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雪男……いえゾンビでした。

雪男については私のイメージです。一般的なもの……だと思います。


朝起きると天気はすっかり回復していて気持ちの良い青空が広がっていた。

アルと一緒に朝ご飯を食べ、(メニューはトーストと目玉焼き、コーンスープ)外に出た。昨日の事は私はもちろんアルも口にしなかった。特にギクシャクすることもなく、普通に会話出来た。

なんとかなるもんだね。それにしても



「……歩きにくい」

「仕方ない。シルフィは雪山が多い大陸だからな」


足の裏に魔法を掛け、雪の上も普通の道と同じように歩いて行く。

一気に山を越えるっていうのも考えたけど、それじゃつまらない。そんなこと常時やってたら、世界なんてすぐに見て終わってしまう。

私がしたいのはそんなつまらないことじゃない。ただ世界を見るだけなら、神の時に見ればいいだけ。

そうじゃなくて、人と一緒に寄り道しながら世界を見てみたい。だから見渡す限り白い世界で、何の面白みもないけど、それも冒険の醍醐味として味わおう……て思ったんだけど。



「やっぱり一気に……」


それでも限界があって、やっぱり面倒になって一気に山を越えようかとアルに提案しようとした時、目の前に雪や木などではない動く白い塊が現れた。


「……白クマ?ゴリラ?」


白い体毛は白クマのようだが、その毛は熊にしては長く、また顔つきは熊と言うよりゴリラに近い。二本足で立ち、私たちから少し距離があるが多分体長は二メートルほどだろうか。

なんというか、一言でいうと雪男?

実際見たことはないけど……。


「あれは雪山に出る魔獣だな」


あ、雪男じゃないんだ……。


「しかも頭が良くて群れで獲物を狩る」


アルの言葉通り周りを見ると雪や少ない木々の陰に隠れ同じ雪男いや魔獣の姿が……その数は十数頭。それらは私たちを観察するように見ている。

このまま動かなければ、きっと囲まれてしまう。別にそれでこちらが負けるなんて思わないけど。


「ここは俺に任せてもらえないか?」


アルが大剣を抜いて話しかけてくる。

なんというか……やる気満々だ。

そういえばと思い出す。力を渡してから彼がその力を使っていないことを。

数は多いけど、ま、何とかなるかな。

一応心配で声を掛けるが。


「大丈夫だ。雪山での戦いは慣れている。それに早くこの力に慣れる為にも実戦で使っていかないとな」


と、アルに言い切られてしまった為、私は傍観することにした。

危なくなれば私がなんとかすれば良いし。


そこからアルと魔獣との戦いが始まる。

一気に全部を相手にすれば苦戦することは分かっている為、まずは手前にいる一頭に狙いを定める。ゆっくり歩いてくるアルに対し相手はまだ距離がある為か油断しているように見える。だが、後十メートルの所まで来てアルが立ち止まる。そしてそこから一気に距離を縮めた。

人ではありえない速度で走り抜け、そのまま切りつける。

切りつけられた魔獣は訳が分からない内に絶命したと思う。

周りの魔獣は一瞬その光景に固まったかと思うと、次には明確に怒りを露わにして集団でアルに襲いかかってくる。

集団と言っても速度はバラバラ。アルは一歩引きながら数頭ずつを相手にしていく。大剣を振り、確実に息の根を止めていく。残り五頭まで減ったところで魔獣たちも現状まずいことに気がついたらしい。アルから距離をとった。

どうするつもりだろうと見ていると、いきなり魔獣は形容しがたい雄叫びを発する。

それが一頭なら耐えられたかもしれないけど、五頭が一斉に叫んだ為、思わず手で耳を押さえる。


あーうるさいっ!!


その雄叫びは数秒だったが、それが治まると今度は別の音が聞こえる。

まるで、何か壊れたような……流れてくるような。

山の上を見ると


……あ、雪崩。


私はすぐにアルに近づく。


「アル、私から離れないで」

「……わかった」


上に飛んで魔獣に攻撃される可能性もある。だったら……。

私はその場から動かずに風で私とアルを囲む。次には雪崩が私たちを襲った。魔獣も雪崩に巻き込まれたのが見えたけど、そんなの知ったこっちゃない。むしろ自業自得。

目の前が真っ白になるが私とアルは風のバリアで守られているから、衝撃もない。

あとはそのまま雪崩が治まるのを待つだけ。





ボコッ


「ふー」


雪の下から出てくれば辺りは真っ白。あの魔獣たちもいない。


「あー雪崩なんか起こすから、自分たちまで埋まっちゃってんじゃない」


馬鹿ねーと私が言う隣でアルは戦闘態勢を解かない。


「アル?」

「……あいつらはこれくらいじゃ死なない」

「は?」


私が疑問をぶつける前に少し離れた所の雪がかすかに動いた。


ボコッ

ボコボコッ

ボコボコボコボコボコッ


それは場所が場所だったら、まるでゾンビが地面から出てくるような光景だった。

雪の地面から続々と白い毛で覆われた手が出てくる。次いで頭が見える。



ピコン


その音は静かな雪山に響いた。

私は手に持ったそれで魔獣の頭を叩く。その音が響く度に確実に魔獣の頭を凹ましていった。


ボコッ

ピコン

ボコボコッ

ピコンピコン

ボコボコボ

ピコンピコンピコンッ


あれ、なんか数増えた?……ま、いっか。


やっと静かになった頃には雪に無数の大きな穴が出来、その中には静かになった魔獣が埋まっている。


ゲームクリア!コンプリート!!


私は持っていたピコピコハンマー(持ち手は赤、打つ部分は黄色)を肩に担いで、達成感に浸る。

いやーなんか、某叩きゲームを思い出しちゃって。懐かしいなぁ。


「……レイナ」


懐かしんでいると後ろから呆れたアルの声が聞こえた。

あ……。

後ろを振り返れば声と同様呆れた様子のアルが戦闘態勢を解いて立っている。


「あー……ごめんね」

「……いや」


あーなんか本当にごめん。つい懐かしくなっちゃって。え、それだけじゃない?

あぁ、この武器?さすがに売ってなかったから、私が作ったんだよー。面白いでしょ?あれ?なんで溜息?溜息なんかつかないでさ。ほら、幸せ逃げちゃうよ?はい、深呼吸ー吸ってーって、あれ?更になんか疲れてない?え、私のせい?なんで?


そんなに戦ってないはずのアルが疲れてる。魔獣の戦いで疲れたわけではなさそうだけど……。というか、アルのこういう姿多く見るなぁ。色々心配事が多い性質なのかな?

私が少し心配になってアルを見るけれど、アルは切り替えたのか、次は一気に終えるとか言ってやる気になってる。


とにかく魔獣は倒したし先に進もう。


あ、雪崩のせいで道が歩きにくいから、もう一気に山越えて良いかな?


やっぱり戦闘描写は格好良く書けないので……。

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