d-day
水爆にてくり抜いた巨大な洞穴に鉄塊が突っ込む
揺れ、浮き、金具は吹っ飛び。
数百トンは、数千トンはあろう巨体が落下する。
「全く、なんと手荒な。」
鯨魚のヘッドスラップよりも巨大で、美しく、壮大な水飛沫。
「目標ほそくー…第一波しゅつじんー…」
LCPVの固定が外され、推進力を持って海の波を煙幕に進水が成される。
「…ど、どうですか下野くん…お水ですよ〜…」
「ふゆちゃん、話してないで操舵してー…」
「っは、はいっ…!」
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「小隊長、何か見えますか。」
「Island…目標、の島がある…」
双眼鏡を覗く椿芽、その背には四十もの武装済みアカデミー生徒。
「後続は随分と楽しそう…というより、頼もしいですね。」
「hm、It's okay…私、が守る…」
「…だと良いんですが。」
後続には乙倉ひな率いる三十人部隊、その後ろに小森柊人の十人部隊。
乗船しているのはひなにミチル、ウナ。
柊人は神秘の都合もあり特殊兵が集められていた。
「landing、近い…伏せるんだ。」
「了解です。」
最後尾には、テット組の四人。
D-dayと呼ぶにふさわしい布陣だった。
「Let's go according to plan…上陸、匍匐、鉄条網の爆破、突入だ。」
「…柊人さんの所に工兵がいるせいで、爆破まで時間が掛かりそうですね。」
「Just endure... that's all.」
その時、小隊の頭上を掠める鉄一つ。
「…Get down!」
「伏せろ!機関銃だ!」
飛来する弾丸全ては我らを殺す為。
伏せなければ死、或いは激痛。
上陸艇は進む、例え7.92mm、鉄の殺意が当たろうと。
「上陸するぞ!」
「3,2,1…We've landed!」
「進め進め!止まったら死ぬぞ!」
先陣を切りしは椿芽に副小隊長の生徒。
機関銃陣地は遠く、遮蔽は岩陰。
「Just keep going!」
「何やってる進め!殴られたいのか!」
面制圧の射撃が鼓膜を揺らす、心身に響く銃音は臓物を揺らす。
「っ小隊長、早く神秘を。」
「I'll do it now…」
一つの遮蔽に数十人が隠れる中、銃弾が頭上の空気を歪ませ掠める中。
椿芽だけが、息を吸い、吐いていた。
「…ここから先は保証する、Leave it to me.」
「…了解です。」
瞬間、椿芽の長い黒髪がぱきり、ぱきりと音を鳴らす。
割れる音が、乾くような音が響く。
「…now!」
岩陰より体を出したその刹那、長髪が舞い、辺りに静電気を散らす。
疾走、テフヌトの名を受け、ひたすらに、飛来する弾丸を薙ぎ倒し走り抜ける。
椿芽の神秘、毛髪を硬化させ纏った電気で辺りを焼き尽くす、名を黒雷獣。
「Come on!!Hurry up!!」
名付け親はシューであり、弟。
「小隊長が道を開けたぞ!ビビってないで突っ込め!」
機関銃射撃が密集しようと、彼女の髪に一つでも傷は付けられない。
「散らばれ!集まったら転けて死ぬぞ!」
颯爽を砂を駆け抜ける椿芽、その後続に着きし多くの軍勢。
「はぁッ…はぁっ…」
走行による酸欠、神秘使用による急性疲労、そして集中攻撃の恐怖。
「ぐ…っあぁ!」
その全てが、未だ齢の浅い乙女に襲い掛かる。
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「何してんねんカス、そないに遅い走りがお前の本気かいな。」
耳元の声、それは。
「ここが鉄条網地帯って訳かい、工兵待っとる余裕もないな。」
肉体変形で人体の構造を超越したミチル。
肉は増大し、骨格は異形。
眼球は増え、ただ脈動する巨大な赤い肉が空を支配していた。
「ッミチル…」
「おいカス、邪魔やから隠れとき。」
「何故ここに、お前は…Following部隊…」
「は?お前らが苦戦してたったから助けに来ただけ、はよどけや。」
イヌの首輪が鈴を鳴らす、チョーカーが擦れを鳴らす。
「ふんッ…!」
その巨大で異形の腕は張り巡らされた鉄条網を意図も容易く破壊する。
「開けたで、もうひとっ走り行きや。」
「………」
「感謝の一つもないんかいな…別にええけど、俺は先行くだけ…やッ!」
椿芽が走るより先、ミチルは跳躍を持って砂を駆ける。
「っ小隊長!今のは?!」
「...rescue.」
「鉄条網は…っ破壊されてる?!一体何が!」
「For now…Charge again.」
「ッいい加減日本語で話してくれよもう!」
「…ごめん。」
いざこざもそこそこに、ミチルの背は遠くなっていく。
「すみません遅れたっす!状況はどうっすか!」
「おお、流石だねミチル。」
次に到着したのはひな、ウナ。
及び、後続の小隊。
「取り敢えず、あのミチルとかいうバケモンが自分らを模倣してる…ヌンを殺し尽くします。」
「はは…変な光景だねにしても。」
「戦力に差が付いたら、また小隊長の神秘で突入。」
「ノルマンディーっす!」
リカバリーを挟む椿芽を横目に、戦場は止まってくれない。
「ひなさんの任務は高射砲の足止めですよね?ならそこ…ええと、向こうの石垣で一旦別れます。」
「任せてほしいっす!」
「柊人さんの部隊が到着するまでにあの機関銃をどうにかしたいんですが…」
椿芽の部隊、その副小隊長は饒舌にも即興で作戦を練る。
「…僕が行くよ、任せて。」
「え」
「大丈夫!僕ってば無駄に頑丈だから機関銃ぐらい生身で耐えれるよ。」
名乗りを挙げたるは武器を持たず、身一つのウナ
「…対人地雷をモロに食らって生きてる人見たことは?」
ミチルの背を追うように、駆けていく。
向こう60m程先には数多の土嚢、その隙間から面制圧を是とする機関銃六門。
「さ、いいとこ見せるよー…っ!」
その照準が、全て砂浜の小さい影に向く。
光は音よりも、弾丸よりも早い、マズルフラッシュがまずウナの視覚を刺激した。
「体は、衰えてないかな?」
浴びせられる、無数の殺意。
毎分1500発で迫りくるそれはウナの皮膚、髪、眼球に当たるも傷を付ける事とうに叶わず。
「す、すごいっす…!」
服だけが削られていく現状。
「…ここの砂、粗いね。」
「主戦場は、砂漠なんだけどなぁ…」
「ま、文句言ってられないか。」
集中射撃をものともせず快進撃が続く、その足並みは遅くとも確実で、止まらなかった。
「さて、強キャラアピールは終わったし…」
踏み込み、その華奢な脚からは想像も出来ない程の。
次の瞬間には、土嚢が天に舞っていた。
「……はい一人目。」
敵兵、人の形をした水、その背後に。
「降伏…あ、話聞かない感じね。」
敵兵、人の形をした水、その脇腹に拳を。
「おっラッキー、手榴弾。」
敵兵、人の形をした水、その者に自爆を。
機関銃手、装填手。
土嚢に覆われた敵陣地は手榴弾自爆もあり悲惨な情景となっていた。
「最後は〜…」
最後の機関銃手は、乙倉ひなだった。
正確には、ひなを模倣したヌンの兵士。
「うぇ、ちょマジ―――?!」
身体中に手榴弾を括り付け、ウナへ突撃する。
人格模倣による覚悟か、はたまた。




