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そんな初音ミク* ~1人を愛す彼女と僕が、お昼に繋がる音声ソフト。~

【注意】

※本作品は初音ミクを題材として扱っています。初音ミクは登場人物としてではなく、主人公が使用する音声ソフトとして登場します。

※「初音ミク」はクリプトン・フューチャー・メディア株式会社のキャラクターです。

© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net


※本作に登場する「足立レイ」は合同会社メカニカルガールのキャラクターです。

© Mechanical Girl


 オリジナル作品として発表しますが、二次創作の権利問題があるため私の判断で即時非公開とする場合があります。

 また、小説家になろう運営またはクリプトンヒューチャーメディア、メカニカルガール様などからの削除要請があった場合、速やかに削除いたします。




【あらすじ】

 教室で一人を好む彼女と、初音ミクの創作に没頭する僕。

 昼休みの何気ない時間から始まった二人の関係は、大学卒業後も続いていた。

 社会から距離を置いて生きる僕を支え続ける彼女。そして、彼女の誕生日に贈るため作り上げた一曲。


 初音ミクを愛した二人が紡ぐ、少し切なくて優しい物語。


 彼女は温厚で口数の少ない人だった。教室で一人ぼっち、自由行動もグループを組まない人だった。一人を楽しんでいた。


 そんな彼女は、お昼休みはいつも教室を出ていた。

「ごめーん、席使っていい? ありがとー!」

 クラスの女子も、次第に何も言わずに席を使うようになった。


 そんな彼女はお弁当を持って待ち合わせをしていた。渡り廊下に立っているのは僕だ。

 春風の心地よい日は外のベンチに、冬の寒い日は食堂の隅っこに。しばらくお喋りをし、彼女が箸を置いた時に僕は液タブを見せてあげる。


 4,5色のベタ塗りの初音ミクのイラストが、荒く乱れたアニメーションで動く。フレーム数ではパラパラ漫画に勝てないだろう。


 そんな絵を見て、彼女はいつも笑った。すんとした美しい女性から、頬が色づき目を輝かせる少女へと変わった。


 すごいねーーそんな、ありがとうやごめんより先に口から出てくる言葉なんて僕は要らない。

 好きに夢中になっている彼女が、僕は誰よりも好きだ。


 そんな彼女と同じ大学に進んだ。

 そんな彼女は保育士になった。

 こんな僕はアルバイトを辞めている。


 1日1食食べるかどうか。電気も付けないで僕はパソコンに向かっている。そこにはヘッドホンをしたツインテールの少女が映っていた。いや、居た。

 動画を上げたりイラストを投稿したりで、何だかんだ月収は10万とかそこら辺だ。パソコンと少女に全てを使っている。


 そんな僕の部屋は最悪だ。

 そんな部屋に彼女が来た。


 玄関の半分を埋めている彼女のキャリーケース。ハンガーにかけられた彼女の羽織。3年ぶりにカーテンは開き、シンクで手が洗えるようになり、床にこぢんまりとした机を置いて、彼女と肩をもたれながらパソコンが見れるようになった。


 久しぶりにアパートを出た時、恐怖と視線で僕は涙が止まらなかった。


 そんな僕を彼女は少しずつ連れ出してくれた。5分、10分と、歩く時間を延ばしていく。道端の花に立ち止まる。


 そんな日々は続いた。


 こんな僕と、僕の隣でベットに寝転び、口が緩む彼女と。



 明日は彼女の誕生日だ。12月3日。ひたすら動画制作や楽曲提供を続け、何とか月収は5万円増やすことができた。

 そのお金で、僕は初めて苺のショートケーキを買った。その2切れと、もう一つプレゼントも用意した。


 彼女は部屋でニコニコを見ている。出かける前に声をかけても、いつも通り曲に熱中していて返事はない。

 そんな彼女は最近プレイリストを永遠にループ再生している。中はもちろんボカロだ。足立レイや初音ミクなど、僕らはお気に入りの曲を何度も聞いて楽しんでいる。



 そんな彼女の誕生日パーティーは開始された。と言っても僕とそのプレイリストを3週くらいして、ケーキを取り出しつつまた曲を再生する。


 そんな彼女はケーキのろうそくに勝てない。息を吹きかけてもヒュウヒュウと抜けていくだけで、ろうそくの火が消えない。代わりに僕が消してあげた。


 こんな僕は待ちきれず、ケーキを横にし、部屋を暗くし、パソコンを前に寄せて楽曲ソフトを立ち上げた。

 隣に座る彼女の目が輝いた。暗い部屋にあるパソコンから、輝かしく初音ミクが登場し、ピアノ主旋の明るい曲に合わせて歌い始める。

 歌、アニメーション、動画。全て自作。今までで初めて、メディアに出せる価値があるんじゃないかと思っている。


 これは大幅修正版だ。あのベンチで、彼女に思い切ってパソコンを見せた青い春の日。彼女が初めて笑ってくれた曲をセルフリミックスしている。



 そんな彼女は僕に肩を持たれてきた。あの日も同じ。パソコンの画面を2人で覗き込む時、僕と彼女の肩が触れた。


 こんな僕にできることはこれくらいしかない。

 あんなダメダメだった僕を構ってくれた彼女は、今日も隣で、今目をかがかせている。



 僕がトイレに行こうと動いた。そんな時、彼女は操り人形のように崩れ落ちた。

 立ち尽くした間、パソコンの中で初音ミクが何十回目踊ったのか分からない。地面に打ち伏せた彼女は、目がくすんでいた。







そんな初音ミク*

秋遅被咲










※本作品は初音ミクを題材として扱っています。

※「初音ミク」はクリプトン・フューチャー・メディア株式会社のキャラクターです。

© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net


※本作に登場する「足立レイ」は合同会社メカニカルガールのキャラクターです。

© Mechanical Girl

 あなたの瞳に映る僕。あなたが僕を見ているのではなく、あなたを見ている僕がただあなたの瞳に映っているだけ。

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