33 ある一日
「……ん?あれ」
朝。ベットで寝ていたレオンが何か違和感を感じて起き上がると。
「何でいるのかな?」
ベットの中にアレシアがいた。
「もう起きちゃうの?」
「いやいや、説明してください」
「レオンと一緒に寝たいからよ」
「えぇ~」
――コンコン。ドアがノックされ。
「レオン様。おはようございます」
シルヴィが起こしに部屋に入ってきた。そして、レオンの横でベットに横たわるアレシアを発見し。
「……レオン様。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
眉毛をピクピクさせて低い声で問いかける。レオンは、慌ててベットから降りて懸命に訴えたが。
「レオンったら一緒に寝ようって言ったくせに」
アレシアのこの言葉にカチンッときたシルヴィ。無表情のまま右手を高く振り上げて、レオンの頬めがけて平手打ちしようとした。
「待て待てシルヴィ!」
レオンとシルヴィの間に瞬時に入り込んで、シルヴィの右腕を掴んだフィオナ。ハッと表情が変わりレオンを見て慌てて離れて頭を下げる。
「すいませんすいません!レオン様を叩こうとしてすいません!」
「いいよ。シルヴィ」
「すいませんでした」
謝りながら部屋を出て行ってしまったシルヴィ。その場が静まり返り何も言わずにフィオナが出て行こうとした。
「フィオナ。ありがとう」
「いえ、レオン殿。おはようございます」
軽く頭を下げて出て行った。
「あ、あのうレオン」
この騒動を起こした張本人のアレシアが申し訳なさそうにゆっくりレオンの傍にやってきた。
「私が余計なこと言ってごめんなさい」
「本当ですよ。アレシア姫。……さぁ、朝ご飯食べに行きましょ」
手を差し出すレオン。その手を掴んで頷くアレシアだった。
「みんな」
シルヴィ、イリス、フィオナを集めたレオンは、フィオナに財布を預けた。
「これで王都の町に行って遊んでおいで」
「「えっ!?」」
「ヤッター。何食べようかな~」
シルヴィとフィオナが驚く一方でイリスだけはしゃぐ。
「この城にずっといて退屈だったと思うから、羽を伸ばしておいで」
「それならレオン様も」
「俺は、左腕を慣らしたいからいいよ。三人で行っておいで」
「行こう行こう!」
「じゃあ、行こうか」
「二人先に行ってて」
イリスとフィオナを先に行かせてシルヴィが残った。
「シルヴィ?どうした?」
「今日の朝の事本当にしませんでした」
朝の出来事を引きずっていたシルヴィは、もう一度レオンに誤った。レオンは、ポンポンっとシルヴィの頭を軽く叩いて優しく撫でてあげる。
「上手く説明できなくてごめんな」
「いえ、私が悪いのです」
「もういいから。楽しんできておいで」
深く頭を下げてシルヴィは、走って行った。