序章
1970年代後半から1980年代前半にかけて、各地の中学校で校内暴力が多発した。
生徒間では公然と行われ、かつマスメディアで連日のように報道された。
そんなツッパリたちの数も時代の遷移と共に、徐々に消えていった。
もちろん不良と呼ばれる生徒が皆無になったというわけではなく、一定数存在するのだが、かつての盛り上がりは失われていった。
そして時が過ぎて「平成」が終わりを迎えようとしている。
やってくる時代は「万成」、万事が晩成することを掛けていると思われる。
が、年号に込められた人々の想いと裏腹に、時代が再び荒れることとなる。
後に人々は皮肉を込めてこの時代を「番醒」と呼んだ。
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浦板 宅兎は致命的な欠点が二つあった。
一つは典型的なオタクであること。
そして二つ目に、重度の中二病であることだ。
これが「平成」であったならば、まあ静かに学校生活を終えることが出来ただろう。
だが時代は「万成」である。
日本は改元直後は好景気を迎えたが、増税とオリンピック閉幕の影響でひどい反動不況に陥った。
民衆の不満の表れかのように、校内暴力が頻発するようになり、番長と呼ばれる存在が台頭し始めた。
番長連合が組まれると即座に巨大化していき、警察はその対応に日々追われるようになっていく。
ちなみに、「番醒」は番長が目覚めた、と皮肉を込めた年号の呼び方である。
大江戸総会、通称「戸会」と呼ばれる連合組織は関東でも最も巨大な不良集団だ。
なお「戸会」の本拠地とも呼ばれる「大江中学校」に、浦板 宅兎は在学していたことは、三つ目の欠点とも言えるのかもしれない。
これはそんな裏番宅兎の青春と暗躍との物語である。
あくまでもフィクションです。
昭和っていいなって思って、書き始めました。