表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
1/44

一つ目

 今日俺は、生きて学校にたどり着くことができるのだろうか?

 最近毎日、俺は通学路で死んでいる。

 と言っても、今生きて学校に通っているわけだから、死んでいるという表現は間違っているのかもしれない。

 でも、このスマートフォンに起動された、リアルRPGという名のゲームの中で、俺は毎日のように死んでいた。

 このリアルRPG、通称「リア」というアプリケーションゲームは、リアルのマップを使って、実際に動いてプレイするロールプレイングゲームである。

 スマートフォンのカメラ越しに世界を見れば、そこには別のプレイヤやモンスター、宝箱が表示されていたりする。

 今は登校中であるから、流石にそんな物を見ながら、通学路を歩くわけにはいかない。

 何故なら・・・何故なら?・・・なんでだろう?

 とにかくだ、カメラを覗きながら歩いていたら、変な奴だと思われるではないか。

 きっと・・・

 そんなわけで、ゲームを起動したまま、俺は学校への一本道を歩いていた。

 モンスターと遭遇すれば、自動でモンスターとの戦闘が始まり、勝敗を決する事になる。

 宝箱と接触すれば、自動で宝箱を開けて、アイテムをゲットする。

 プレイヤと出くわせば、それぞれの設定によっては、戦闘を行って勝敗を決する。

 基本的には、この三つを繰り返し自分を強くし、「ラスボス」を倒すか、もしくは「光と闇の宝具」を七つ集める事が最終目的だ。

 このゲームのプレイヤは、現在二十万人を超えており、最初に目標を達成できた者には、一千万円の賞金がでる事になっている。

 だからこのゲームをしている者たちは、みんなマジだ。

 全く容赦がない。

 弱い奴は叩ける時に叩き、嫌がらせも半端ない。

 そんなわけで、誰だか知らないが、俺が通う学校への通学路に、やたら強いモンスターを配置して、この学校に通う勇者に対して、嫌がらせをしているようだ。

 モンスターを倒すと、アイテムと、倒したモンスターが手に入る。

 手に入れたモンスターは、自分の好きな場所に再配置ができる。

 配置した者には、そのモンスターは襲ってこないし、倒す事もできない。

 要するに、このモンスターを配置した奴は、毎日此処で俺が死んでいるのを見て、きっと笑っているに違いないのだ。

 さあ、もうすぐ、いつも死んでいる場所だ。

 此処を無事通過する事ができなければ、スマートフォンがまた、死亡を通知する為に、プルプルと震える事になる。

 頼む!震えるな俺のスマフォ!

 ・・・駄目だった・・・

 やはり俺のスマートフォンは、無情にもプルプルと震えていた。

 結局今日も、俺は朝のほんの短い時間だけしか、ゲームをプレイする事ができなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ