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48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


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第12話 崩れていたもの

第12話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、レイナ視点で描かれる回になります。

気づかないうちに少しずつ崩れていく日常——

その違和感を感じていただけたら嬉しいです。

如月レイナは、空を見上げていた。


 ビルの隙間から見える、狭い空。


「……こんなもんか」


 小さくつぶやく。


 昔は、もっと広く見えていた気がする。


⸻


 すべてが変わったのは、突然だった。


⸻


 所属していた事務所。


 順調だったはずの仕事。


 増えていくファン。


 広がっていく未来。


⸻


 それが——


 一気に崩れた。


⸻


 大型プロジェクトの失敗。


 重なった不祥事。


 止まらない赤字。


⸻


 そして——倒産。


⸻


「……は?」


 最初に聞いたとき、現実感がなかった。


 冗談だと思った。


 だが、すぐに理解する。


 これは現実だと。


⸻


 仕事は消えた。


 契約も消えた。


 守ってくれる場所も、消えた。


⸻


 そこからは、早かった。


⸻


 新しい事務所。


 新しい環境。


 新しい人間関係。


⸻


 だが——


「……なんか、違う」


⸻


 空気が、合わない。


⸻


 笑っているのに、笑われている気がする。


 話しているのに、聞かれていない気がする。


⸻


 小さなズレ。


 小さな違和感。


⸻


 それが、少しずつ積み重なっていく。


⸻


「……お疲れ様です」


 挨拶をする。


 返ってくるのは、形だけの言葉。


⸻


 前の事務所とは違う。


 あの頃は、もっと——


⸻


「……まあ、仕方ないか」


 自分に言い聞かせる。


 環境が変われば、人も変わる。


 それだけの話だ。


⸻


 そう思おうとした。


⸻


 だが——


⸻


 うまくいかない。


⸻


 仕事でミスが増える。


 タイミングが合わない。


 些細なことで空気が悪くなる。


⸻


「……なんで?」


⸻


 原因がわからない。


 自分のせいなのか。


 周りのせいなのか。


⸻


 ただ一つ、確かなことは——


⸻


 すべてが、少しずつズレている。


⸻


 そして、そのズレは——


⸻


 止まらない。


⸻


 気づけば、仕事は減っていた。


 呼ばれることも少なくなっていた。


⸻


 そして——


⸻


「……少し、休んだ方がいいと思う」


⸻


 そう言われた。


⸻


 優しい言葉だった。


 だが、それが意味することはわかっていた。


⸻


 “いらない”ということ。


⸻


「……はい」


 笑って答える。


⸻


 それが、最後だった。


⸻


 表には出ていない。


 発表もされていない。


⸻


 だが、事実上の——


⸻


 活動休止。


⸻


「……なんでこうなるんだろう」


⸻


 部屋の中で、一人つぶやく。


⸻


 思い返す。


⸻


 いつからだろう。


⸻


 全部が崩れ始めたのは。


⸻


 事務所の問題。


 人間関係。


 仕事。


⸻


 全部、別々のはずなのに。


⸻


 なぜか、繋がっている気がする。


⸻


「……気のせい、か」


 首を振る。


 考えすぎだ。


⸻


 そう思おうとする。


⸻


 だが——


⸻


 どうしても、引っかかる。


⸻


 何かが、おかしい。


⸻


 理由はわからない。


⸻


 でも、確実に——


⸻


 “流れ”が悪い。


⸻


「……はぁ」


 ため息をつく。


⸻


 このまま、どうするのか。


 何をすればいいのか。


⸻


 答えは出ない。


⸻


 だから——


⸻


 外に出た。


⸻


 理由はない。


⸻


 ただ、なんとなく。


⸻


 足が向いた先は——


⸻


 競馬場だった。


⸻


「……なんでここなんだろ」


 自分でもわからない。


⸻


 人のざわめき。


 独特の空気。


⸻


 昔、誰かと来た気がする。


⸻


 ぼんやりとした記憶。


⸻


 だが、思い出せない。


⸻


 ただ——


⸻


 ここに来れば、何か変わる気がした。


⸻


 そんな気がした。


⸻


 そして——


⸻


 その日。


⸻


 レイナは、再び彼と出会う。


⸻


 黒沢恒一。


⸻


 それが、どんな意味を持つのか。


⸻


 まだ、知らない。


⸻


 ただ一つ、確かなこと。


⸻


 崩れていた流れは——


⸻


 まだ、終わっていない。


第12話を読んでいただきありがとうございました。


レイナの周りで起きていた変化。

それは突然ではなく、静かに積み重なっていたものでした。


一つひとつは小さなズレでも、

重なったときに、大きな流れになっていく。


そして、その流れはまだ止まっていません。


次回は、その“違和感”がよりはっきりと形になっていきます。

少しずつ、見えてくるものがあるかもしれません。


よろしければブックマークや評価、感想をいただけると励みになります。

引き続きよろしくお願いします。


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