表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キスをする5秒前~kiss.kiss.kiss~  作者: 夏野 みかん
43/67

葉月・・・プンプン。

「今日は…よりいっそう、疲れた様子ですね。覇気がまったくないですよ。葉月さん。」

コンビニのレジで、ぼんやりしていた私の背中に、丸山君が心配そうに声をかけてくれた。


丸山君の言葉に、微かに笑みを浮かべたけど、丸山君は眉間に皺を寄せ

「昨日、なにかあったんですか?」


そう、昨日は久住さんの家に招かれたんだんけど…散々だった。あれから、久住さんは弟さんと、そして由梨奈さんとどうなったんだろう。話は少しは進んだのかなぁ。ハァ~結局私は…ハァァ~久住さんのなんの役には立たなかったなぁ。寧ろゴタゴタを引き起こしてきただけで、とうとう久住さんとは話せないまま、帰って来ちゃった。それが一番堪えているよ。どうしてこうなっちゃったんだろう。


私って…ダメだよなぁ…あぁ…いや違う!違うもん!

あの人が…弟久住さんがムカムカ、イライラする事を言ったからだもん!


握り締めた私の手に、トングが渡された。


「葉月さん…またぼんやりして…まぁいろいろあると思いますが、レジ前でそんな顔で立たないでください。お客さんが引いてますよ。はいはい、肉まんを温めて…」


「なに?!そんな顔って…それって…不細工って言ってる?私…やっぱり…」


「言ってませんよ!なんでそうなるんですか!不細工だなんて言ったら、松下さんに半殺しにされます。」


「いやいや…丸山君、それってただ理香さんを恐れているだけで。ここは不細工じゃないですよって言う場面だよ。これじゃぁ、二人で和やかな空気を作れないよ。ますます…どんよりした気分になるじゃん。」


「ほんと、何言ってんですか?!今まで、凹んでいたくせに、突然偉そうに…。いいですか、われわれはバイトとはいえ、サービス業ですよ。そんな暗い顔でレジに立たれていたら、お客さんがお店に入って来れないって言っているんです。ぼ・く・は!」


「…う…ん。」


「ほら…あの人。」


「あの人?」


「さっきから、お店の前を行ったり、来たりして、葉月さんを見て、どうしようかとまるで迷っているみたいですよ。」


「えっ?どこにいるその人?」


「あの肉まんの、のぼり旗のところにいる人です、ほら今、下を向いたあの人ですよ。」


「わ、わかんない。」


「もう、わかんなくていいですから!とにかくあの人は、さっきからお店を覗いては溜め息をつき、そっとあののぼり旗に、隠れるように移動するを繰り返しています。まぁ…ちょっと気味は悪いですが、お店に入りたいという雰囲気がありましたから…あの人はお客さんですよ。いいですか、葉月さん。ここは少し笑ってください。」


「こ、こんな感じ?」


「う~ん、口元がブルブルと震えてて…笑っていると言うより、【寒い】って感じですね。ほら…もっと、こんな風に口角を上げて…」


「いっ…!!」


「あっ!!すみません、思わすほっぺたをひっぱっちゃいました!」


「ひ、ひどいよ、丸山君。理香さんに…言いつけてやる。」


「ゲェ!ま、待ってください!」

「…仲がいいんだなぁ。葉月の…彼氏か?」


「へっ?」


「はぁ?」


「なんだよ。それは…!ここは、いっ…らっしゃいませ…だろう。」


「あっ!肉まんの…のぼり旗の…」


「…いやマジ?なんで、ここにいるの?」


「おい!なんて言い方だよ。葉月!俺は客だぞ。」


そう言って、差し出した品に…丸山君は黙って見つめながら

「葉月さんの知り合いって…なんか…残念な人、多いですよね。」

と言って、その手元から商品を取ると、


ピッ!

「332円です。」と言いながら、丁寧に紙の袋に入れ、

弟久住さんに…生理用品を差し出した。


ようやく自分が何を買ったのか、わかったようで、真っ赤な顔で…「○×☆○&%」と意味不明な言葉を発し、固まった弟久住さんを丸山君はチラリと見て、大きな溜め息を付くと私に目をやり


「また…葉月さんが変わりに買います?」


「いいえ!」


だって、弟久住さんに私はプンプンなんだから!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ