0042
<ノータイトル>
銀の瞳に膿んだ雨。
走り続けて泥濘にはまる。
汚泥の中で慟哭が響き、
いつか見た晴れ間が顔を出す。
蒸気が上がる、虫の息。
耳に残る細波が教える過去。
ここから誰も思い出せない。
円盤に刻まれた理解不能は、どこまでも群青。
迸る恨みつらみに別れを告げ、
天使の輪っかが罅割れを起こした。
卵の孵るのを見守り、
急な苛立ちに奮闘する。
輝く天上の太陽、キスさえできぬ哀れな申し子、
微笑みを浮かべる時にもしかめっ面が良く似合っていた悪ガキ。
崩壊の最中に不死の右手が訪れる。
(ここから殺気は無理をする)
路地裏に彷徨いこんだのは、昨日の思い出。
十年前は過去より遠い場所にいる。
不機嫌な耳鳴りと鼓動する悪意の積層。
巻雲の中に積乱雲の戸惑いを見つけ、
意味もなく嬉しくなる。
紅に沈む夕日は、きょうの終わりに抗議している。
もっとできることがあったのではないかと、
淀んだ影が囁いている。
力場に哀れみを向けられ、
遥か彼方の夢物語。
一瞬だけ浮上する高揚は、
瞬く間に消えていく。
熱したはずの金属が急速に冷まされ、
粉々に割れていく。
覆水は盆に返らず、
ゴーストは盆に戻ってくる。茄子の馬に乗って。
ホースの白い馬に嫉妬。
いつまでも子どものあどけさが抜けない。
純粋さはすぐに土にまみれたが。
苦悩の柵に足をとられ、
有刺鉄線は無視された。
電池付きの体ではないから、
気をつけないと崩壊と灼熱の牙。
諸田氏は危ない。
危険が危ない。
ふりではないので注意しよう。
熱湯風呂は良い教訓である。




