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エクストラ・リンク  作者: チャリアン
二章 六月~それは結託の季節~
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十四話 ホウセンカ♦

赤髪のブラコン、センカ・アナクロス視点です。

 壊す。


 それが、リレイを救うことになる。


 だから私は、リレイと戦う事を望んだ。


 だから私は、家族に刃を向ける道を選んだ。


 イーグルが破壊されリレイがconquestに出場出来なくなれば、あの女が協力している大義名分は消えてなくなる。


 リレイは騙されているのだ。優しくて、人を疑えないその性格を利用され、いいように使われている。


 そんなこと、断じて我慢なんてできない。


 視線の先では蒼のBHF――イーグルが立ち上がって、ゆっくりとこちらへ歩いて来るのが見える。


 あれを壊せばあの女は消え、リレイを取り戻すことが出来る。


 故に、私は家族へ武器を振るう。


 何千、何万回と反復したこの一撃。踏み込みからの縦薙ぎ。


 グレイブは空を掻いた。


「ッ!」


 ステップで回避されたのではない。ましてや、私が目測を誤ったわけでもない。


 イーグルはグレイブが命中する直前に、滑るように横移動していた。


足は、地面に接地していない。


『ホバー・エアリアル!?』


 目の前で起こったことが信じられず、思わず叫び声を上げてしまう。


 スラスターの出力を操作して機体を浮かし高速移動させる、重力下での機体機動技術であるホバー・エアリアル。これは、BHFの構造上不可能な技術ではない。


 しかしそれは、あくまで不可能でないだけであって、誰でも出来るものではない。ハイレベルな、それこそ軍の準エース級のスラスター操作能力がないと満足に機体を浮かせることもできないと言われている。


 何故。そんな思考が走る。幾らリレイがイーグルの扱いに習熟していると言ってもまだ学生だ。独学でこの技術を開得するのには無理がある。


 ……いや、独学じゃない。リレイの傍にはあの人がいるじゃないか。スラスターの精密操作にかけて右に出る者はいないと謳われた、あの凄腕のBHF乗りが。


 チラリと脳裏をフラッシュバックする白い長髪。常に底を見せようとしない、人当たりのよさそうな顔が閃く。


 余計な思案を巡らせていたからか、下方から迫る白刃への対応が少し遅れた。


 ガリリッ。耳障りな擦過音が集音センサー越しに響く。必死に首を逸らしたが、左側面を削られる。


「クッ」


 ホバー・エアリアルの利点は機体本体の運動量が少なくて済むことにある。隙を見せれば攻撃をねじ込まれるのは当たり前だ。


 戦いの最中に無駄な思考を挟むとどうなるか。それを身を持って知らしめられた。


 焦り、高ぶっていた感情が一気に冷めていく。肝が冷えたとでも言うのだろうか。


 素早くターンしたイーグルが、勢いそのままに横薙ぎを繰り出してくる。


 カァァァン。グレイブで打ち払う。


 下手な追い討ちは仕掛けず、堅実に距離を取ってくるイーグル。


 ここまでの状況を鑑みて、明らかにイーグルの速度はホバー・エアリアル以前よりも向上している。安く見積もってもその速さはタイと言ったところだろう。


 これを覆すには更なる加速(アクセラレーション)が必要。冷静になった頭で考えても、それは明白だった。


 フゥ、と諦念から来るため息が漏れる。


 ここから先は、機体にもかなりの負荷を掛けることになる。最悪conquestに出られなくなるほどのダメージを負うことになるのかもしれない。


 それでもやるしかない。ファイターが壊れたってかまわない。それでリレイが守れるのなら、私の一番大切な人を守れるのなら……。


人造筋繊維(マッスルファイバー)のリミッターを解除。ステータスタイプを『鳳仙花』に移行」


 音声によるコマンドを入力する。


 鳳仙花。それは、私の名前の由来となった花。


 弾けるように種を飛ばす、一瞬の花。


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