺様が持っている。笑いが止まらんぞ。
「若ー。この変わったリヤカーは何だ?」
「ガイ、何で頭を鷲掴みにするの??」
「今度から、若が新たに作った物は必ずだ!必ず俺にも寄越せ」
あははは。
「さとる、頼みたいものがある」
「何さー。スープが2人分位入る容器を頼む」
「スープジャーみたいの?保温は無理だよ」
「保温はいらない。スープが溢れなく様な奴な」
「こんな感じ??」
「そうだな!これをそうだな。30個程今作ってくれ」
「ガイ、コレはどうだ?」
「これは、簡単だな」
「開けられるか?」
「4代目、そりゃー馬鹿にしすぎだぜ。ん?引っ張っても開かないぞ」
「ここを持って回してみ」
「こっこれは!?この出っ張ったと所とへっこんだ所が噛み合って、溢れなくするのか!?かなりの衝撃的だ!一つ寄越せ」
あはは。
「しかしこれは何に使うの?」
「母さんと相談なんだが、住民票を登録したら、スープを入れて渡そうかと」
「食べ物で釣るの?」
「まあそうだな。食べ物なら来てくれそうだし」
「それだけじゃダメよ。そうね。パン、スープ、何か甘菓子なんていいかしら」
「それなら、ルカも手伝って貰おう。教会の隣だし、シスターは勿論だが。2人には私が話しておくので、メニューを頼んだぞ」
「任せない」




