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ザ・パーティー

パーティーの定番ってなんでしょう。剣、弓、魔法、回復……こんな感じですかね?


集合場所へと向かっていくと、どんどん傭兵や冒険者の格好をした人達が増えていく。また村の人達もその姿を見て話をしているのが聞こえた。


ついにあのケチな村長がサンリア半分で手を打ったらしい……やら

集まった中には虎なんかの獣人傭兵もいて、賊ももうお終いだ……やら

もし討伐に失敗して村に報復なんてことにならないだろうか……やら


進めば進むほど出てくる話。不安と期待が入り交じった感情がこちらにも伝わってくる。

いくら冒険者などが多数訪れる村だとしても名産品がなければ寂れてしまう。冒険者や商人なんかはサンリア目的で来る者も少なからずいるみたいだから、このまま賊を放置していれば遅かれ早かれそうなるだろうと安易に予測できる。



集合場所に指定されていた村の真ん中にある広場には決して少なくない人数が集まっていた。周りを見れば噂通り獣人の傭兵も何人かいる。

ほとんどが体格の良い男が多い中で、女の私や大剣を背負う周りに比べれば細いアルは視線を集めていた。話しかけてくる様子はないが、明らかに格下、身の程知らずといった目で見てくる。


集まった中には少なからず女もいたしアルのような体格の人もいたが、そういった人達は大体がパーティーを組んでいるようで数人で固まっていた。

視線は気持ちのいいものじゃないけど、村に来た時と同じように一々反応していれば面倒。

私たちはすぐに広場の端へ移動する。視線は相変わらず鬱陶しいけど、我慢我慢。

あーもう、村長でも何でもいいから早く話進めてくれないかなぁ。


「皆さん、多く集まっていただき感謝する。私はこの村の村長をしている者だ。前以て知らせておいた通り、今回集まってもらったのは村の名物サンリアを奪った賊を退治してほしいというものだ。報酬も知らせていた通り取り戻したサンリアの半分を渡す。方法は各自に任せる。以上だ。ではよろしく頼む」


やっと現れた小太りのおじさん。噂に聞いたせそこうな感じが全身から見て取れる。

それにしても、これだけ傭兵やら集めたわりには方法は各自に任せるって……。

これまでも大規模とはいかないまでも何回か傭兵に依頼して成功してないんだからさぁ。村から責任者やらまとめ役なのを出して一つの隊としてまとめて行くのが普通だと思うんだけど。

ま、私たちにとっては好都合だけど。


見れば私が考えたように、人数を揃えようと声を掛けている人もいれば、一人で好きにするといった感じで広場を背に去っている人もいる。

私たちもここに用はない。視線も大分軽くなったとはいえ、いつまでもここに居たくない。

私がアルに視線をやると、視線に気がついたアルは一つ頷き広場の出入り口へ向かおうと足を進める。


「あのぉー」


……足を進める。


「ちょ、ちょっと待って下さい!」


……足を「そこの金髪の大きな剣を持った人!」

「…………何だ?」


周りにアル以外に金髪で大剣を持った人はいない。アルは仕方ないというように足を止め振り向く。私も同じように立ち止まり後ろを見ると、そこには。


見た目上品そうな杖を持った長い銀髪に緑の目の女、剣を腰に提げた茶色い髪と目の男、弓を背負った緑の髪と鳶色の目の男、神官の出で立ちをした白髪に薄緑色の目の男。

ザ・パーティーって感じの四人組。年齢は十代後半から二十歳前半くらい。


それにしても逆ハーですか?逆ハー狙ってんですか?

そう感じるくらいそれなりに美形な顔立ちが揃っている。

声を掛けてきたのは銀髪の女。何故か神官風の男は私を見て、凄く嫌そうな顔をしている。

なんかしたっけ?

逆に神官風の男を見ていると、嫌そうな顔のまま私から目線を外す。

なんなの一体。

私が疑問に思いつつも、銀髪の女を皮切りに話は進んでいく。


「私たち四人パーティーで。もし良かったら私たちと一緒に組みませんか?人数は多い方が良いし」

アルのこと見過ぎ、私は無視ですか。こら。

「俺たちと組めば、こんな依頼楽勝だと思うぜ」

楽勝ならお前達だけでやれ。

「そうそう!オレ達と組んだ方が良いよ!ね!」

何が良いんだか、わからない。

「……そうですね。人数は多い方が良い」

いや、あんた私のこと嫌そうな顔で見てきたよね。


銀髪の女は身なりからしても貴族のお忍び旅行みたいなものかな。

女以外のメンバーを見れば、この広場にいる人の中でアルに声を掛けた理由もなんとなくわかる。

逆ハーに加える気なんだろうなぁ。今いるメンバーは熱血系、チャラ男、知的とアルのようなクール男子はいない。まぁ、アルは見た目クールでも中身は心配事の多い気苦労男子だけどね!


こちらが何も言わないのを良いことに勝手に話を進めていく四人組。

ここで私が口を出したら、あなたには聞いてないとか言いそうなので、ここはアルにきっぱり断ってもらおう!

アルを見れば眉間に少し皺を寄せている。でも頑張って断ってもらわないと。

四人に気づかれないようアルの脇腹を突く。アルが視線だけ私に向ける。私は何も言わなかったが、察してくれたらしい。


「悪いが、俺たちは誰とも組まない」

「……え?」


銀髪の女が不思議そうにアルを見ている。

いや、何その断られるなんてあり得ないって顔は。


「俺たちは誰とも組まずに、この依頼を遂行する。話がそれだけなら、失礼する」


アルはもう一度言うと、そのまま四人組に背を向け今度こそ広場を後にした。

後ろでキャンキャン言ってる声や背を向ける前に見た私に対しての鋭い視線は無視。

面倒事ってこれかー。大したことじゃないけど、なんだか面倒だなぁ。この依頼終わったら早めに村を出発しよう。





町にはいくつも宿があり、その中でも比較的大きく清潔な宿を選んだ。自分の部屋に入り、念の為防音などいくつかの魔法を施す。隣のアルの部屋にも同じものを施し、二人で私の部屋に入る。


「じゃ、行こうか」

「……作戦は」

「え、いる?」

「……いらないか」


アルは私の答えに考える仕草をしたがすぐに答えは出たらしい。


「とりあえず場所はさっき宿の人に聞いたから分かるし、先に誰かに取られたら報酬貰えなくなっちゃうじゃない!目的はサンリアなんだから、他の人より先に行かないとね!」

「そうだな」


サンリアの話になると嬉しそうな様子のアル。

アルの為にも、賊退治頑張りますか!



まだ賊退治には行きませんでした。次は退治していきますが……。

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