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キスをする5秒前~kiss.kiss.kiss~  作者: 夏野 みかん
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葉月・・・慌てる。

「…で…」


と言って、理香さんはコーヒーを一気に飲むと私に言った。



あれから、私は久住さんの手を引いて、

(まずは、理香さんに…バイトの件で謝って…。店長に言い負けしない方法を伝授してもらって、夜勤を撤回させないきゃ!!)…と理香さんの職場へと勇んでいったのだけど…


なぜだか…私が来るのを待っていたかのように、理香さんは、オフィスの前で私の腕を掴むと、オフィスの一室に引っ張り込み…一通り聞き…今に至っている


でも…その度に…青くなったり、赤くなったりした私は…しおしおだ…。


『任せてください。今の久住さんの手も、10年前の久住さんの手も…絶対離しませんから!』と、力いっぱい頷いたあの…力強い私は…もういなかった。


く、久住さん…乗り越えなくてはならない壁は、強靭ですと、横の久住さんをチラリと見たが、それよりも今の状況に、久住さんは…呆然とした顔で…


「えっと…理香さんは…あの…」


「えっ…なに…」


語尾が…上がってるよ、理香さん…


「…弁護士さん…だったんですか?」


「あぁ…一応なぁ…」


「…刑事事件専門…?」


「…企業法務専門…!」


「…ですか…」


「おまえ…今、何を思った…」


空気が…今、ピリッとしたよ~、な、なにか…言わないと…

「り、りかさん!!あの…」


ポンポンと私の頭を理香さんは叩き、目を細め…

「まぁ…夜勤の件は、丸山から聞いていたから…もうすでに手は打っている。」


丸山君…

丸山君は理香さんの手下だったんだね。長いものには巻かれると言い切る丸山君だもんね。


「だがなぁ…葉月。」


「えっ?…は、はい。」


そう言って、理香さんは、胸に手をやって…小さな声で「うっ…」と言うと

「あたしは…悲しかったよ。まさか…葉月が…あたしと大吾がいない時に…こそこそと…動くようなことをするとは…胸が痛い。」


あぁ…ごめんなさい。つい、お金に目がくらんで…すぐに【やりません】と言えなくて…ご、ごめんなさい。」


「ほんとに…悪かったと思っているんだなぁ?」


「は、はい!」


「じゃぁ…落とし前をつけてもらおうか。」


「へっ?おとしまえ?」


「いやいや…弁護士費用(法律相談料、着手金、報酬金、支払時期、支払方法等)だ。悪かったと思っているんだろう?本来なら、店長にちょっと話をつけてやった件は、料金が発生するが…金を持っていない葉月に、金でどうこうは言わない。だが…ちょっと頼みがある。」


「頼み…ですか?私に?」


「…と言うか、お前らにだ。」


と言って、理香さんは私とそして…久住さんを見た。そして…にっこり笑うと…


「久住家のパーティに、あたしと大吾も連れて行け。」


「はっ?」


「…理香さんが好き好んで、そんな場所に行きたいと…思えないんですが…どうして?」


理香さんは、久住さんの問いに…

「まぁ…そう通りなんだけどなぁ…」と言うと、それぞれのカップにコーヒーを入れながら


「取りあえず熱海より…いいからだよ。…いいかい?あたしらが行っても?」


なにがなんだかわからない久住さんは、困惑気味に理香さんを見ていたが、大きく息を吐くと

「理香さんが何を考えて、そういうのかはわかりませんが…葉月ちゃんの為には、理香さんやジョセフィーヌさんが一緒のほうが安心ですから、構いません。」


久住さんの返事を聞いて…理香さんは

「ありがとな。」と言ってスマホを出し、すばやく番号を押して電話をかけると…


大きな声で…

「おい!大吾!…ちゃっちゃっと電話に出ろよ。」


《理香ちゃんは、もうせっかちなんだから…》


「今日は7秒ぐらいか…まぁ…今日は大事な話しがあるから許してやる。」


《何を言ってんだか…でも大事な話って?》


「金曜日は…久住のところのホームパーティに行くぞ。」


《えっ?!い、嫌よ。私…人が多い所はダメなのを知っているくせに…》


「熱海…」


《…熱海?…》


「熱海に行かなくて済むぞ。それとも…行きたいのか?それなら…無理には誘わないが…」


《り、りかちゃん…》


「決まったな!一応、実家に戻って服を持って来いよ!じゃぁなぁ…」


《り、理香ちゃん!り…》


プー・プー・プー・・


「大吾もズゲェー楽しみだって言っていたぞ!」


…聞こえてたよ。理香さん。ジョセフィーヌさんの悲痛な声が…


でも、なんで…そんなに久住さんのところのパーティに行きたいんだろう?ああいう場所って、1番嫌っているのに…なぜ?


ぁ…あ…あぁっ!!!


「あ、あ、熱海だ!!!!」


突然、叫んだ。私に…久住さんは引きつった顔で、私を見て


理香さんは…

「そう、熱海だ。」と言って、ニヤリと笑った。


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