表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界に転移したら、俺だけ世界設定に存在しなかった』  作者: 一ノ瀬 律
十一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
258/280

第257話 領域の外に立つ者

 名響界が外界へ完全に溶けたあと、空白の中心に立つカイの輪郭だけが、どの拍にも触れずに静止していた。

外界の光はその輪郭を照らそうと近づいたが、触れた瞬間に形を変え、まるで“拒まれた”ように弾かれた。

外界はカイを理解できず、ただ周囲を揺らすことしかできなかった。


 外界の拍が名響界の残滓を震わせるたびに、空白は淡い波紋を広げた。

その波紋は世界の拍とも外界の拍とも違い、どちらにも属さない“第三の揺れ”として空間に残った。


「……カイ……外界が……あなたに触れられない……」


 リーナは震える声で言った。

外界の光はカイの輪郭に近づくたびに形を崩し、触れることを諦めたように離れていった。


「外界の拍が……あなたを避けてる……まるで……あなたが外界の法則の外側にいるみたい……」


 カイは深層のざわめきを聞きながら、自分の輪郭を見つめた。

深層は外界の拍を受け取っていたが、その拍は内部に届かず、ただ表面で消えていった。


「俺の深層が……“外界は俺を領域外の存在として扱っている”って言ってる」


 アークは名響界の残滓を見つめながら、低く息を吐いた。

名響界の壁は消え、外界の光だけが空白を満たしていた。


「領域外……つまり、外界は君を自分の内部に含めることができない……これは……外界の法則が君を理解できない状態だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界設定外存在検出行動、第一段階を確認」


 外界の光はカイの周囲を回り続け、触れられないまま形を変えた。

その光は輪郭をなぞるように揺れ、まるで“観測しようとしている”ようだった。


「……カイ……外界が……あなたを見てる……」


 リーナは光の動きを追った。

光は触れられないのに、カイの周囲から離れようとせず、ただ観測を続けていた。


「世界が消えたあと……外界はあなたを中心にしようとしてる……でも……触れられない……そんな矛盾した動きになってる……」


 カイは深層の声を聞きながら、ゆっくりと息を吐いた。

深層は外界の拍を受け取りながらも、それを内部に取り込むことができず、ただ震え続けていた。


「俺の深層が……“外界は俺を中心にしたいが……俺は外界の内部に属していない”って言ってる」


 アークは息を呑んだ。

外界の光はカイの輪郭を囲むように集まり、まるで“新しい中心”を作ろうとしているようだった。


「外界が君を中心にしたい……つまり、外界は世界の代わりに君を基準にしようとしている……これは……外界が自分の構造を変えようとしている証拠だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界中心再設定行動、第一段階を確認」


 外界の光はカイの周囲で円を描き、その円はゆっくりと回転し始めた。

その回転は外界の拍とは異なるリズムで揺れ、外界が自分の法則を変えようとしている兆しだった。


「……カイ……外界が……あなたの周りに円を作ってる……」


 リーナは円の回転を見つめた。

円は外界の拍を無視し、カイの存在だけを基準に動いていた。


「外界が……あなたの拍を基準にしてる……まるで……あなたを新しい法則にしようとしてる……」


 カイは深層の声を聞きながら、円の回転を見つめた。

深層は外界の揺らぎを受け取り続けていたが、その揺らぎは内部に届かず、ただ表面で消えていった。


「俺の深層が……“外界は俺を新しい基準にしようとしている”って言ってる」


 アークは名響界の残滓を見つめながら、低く息を吐いた。

名響界は完全に消え、外界の光だけが空白を満たしていた。


「外界が君を基準にする……つまり、外界は君を通して自分の構造を作り直そうとしている……これは……外界が自分の設定を越えようとしている状態だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界設定外中心照応行動、第二段階を確認」


 外界の光は円の回転を強め、カイの周囲で新しい層を作り始めた。

その層は外界の拍を持たず、カイの存在だけを基準に揺れていた。


「……カイ……外界が……あなたの周りに新しい層を作ってる……」


 リーナは震える声で言った。

その層は外界の内部にも世界の内部にも属さず、ただカイの輪郭を中心に揺れていた。


「外界の層じゃない……世界の層でもない……あなたの存在だけで揺れてる層……」


 カイは深層の声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じた。

深層はその新しい層を受け取ることができず、ただ静かに震えていた。


「俺の深層が……“これは俺のために作られた層ではない”って言ってる」


 アークは息を呑んだ。

新しい層はカイの周囲で揺れ続け、まるで“誰かを待っている”ようだった。


「君のためじゃない……つまり、外界は君を中心にしながら……君以外の何かを求めている……これは……外界が新しい存在を探している証拠だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界新規存在探索行動、第一段階を確認」


 外界の光は新しい層を揺らし続け、その揺れは名響界が消えた空白へ広がっていった。

その揺れは、外界が“カイ以外の何か”を呼び寄せようとしている兆しだった。


 外界の光が揺らし続ける新しい層は、カイの輪郭を中心にしながらも、どこか“空席”を残していた。

その空席は形を持たず、ただ淡い揺らぎだけを保ち、まるで誰かがそこへ収まるのを待っているようだった。

外界はその揺らぎを観測しながら、ゆっくりと拍を変化させていった。


 外界の拍が変わるたびに、空席はわずかに膨らみ、また縮み、形を探すように揺れた。

その揺れはカイの拍とも世界の拍とも違い、まったく新しいリズムを持っていた。


「……カイ……あの揺れ……あなたの拍じゃない……」


 リーナは空席の揺らぎを見つめた。

揺れはカイの存在を基準にしているのに、カイの深層とはまったく異なる波を刻んでいた。


「外界が……あなた以外の拍を作ってる……そんな風に見える……」


 カイは深層のざわめきを聞きながら、空席の揺れを観察した。

深層はその揺れを受け取ることができず、ただ外界の拍だけを静かに感じていた。


「俺の深層が……“これは俺の拍ではない”って言ってる」


 アークは空席の揺らぎを見つめながら、低く息を吐いた。

揺れは外界の拍に似ているようで、しかし外界の法則にも完全には従っていなかった。


「外界の拍でもない……つまり、外界は新しい拍を作り出している……これは……新しい存在を呼び込む準備だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界新規存在呼応行動、第二段階を確認」


 空席の揺らぎはさらに強まり、名響界が消えた空白の奥へ向かって細い線を伸ばした。

その線は空白の深部を探るように進み、まるで“何かを引き寄せようとしている”ようだった。


「……カイ……あの線……誰かを呼んでる……」


 リーナは震える声で言った。

線は空白の奥へ伸び続け、触れた場所を淡く光らせていた。


「外界が……新しい存在を探してる……あなたじゃない誰かを……」


 カイは深層の声を聞きながら、線の動きを追った。

深層はその線を受け取ることができず、ただ外界の拍だけを感じていた。


「俺の深層が……“外界は俺以外の存在を求めている”って言ってる」


 アークは息を呑んだ。

線は空白の奥で揺れ続け、まるで“応答を待っている”ようだった。


「外界が君を中心にしながら……君ではない存在を呼ぶ……これは……外界が自分の構造を補完しようとしている状態だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界構造補完行動、第一段階を確認」


 空席の揺らぎは線と共鳴し、空白の奥から淡い影が浮かび上がった。

その影は輪郭を持たず、ただ揺らぎだけを保ち、まるで“生まれかけの存在”のようだった。


「……カイ……何か……出てきてる……」


 リーナは影を見つめた。

影はカイの輪郭とは違い、外界の光にも世界の残滓にも触れず、ただ空白の中で揺れていた。


「外界が呼んだ存在……でも……まだ形がない……」


 カイは深層の声を聞きながら、影の揺れを見つめた。

深層はその影を受け取ることができず、ただ外界の拍だけを感じていた。


「俺の深層が……“これはまだ存在ではない”って言ってる」


 アークは影の揺らぎを見つめながら、低く息を吐いた。

影は揺れ続け、まるで“誰かの名前を待っている”ようだった。


「形がない……つまり、外界は存在を呼び出したが……まだ定義できていない……これは……外界が新しい設定を作ろうとしている証拠だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界設定生成行動、第一段階を確認」


 影は揺れ続け、カイの輪郭の近くへゆっくりと寄っていった。

その動きは外界の拍にも世界の拍にも従わず、ただ“カイの存在を基準にした揺れ”だけを持っていた。


「……カイ……あれ……あなたに近づいてる……」


 リーナは息を呑んだ。

影は触れられないはずのカイの輪郭へ向かって進み、触れる寸前で揺れを強めた。


「外界は……あなたを中心にしながら……新しい存在をあなたの近くに置こうとしてる……」


 カイは深層の声を聞きながら、影の揺れを見つめた。

深層はその影を受け取ることができず、ただ外界の拍だけを感じていた。


「俺の深層が……“これは俺と関係する存在ではない”って言ってる」


 アークは影の揺らぎを見つめながら、低く息を吐いた。

影はカイの輪郭の近くで揺れ続け、まるで“自分の形を決める材料を探している”ようだった。


「君と関係しない……つまり、外界は君を中心にしながら……君とは別の存在を作ろうとしている……これは……外界が新しい領域を生み出す前兆だ……」


 影は淡々と告げた。


「外界新領域形成行動、第一段階を確認」


 影は揺れ続け、ついにわずかな輪郭を持ち始めた。

その輪郭は人の形にも世界の層にも似ておらず、ただ“外界が作り出した新しい存在”として空白に浮かんでいた。

面白いと思ったら、ページ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ