表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キスをする5秒前~kiss.kiss.kiss~  作者: 夏野 みかん
26/67

樹・・・思う。

「樹、今は眼の前の事を片付けてからだ。」


「今は…?と言うことは、教えてくれるんですか?諸刃の剣の意味を…」


「本当は葉月のプライベートを、軽々しく口にはしたくはない。だが事と場合によっちゃ、言って置くべきかと考え直した。」


「事と場合?」


「あぁ…あの婆さんが葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変えると言うことさ。まぁ、行こうか。

まずは眼の前の障害を片付けようぜ。」


「いや、もうここまでにしましょう。だから葉月ちゃんを連れて「無理だ。」」


俺の言葉を途中で遮り、顔を歪ませ

「絶対に無理だ。久住の婆さんに葉月を見られたんだ。敵前逃亡なんてしてみろ怪しまれる。それに何より、葉月がお前を助けたいと言っているんだ。あたしらは親バカなんでね、あいつの願うことは…してやりたいのさ。」


そう言って、理香さんは苦笑し

「まぁ、バカな子ほど可愛いいというからなぁ…」と言って苦笑を、声を立てて笑うことに変えていったが、俺は笑えなかった。なぜなら…



理香さんが言った言葉が引っかかっていたからだ。


【葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変える。】


それは…葉月ちゃんには、大きな秘密があると言っているようだ。


その秘密がどこまで知られたかの度合いによって、計画を変えるということか…


その秘密が…諸刃の剣。


「理香さん、葉月ちゃんが俺にとって諸刃の剣なら、その剣で傷つくことなど恐れはしません、耐えることができます。でも、それだけじゃないんでしょう?【葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変える】それは…葉月ちゃんも傷つく出来事が、別にあると言うことではないんですか?もし、そんなことがあれば俺は耐えられない。」


「なら!!…なら、もしもの時は、お前が血だらけになっても、葉月を守ってくれるというのか?」


「もちろん…です。」


「冗談だ。」


「理香さん!」


「冗談に決まってんだろう…。行こうぜ。早く片付けて宴会だ。もち、樹の奢りでなぁ。」


「情けないところばかり見せているから、頼りないと思っているでしょうが、これでも俺は男なんです!守ってやりたいと思う人が、俺のせいで傷つくかもしれないのなら…「なら!どうするってんだ!」」


理香さんは俺の言葉に、被さる様に声を荒げたが…眼を瞑って、高ぶった感情を抑えるように

「お前は…ほんと感が良いよなぁ。誤魔化しながら話をしたつもりだったが、やっぱり気が付いたか。あぁ…ひょっとしたら、葉月も血を流すかも知れんなぁ…。だが、そういうことがあるかもしれないとわかっていても、それでもここに来たのは、葉月がお前を助けたいと思ったからだ。それは、お前もわかっているだろう。なら、その気持ちを汲んでやれよ。片付けて来い。お前が綺麗なままで取っておきたくて、長いこと箱に入れていた恋だ。よく見て来い。10年前と今では、その思いがどう変わった。いや…終わった事を確認して来い。」



そう言って、理香さんは歩き出した。



苦しかった。

自分の恋の後始末さえ出来なくて、葉月ちゃん達を巻き込んだ自分が情けなくて…ましてや、葉月ちゃんは婆様に知られてはマズイことがあるようだ。婆様がどこまで、葉月ちゃんを調べたかによっては…


俺は唇を噛んで、前を見た。

婆様を…そして…由梨奈を…



婆様の横で、由梨奈は立っていた。


長い黒髪を結い上げ、青みがかった付け下げを着た由梨奈は、俺に気が付いたのだろう。一瞬大きく眼を見開いたが、ピンク色の唇に微笑みを称えた。


あの美しい黒髪に、俺は何度指を絡めただろうか…


あのピンク色の唇に何度も、キスを請い願っただろうか…


2つ上の彼女は…その年齢差より、ずっと大人に見えていた。

いつも、ああやって微笑みを称え…そんな彼女にキスを請うと


「樹がしたいと思えば、好きにしていいわ。」

と言って、心のうちを見せてはくれなかった。


今…、あの微笑みの下で、何を思って俺を見ているんだろう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ