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アルバイトを完遂せよ-43
『マナよ、火種となれ』
バルナスは呪文を詠唱した。
『ティンダー』
指先に小さな火種ができ、ロープに引火した。そのままロープを燃やしていき、ついに2人の身体に燃え移った。油に引火し、全身に火が回る。猿ぐつわを通してでも悲鳴が響き、肉の焼けるニオイが周囲に充満する。
「さて、あとは放っておいても大丈夫ですね」
バルナス達はドアに向かった。その後ろを神官女性と冒険者の店の親父が続く。神官女性は口元を押さえながら歩いている。
「これから、どうするんだ?」
ドアを閉めた冒険者の店の親父がたずねた。
「彼ら2人の行状を、全ての神殿に通達しておいてください」
バルナスの指示にうなづく親父。
「僕たちは、街を出ることにします。これ以上余計なトラブルに巻き込まれるのはゴメンですからね」
「寂しくなるな」
バルナスは苦笑を浮かべると、仲間を伴い去っていった。
「魔術師って、天災みたいなモノなんですね……」
神官女性の言葉に、大きくうなづく親父。
「言いえて妙だな。近年まれに見る大災害だ。こりゃあ、後始末が大変だな……」
-完-




