その男には気をつけろ(ファティマの予言編)
『随分なご挨拶ですね…』とカモメは
早良親王へ言った。
割れた眼鏡を外し、汚れた背広の埃を払い。…
『早良親王…
いや…延歴19年。貴方の怒りを鎮める為に…
崇道天皇と追称された。
貴方が何故に今の世に祟りを為すのか?』
『ワシは道真とは違うぞ…
同母弟である。
ワシを政敵と見なし藤原種継暗殺の嫌疑を掛けられ…
無実を訴える為に
断食をしたにも関わらず
私を排除した。
兄への怨み…
お前などには判るまい…』
『やはり…怨念に、全てを支配されてる様ですね。
こうなると。
私の話しは聞いて貰えない。
玉藻は何をしているのか?』
その時玉藻は
土御門家に上がり込み、お茶を啜っていた。
『あ~。やっぱり
京都のお茶は美味しいわ。』
『ところで貴女は
どなたでしょうか?』
『あら?土御門家の当主ともあろうお方が、私を知らないと?』
『申し訳ない
貴女の様に若く美しい方には、生憎知り合いが居ません。』
『あら…そう…
私は良く知ってるけどね。
それは…4第泰成と初代晴明と
その…母…
信太の葛の葉は…
』
『と、申されますと。もしや…』
『そう…妖孤
た、ま、も…』
と無邪気に笑うが。
大妖怪玉藻がやすやすと陰陽道の総本家に入って来るなど有り得ない。
結界を張り巡らして有るはずなのだ。
『あら?結界は張って無かったわよ』
その時二人の居る部屋に有る男が入って来た。
『あら…晴明…
久し振り』
『おばさま。お久し振りです。
只今卦を掛けました所。
禍々しい気が三つ。この世に蘇ると
出ました。
これは…急がねばならぬようです。…
泰成!貴方も来なさい。
おば様には是非とも泰山府君の弊を勤めて戴きたい。』
『流石に晴明に泰成。説明は不要だわね。急ぐわよ。…
道真公は主任が何とかしてる頃だけど。残りの二人は
厳しいかも…』
『それでは急ぎましょう。』