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美味しいお茶ができるまで(みんなのこれまでとそれからと)

本編の裏設定なります。

いずれかを番外編で作成するのは今の私には難しい為、ここでサラッと彼女達のお話を流させていただこうと思います。

オースティン家:

現当主グレイグと男爵夫人ビビはアレク達の祖父母。オースティン兄弟の両親は末の娘リズが生まれた後、事故で死亡。

子供達は祖父母に育てられるが、祖父母は孫には武道と魔境で生き抜く技術と知識を教えた。

オースティン領は飛竜の飛来地が近くにある最果ての領地。飛来地とは別の森には魔物やドリアード(ヤドリギ系魅了植物。生物に幻覚を見せて魅了し、捕獲して苗床にしてしまう)など魔性植物が確認される魔境であり、土地も痩せて貧しかった。地元民は襲ってくる魔物を狩って食料にしていた。

因みにこの地の隠れた高級料理は『ドラゴン鍋』(猛者しか仕留められず、ありつける者は少ないという意味で希少な為)。故に食べた者は知らず知らずのうちに肉体的にチートに。ついでに最大戦力はビビばあちゃんだったりする。食べ残していた鱗と牙は売っていた。(オースティン家の者は王都で大抵の常識を知るが、滅多に採れない貴重なタンパク源という認識である為、黙っていた。)

両親在命時、長女エリー4歳の頃、商隊の警備隊の者が犬を犬笛で操るのを見て、「飛竜もこんな風に意思疎通ができたらなぁ〜」なんてエリーがいうのを長兄アレクが真に受け、3年に及んで飛竜を観察した挙句実現してしまう。

その後次兄ロバートがアレクの『飛竜観察日記』を元に、今度はドラゴンを同じようにして手なづけた。(後年王都のドラゴン騒動の際、ドラゴンの異変に気付き殺さずに捕獲したのは、この時の『ドラゴン観察日記』の成果。)

大人達は腰を抜かし、エリーは滅多なことは言わないようにしようと心に決めた。

それぞれの観察日記は、上の兄弟が学園へ行く度に下の弟妹に引き継がれた。

以後オースティン領では『飛竜はトモダチ怖くない』がキャッチフレーズ(笑)になるが、後年隣国撃退の褒美として、王家承認の元『飛竜の運送屋』(エリー発案)を始めるまでこれらの事は秘密とされた。

隣国侵攻時、偶々ヘンリーとヴィクトリアがエリーが勧めた農業改革の成果を視察する為に、オースティン領に来ていた。オリヴィア父子とノーラは勿論護衛も沢山いたが、若者よりも強くてもんのスゴイご老人達に彼等と孫達は唖然となった。

長兄アレクは故郷での経験を元に学園で『魔物や魔性植物の生物学』の教師になった。家督がアレクに譲られると同時にオースティン家は男爵から伯爵へ昇進した。アレクは後年に学園長になる。

次男ロバートは運送屋の事業を兄の代行として率いていたが、オリヴィアと結婚し伯爵家へ婿入りする。事業は三男フレドリックが引き継いだ。

三男フレドリックと次女リズは世界初の『ドラゴンライダー』になった。



キャンベル公爵家:

息子の事件の後、家格を自ら落として侯爵に。当主レスターと国王アーノルドとは学友。

ヴィクトリアが嫁いだ後、レスターは宰相を辞任。一族の中から優秀な若者を養子に迎えた後夫婦共に隠居し、王家・キャンベル家・マッカーサー家・キートン家で創立した孤児院と病院の経営に腐心した。

クレメントは10年後に魔法が解けた。自分の罪に発狂したが、首輪の効果で体が死ぬまで働き続けた。鉱山で滑落して死亡。

彼の死が伝えられると母は修道院で静かに泣き、父は息子の墓を守る為かの流刑地に旅立った。



マッカーサー侯爵家:

事件の後、家格を自ら落として伯爵に。ドナルドとアーノルドは学友。

祖父グレッグは騎士科の教授に。ドナルドは後継を育てた後騎士団長を辞職。事件当時長男と次男は結婚していたが、長男の嫁は実家と絶縁。次男は離婚した。

ドナルドは騎士団を辞職後長男に家督を譲り、事件後に加害者家族で創立した孤児院と病院の経営に妻やレスターと共に携わる。この孤児院からは多くの文官と騎士が排出された。

ルークはクレメントと同じく10年後に魔法が解ける。自分の罪に慄くが、父の『自らの罪を償い、再び会える日を待っている』という手紙に救われ、殉教者のような日々を送る。

発掘現場の環境改善や鉱山の労働者の健康管理などに尽力。後に鉱山頭になり賠償金は完遂するが、本人は解放されることを望まず、鉱山奴隷であり続けた。落盤事故で死亡。

遺言により遺髪のみ両親の墓に入れられた。



レイモンド侯爵家:

事件当時当主であったオリバーは元庶民の孤児。昔から魔力が高く、孤児院に設立していた魔法陣を興味半分で解いてしまい、強制的に学園へ。

メキメキと頭角を現し魔法師団に入るが、貴族主義者がトップを固めていた当時、身分が足りず下っ端であった。後に魔法師の名門レイモンド侯爵家に婿入り。

しかし妻リリーは貴族主義者で義務で子供は産んだものの、オリバーを毛嫌い。自分に似て魔力の高いカーティスは溺愛したが、オリバーに似た娘は嫌い抜いた。

クーデターの時、オリバーはドラゴン騒動で学園に詰めていた。

息子の事件の後離婚。退団しキートンと姓を戻して学園へ。魔法科の教師になるが、娘とエリーと一緒に息子の被害者の為の義足や義手・車椅子などを開発・改良する日々を過ごした。後に学園長に推されるが、これを固辞。学園を退任した後はオースティン領に身を寄せる。

対して当時の侯爵夫人リリーは、加害者の家族が社交を自粛する中、堂々と社交に出席。

離婚したオリバーに全責任を擦りつけ、自分は無関係であると周りに吹聴したが、普段の言動が言動なので誰も信じなかった。

元夫のオリバーが粛々と被害者の賠償にあたるに対してのこの態度に、周囲の貴族は反発。

社会に非は夫人にあるらしいと噂が流れ、被害者関係者の怒りはオリバーよりも彼女に向かった。

養子を迎えるもレイモンド侯爵家は没落した。

ノーラは父と共に障害者支援の魔道具を作る傍ら、エリーの依頼と協力により、コンバインとトラクターと液体の防虫剤・殺虫剤を散布する農業用噴霧器を作成。その功績で女性初の勲爵士を授かる。

アレク・オースティンと結婚。『魔道具の母』と言われた。

カーティスは魔法が解けるも自分の罪を認めなかった。どころか被害者を侮辱する発言を繰り返した為、周りの反発を買い上に報告され、強制的に魔力を大量に複数の魔石に注ぐ魔法陣をつけられ、植物人間状態に。

生命維持の魔法陣をつけられた為生きることはできたが、死ぬまで魔石に魔力を注ぎ続けた。

父の思いは最後まで伝わらなかった。



ノートン伯爵家:

オリヴィアの父ベンはグレッグ・マッカーサーの前任の将軍であった。後任のグレッグとは友人同士。ドラゴン騒動の際は学園に詰めていた。

子供を諦めていたところへ娘が生まれるも、たまたま同年代の親類も男子が多かった為、扱いが分からず迷走。妻も武門名高い家の生まれで、幼い頃から武道を習っていた為加減が分からず、夫の暴走を抑えられなかった。

オリヴィアは父同士が友人とは知らず、ただルークの横暴に耐える日々を送っていた。娘に負担をかけさせたことを両親は生涯後悔した。後にベンは国王から前職の関係上、裏の真実を知らされる。

ルークとの婚約解消後、ベンは「儂を倒せる者にしか娘はやらん!」とまた迷走。妻は苦笑い。

しかしオリヴィアはロバートを連れてきた為、悔し涙を流した。

ロバートはどちらかと言えば皮肉屋で気を許さない者には冷たかったが、基本年長者への礼儀は欠かさず子供や女性にも普通に優しい紳士であり、領地経営の能力もあったので文句のつけようがなかった。ベンは結婚式の前日に友と呑んだくれた。

グレッグとの友情は生涯変わらなかったが、家には流石には招けなかった。国王達の孤児院と病院の創立に協力した。

オリヴィアは卒業後ヴィクトリアの護衛として近衛隊に勤務。結婚後も継続した。

ロバートは社交では常に彼女を立て、プライベートでは彼女を甘やかした。

不幸にも配達に来たフレデリックがその現場を目撃してしまい、「お前偽物だな!? 兄貴はどこだ!?」などど喚いて斬りかかり、あっさり撃沈される。彼は何を見たかは生涯黙秘を貫いた。



アルビオン王家(今初めて名前が出た←オイ):王家の歴史は3話目に出したので割愛。


王弟ジョージのクーデターとその顛末(真相):

予ねてより覇を唱えた王国の復活を目論む王弟ジョージが、ドラゴンに学園を強襲させて手薄になった警備の隙をつき、一時王妃を拘束。王城を占拠。

この時アレク・オースティンは夜勤明けで、友人と共に仮眠室で仮眠中であった。

眼が覚めると魔法師を中心とした武装集団が王城を闊歩しているのを見て、友人と共に仮眠室を抜け出し、自分が騒ぎを起こしている間に友を逃して、危急を国王に知らせるようにした。

ちょうど魔法師が仮面をつけて行動していた為、そのうちの一人を拘束し衣装を入れ替え職場へ行くと、部署の先輩がドリアードに魅了された状態に近かったので、魅了系の薬物投与か魔法でないかと推理。

王弟とその周囲の様子から彼が魔法源と判断。王の間に詰めていた王弟とその部下を捉える為、こっそり催眠香を仕掛けて中に充満させ、護衛と中の者を眠らせて全員拘束。

王弟を盾に反逆者の武装解除。拘束されている騎士達を解放させ、代わりに反逆者達に牢に入るよう要求。

仕上げに王弟をマダラ禿げにして頭と顔に落書き。更にリボンと花でフラワーアレンジメント。

アレクが大変不器用なのもあったが、王弟は10人が見れば10人が振り向くような美形だった為ギャップがすごく、見た者は爆笑。あっという間に魅了どころではなくなった。

ドラゴン騒動を早期解決し城にとって返した国王軍は、泣く子も笑う力作に約半数が爆笑し、残り約半数が笑いをこらえる為戦闘不能に。『魅了』の事情を知るごく少数は、あまりの対処法に脱力した。

用いた顔料が絵の具ではなく染料であった為しばらく消えず、王弟を見た者は笑い過ぎて仕事が進まないので、処刑の日まで王弟は道化の仮面をつけさせられた。

アレクはその後のノートン将軍と弟との手合わせで有名になり、剣で無双したと周囲に誤解されてしまう。

この事件はその後に演劇化されてしまうが、王弟役は終始道化の仮面を被り、アレク役は剣で大人数を相手に無双していて、何故そうなったとアレクは首をひねった。



アーノルド国王一家:

国王アーノルドは弟ジョージと同じく『魅了』の魔法の持ち主。ただし、弟よりかなり弱く『誘導』の程度。王妃は意識操作の魔法の効き難い体質であった。

ウィルフレッドとヘンリーは双子の兄弟。ウィルフレッドは『魅了』の魔法の持ち主であったが、ヘンリーは母と同じ体質の王子であった。

ジョージの策略により、周りの人物を意のままにするのが当たり前になってしまったウィルフレッドは、常に自分を諌めようとするヘンリーに反発。

城の者を『誘導』して密かにヘンリーを害そうとした。

アルバートは度重なるヘンリーの殺害未遂を不審に思い、ヘンリーを留学と称して他国へ逃がした。

クーデターが起きたのはこの一ヶ月後。

叔父の失敗を目の当たりにして、ウィルフレッドは猫を被る事を覚えたが、学園ではタガが外れてやりたい放題。

まさか至高の存在である王族に牙を向く者がいるとは思わず、『魅了』を使い放題で記憶操作もして証拠隠滅していた。ランス学園長が事態を掴むのが遅くなったのも、この為。

ウィルフレッドの事件の後国は揺れるが、ヴィクトリア達が早期にフォローに廻っていて、王達もパーキン伯爵を通じて影から支援していたのと、事件後は加害者家族が一族をあげて賠償に当たった為、事態はすぐに落ち着くように見えた。

しかし、事件発覚から一年後南と西の隣国が侵攻。

先に西の国がアルビオン国の大群を引きつけている隙に南から精鋭部隊が急行して王都を襲撃する筈が、西の国はど田舎のオースティン領で撃退され、南の国が進軍した時は王都に集結したアルビオン軍の南下部隊に撃破された。

因みにこの軍を率いていたのは、グレッグ・マッカーサー将軍(要請により一時復帰)。オリバー・キートンも魔法師団の一員として参加。

彼等とマッカーサー一族は『名誉挽回のチャンス』とばかりに獅子奮迅の働きをした。

西で隣国を撃退した際、その場にヴィクトリアとヘンリーもいた為二人の民衆の支持率はうなぎ登り。

また、レイモンド家の次に世間の風当たりが強かったマッカーサー家もこの時の戦果が広まり、大分周りが穏やかになった。

この戦いで、アルビオンは再び団結。

4年後にランスが学園を辞職。加害者家族が経営する孤児院に再就職した。

ウィルフレッドの事件から8年後にアーノルドは退位。ヘンリーが王位に就いた。


ウィルフレッドは反省もなければ己の罪を認めようともせず、ただエリー達を憎む日々を送った。服従の首輪の所為で体は本人の意思とは関係なく働き続けるが、口を開けば傲慢な物言いばかり。

上司の報告でカーティスよりもずっと早くから彼が最終的に受けた罰を受ける事になった。

最後は枯れ枝のような姿になり、眠るように死んでいった。



ヴィクトリアは20歳でヘンリー殿下と結婚。5年後に王妃となり、二男二女を産んだ。夫との仲は良好で、『万年新婚夫婦』とよく親友達にからかわれた。

エリー・オリヴィア・ノーラとは晩年まで親友として親交があった。特にエリーのことは影で『お姉様』と慕い続けた。

エリーは学園卒業後念願の文官になるが、ヴィクトリアが暗殺とストーカーの危機に晒されていた為、オリヴィアとヴィクトリアの要請でヴィクトリアの女官になった。

オリヴィアとノーラの協力の下、前世の知識をフルに使いヴィクトリアを守りつつ、彼女と共に農業改革を試みる。

全てが上手くいった訳ではないが国内の生産量は上がり、国内の流通も良くなり、飢えで死ぬ者も少なくなった。

後に農政大臣へ。大臣を退職後、男爵位を勲爵。

エリーは結婚はしなかったが姪や甥を可愛がり、彼らに見守られながら微笑むように死んだ。



お読みいただき、ありがとうございました。

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