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はきだまってる

※とある地域掲示板の書き込みより抜粋


 近くにN小学校っていう学校があるんだけど、もうかなり生徒人数が少なくなってて(ど田舎www)閉校になったんだよね。

 もうその年の春には閉校になって、在校生たちは別の小学校に移ったっぽくてさ。

 多分そろそろ取り壊される〜とかいう話を聞いたんだよ

 なんか夏休み中に解体工事をやる?とかいう話で、閉校から解体まではちょっと期間空いたらしいんだけど。そこに関してはまぁ詳しくは知らない、俺は部外者だし。

 で、かなり古い学校だったから、みんなで夜中に肝試しやろうぜ!って話になったんだよな。

 取り壊される〜っていっても、なんか事件とかあったわけじゃないし、大学生の夏休みの暇つぶしには最適だったんだよね。

 行ったメンツの中にはN小学校が母校のやつとかもひとりもいなかったから、まぁ冷やかしみたいなもんなんだよな。

 ただ、集まった時に変なこと言い出した奴がいた。妹がN小学校に通ってたっていうやつなんだけど、今日N小学校に行くことを言ったらちょっと嫌な顔されたらしい。


「にいちゃん、行くのは別に良いけどさぁ」

「一番上の階の教室の、奥から2番目だけは入らんほうが良いよ」


 なんて言われたらしい。意味深すぎるwwww

 いやそれ作り話だろ!って盛り上がったんだよね、俺たちは。だってあまりにも「出来過ぎ」じゃん。

 なんでもそういう怪談?七不思議?だかがあったらしいけど、そんな話はぶっちゃけ外野の大学生にとっては肝試しを盛り上げるための燃料に過ぎなかったからさ。


 俺たちは、授業終わった後軽く飲んでから向かった。

 もう結構夜遅かったから、普通に周り暗くてさ。取り壊し云々の話が出た直後くらいだから、まだフェンスとかも無くって、簡単に中には入れたよ。

 中入って一番最初に思ったのは、なんかじめっとしてんなーって感じ。周りもそうだったらしくてさ、雰囲気あるなーみたいな話してた。

 でもなんか、雰囲気が違うというか。じめじめはしてるんだけど、嫌な感じなんだよな。ああいうとこって。夏の湿り気とは違うというか、なんか。

 最初は盛り上がってたんだけど、だいたいの教室なんて施錠されてるし、なんか息苦しいしで俺たちはどんどん口数が少なくなってた。

 でも途中で辞めるなんて言えないだろ?

 だから大人しく最上階まで上がってってさ。


 ひとり、すごい怖がってる奴がいたんだよ。

 なんつーか、俺たちからすると言っちゃ悪いけど腰巾着みたいな……いつも俺たちの様子を窺ってるタイプのやつでさ。今回の肝試しも、びくびくしながら俺たちの後ついてきてるみたいな感じ。かなり怖がってるのに、俺たちの後ついてくるのはやめないんだよ。

 俺たちも何度か帰る?って聞いたんだけど帰らないっつってさ。

 話についてこれなくなるのが嫌なのかな、みたいな感じ?


 で、最上階に着いた途端、急にそいつが叫びながら走り出した。もうなんか、なんていうの?

 普通に走る感じじゃないんだよな。もう足とかもつれてて、ぐちゃぐちゃになりながら走ってる感じ。

 俺たちの後ろにいたはずなのに、追い抜かして。ってか、もう突き飛ばす勢いでそいつ走って行って。

 で、そのままその、一番上の階の、奥から2番目の教室の扉に手かけて開けようとするんだよ。さすがに俺たちも唖然としてたけどその行動で慌てて走って追いかけた。

 止めようとしたけど、口の端から泡みたいに涎吐き出しながらそいつ笑っててさ。

 大丈夫か、とか一度やめろとかいうんだけどガチャガチャやるんだよ。もうすごい力でさ。止めようとしたんだけど止まんねえの。

 爪とかも剥がれてさ、教室のドアに血ついてて。

 やめてよ!って女子が叫んで、もう俺たちも阿鼻叫喚だったよな、情けないけど。


 そしたら急にそいつ、ガチャガチャやるのやめてさ。

 で、俺たち振り返ったんだよ。


「はきだまってる(?)んだから大丈夫なんだよ」


 全然意味わかんなくて、変な沈黙が降りた。

 そしたらまぁ、俺たちの中心になってたやつがさ、冷めたから帰ろうぜっつって。で、もう大人しくなったそいつ引き摺りながら帰ったんだよね。


 特に何が起きたわけでもないし、ひとりがパニくっただけの事件なんだけど、妙に印象的だった。

 次の日から若干みんな、そいつのこと避けてて。で、すぐに就活とか始まったからあんまり集まったりもできなくなってさ。そんなとこ侵入したのバレたら就活に関わりそうだし。

 それだけの話。

 

 もう10年近く前のことなんだけど、最近N小学校の近くに住んでた同僚と話しててつい思い出した。

 あそこ、今はショッピングモールになってるらしい。あの教室がなんだったのかわからないのはちょっと心残りかも。

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