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フライハイト ~ある魔導師の半生~  作者: 玲琉
孫世代との日々
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王都での住居探し ①

休日にアーティカ一家が来て、ファリハと一緒にリクーロとアスクーシャを愛でていった。


ミライの魔法操作の訓練が順調に進んできた為に、王都に行き、アカデミーに近い住居を探す。王都内は学園都市内よりは価格が安めだが、学園都市内に比べれば治安が悪い為王都内の外れか学園都市内で選ぼうと、エリンと話し合っていた。


まずは冒険者ギルドに顔を出す。エリンは商業ギルドで先に物件の選択をしてもらうことにした。


俺が冒険者ギルドに足を踏み入れると、ギルド内が静まり返った。


「氷のウィザード(魔導師)様だ」


「まさか」


「え?本物?」


ヒソヒソと声が聞こえる。


受付に歩み寄り、声をかけた。そんな声にいちいち反応していられない。


「ギルド長は居るか?これを預かってきた」


カレッチャーナのギルド長からの手紙を渡す。


「はいっ、少々お待ちください」


ギクシャクと立ち上がった受付嬢を呼び止める。


「その前に本人確認は?」


「必要ですか?」


真顔で言われてしまった。必要だぞ?毎回の本人確認は。


ギルド証を提示し、本人確認をしてもらう。


受付嬢が階段を上がっていき、しばらく待っていると大声が近づいてきた。まったく、落ち着きの無い。


「氷のウィザード(魔導師)様!!」


「ここだ。大声を出さなくても聞こえている」


「すっ、すみません」


「気にするな」


「はい。こちらへ」


ギルド長に案内されて、ギルド長室に入る。


「忙しそうだな」


「えぇ。手紙の件もありますし」


「違法魔物商か。魔物なんぞ扱いを間違えればこちらに危害が及ぶだろうに」


「そんな事考えちゃいませんよ、あの連中は」


「考えてたら、そんな商売は出来ないか」


「アイツらの考えてる事なんて、理解出来ませんがね。金儲けが出来りゃ良いんでしょう」


憎々しげに言うギルド長に、現在の状況を聞く。


「連中の組織内に潜入出来たと連絡がありました。顧客名簿の在処ももある程度の場所までは絞り込めたようです」


「魔物の入手手段は?」


とたんにギルド長が渋面を作った。


「おい、まさか……」


冒険者ギルド(ここ)、です。捕獲依頼として複数人から個人名で依頼が出されていました。それも複数回。毎回偽名を使っていたようで重複はありませんでした」


「毎回違う名前だったとすると、数を絞り込むのは難しいか」


「ある程度は分かっています。捕獲依頼を受けた冒険者達から話を聞きましたから」


「それなら絞り込みは少し楽だな。まぁ、それが全てではないだろうが」


「そうなのですよね。あぁ、アイツらが白いティルキ(キツネ)が居なくなったと騒いでいたと証言した冒険者が居ました」


「白いティルキ(キツネ)?」


アスクーシャの事か?


「どういう作戦を考えてる?」


「作戦もなにもまだ潜入成功しただけなのですよ」


ため息を吐いている場合かよ。


「動きが遅いな。というかギルド長がすべてを仕切っているのか?」


「人手が足りないのです。信頼出来る冒険者しか使えませんし。口の固い冒険者しか使えませんし」


まぁそうだよな。


「まだしばらくは王都とカナーン村を行ったり来たりの状態だがもう少しすれば協力出来る。もう少しだけ頑張ってくれ」


「ドゥルーヴ様も手伝ってくださいよ」


「手伝う気はあるんだがな」


「何かご用事でも?」


「アカデミーの魔法講師を頼まれた」


「あぁ。魔法学の低下は問題になっていますよね。冒険者ギルドとしても頭の痛い問題です」


ギルド長とは今後支援は行う事を約束して、別れた。続いて商業ギルドへ。


「エリン」


「ドゥルーヴさん」


貸借コーナーで女性職員と何かを話していたエリンに声をかける。


「良い物件は見付かったか?」


「いくつか気に入ったから見せてもらおうと思っているんですけど」


「どうした?」


「用事は終わりましたか?」


「今日のところはな。内見はいつの予定だ?」


「今日これからご案内できるのは2件ですね」


商業ギルドの職員の声に、エリンに聞いてみた。


「どうする?」


「ドゥルーヴさんが良いなら、今から見に行きたいです」


「じゃあ、頼めるか?」


「はい。少々お待ちください」


少し待って案内の女性の後に付いて商業ギルドの外に出る。


女性の運転する魔導車に乗り、1件目の物件に着いた。


1件目の物件は王都に近い、郊外のこじんまりとした1軒家だった。郊外だけあって隣家との間も広い。


中も1部屋1部屋が広く、部屋数は多く無いが暮らしやすそうだった。エリンはキッチンを確認している。


「ここはペットを飼っていただく事も可能です。奥様からペット可の物件をというご要望をいただきましたので、もう1件もペット可なのですが」


「エリン、そんな事も考えてくれていたのか?」


「リクーロとアスクーシャが居るし、あの子達はドゥルーヴさんが大好きだしと思って」


照れたようにエリンが笑う。


一通り部屋を見終わって、次の物件に向かった。


次の物件はアカデミーから歩いて10分位の距離にあった。その分王都の冒険者ギルドや商業ギルドからは離れるが、周囲は静かだし環境は良い。それに部屋数がさっきの物件よりも多かった。


「こちらには地下室と屋根裏部屋が付いております」


「地下室と屋根裏部屋?」


「前の住人が地下は増設したようですね。もちろん確認しておかしな仕掛けが無い事は把握しております」


「屋根裏部屋は?」


「元からの物です。ちょっとした隠れ家的な感じで、近頃人気でして」


なるほど。


「後、エリンの条件に合った物件はいくつだ?」


「後3件ですね。内1件はさる貴族の方が()()()()()()()()()()()()()()()()()事情でして」


「使っていない経緯は?」


「お聞きしたのですが、どうもそのお子様が行方不明になったと」


親戚の子供の為に、わざわざ?行方不明は良いんだが、貴族の持ち物だったという点が気になる。


「ご希望ならそちらの持ち主の方に連絡出来ますが」


「今は良い。というか、見た都合だな。いつになる?」


「早くて5日後でしょうか。ご希望ならそちらの他の2件と一緒にご内見いただけるように手配しますが」


「それで頼む」


今日はいったんカナーン村に帰る。内見予定の物件の見取図ももらってきた。


「こうして見ると2件目が1番良い感じか」


「そうですね。このお貴族様の家は新築同然ですけど、なんだかいわくがありそうですし」


「だな。まぁ、見てみた都合だが」


「次は5日後か」


「ドゥルーヴさんのお知り合いの貴族の方が、何か言ってきそうです」


「言ってくるだろうな。王都周辺で住居を探しているなんて聞いたら」


「後は冒険者ギルドとか」


「あぁ、そっちもあったか。そうだ、エリン。あちらに住んだら冒険者ギルドからの依頼を受けるから、それだけは覚えておいてくれ。当面は情報収集と作戦の立案だな」


「危険は?」


「一斉摘発時位か。その時にはハリアーも一緒だと思う」


「それならお家も広い方が良いですね」


「そうだな」


ハリアーなら王都内にいくつも伝手を持っていそうだが。






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