第二十話……退魔の光
前話を少し修正いたしました。
『魔を滅したいのか?』
そう問われれば、滅したい。
目の前にいるデッドリーレイスをとにかく葬ることが第一目標だったのだ。
……滅したい!
『良かろう!』
そう言った声が俺に届くや否や、退魔の剣がより一層白く輝きだした。
「みんな逃げろ!」
俺はアーデルハイトとポコに叫ぶ。
彼等も魔に類する種族かもしれなかったからだ。
『我、魔を滅さんと光り輝く……いでよ、【浄化の法】』
「……いでよ、【浄化の法】」
俺の口は、心に届く声のままに復誦した。
そして退魔の剣を大地に突き刺した。
そうすると、地面に極大の魔法陣が描かれ、膨大な光の束がデッドリーレイスを包む。
「馬鹿ナ! 貴様ガ何故浄化ノ法を……!?」
魔物がその疑問を声にするが、その答えは俺にもわからない。
光の束は巨大な鎖と化して魔物を縛った。
だが、その光は強く、地面に生える草花をも枯らしていく。
一瞬、この光はX線かなにかと疑ったが、センサー類は危険性を訴えてこない。
その事象は、この光が本当に魔法であることを示していた。
「グガガガガ……、苦シイ……」
魔物が暴れ、苦しみ出すが、その光の余波は俺にも当たり、皮膚が焼け爛れていく。
……浄化の光。
そうか、俺も浄化されるべき存在といったところか……。
魔物の中心部であろう髑髏が割れ、髑髏を包んでいた魔法の衣が燃えていく。
「ギャアァァァ!」
断末魔の声が響き、デッドリーレイスは白い灰となった。
白い灰の上で、巨大な魔石が割れていた。
この魔物が死んだ証拠であった。
白い光は剣へと戻り、再び普通の情景が戻る。
だがしかし、俺の体の大部分も白い灰となって消えていたのだった……。
□□□□□
「おぬしも無理をしたもんじゃな……」
俺が目を覚ましたところは、魔女の屋敷であった。
グツグツと、怪しげな泡沫を吹き出す謎の液体に俺は浸かっていた。
一見、風呂に浸かっている感じである。
「……こ、これは一体なんだ!?」
俺が魔女に問うと、魔女は呑気な声で応える。
「魔物の体を癒す薬湯だが、不満か?」
よく見ると、焼けただれていた皮膚が再生している。
……この俺の体は魔物なのか?
「俺は魔物なのか?」
「いや、そうではないが、他に薬が無くてな。効いているところを見ると、ひょっとしたら魔物かも知れんが、くくく……」
魔女が意地悪く笑った。
「ただいまポコ~♪」
大きな籠を携えたタヌキが部屋に入って来る。
籠の中身は黒焼きの爬虫類だった。
「これをいれるポコ」
なんと籠の中身を俺が浸かっている薬湯に放り込んできた。
……げげげ?
俺はそんな液体に浸かっているのか。
確かに臭さは半端では無かった。
だが、俺は満身創痍で体が動かない。
「おぬし、効いているのだから文句を言うな」
「そうだポコ!」
「はい。おとなしくしておきます」
俺は諦めて、この謎の薬剤に浸かっておくことにしたのだった。
薬剤に浸かること二週間。
無事に五体満足に復活したのだった。
□□□□□
「魔を滅せよ、【浄化】」
俺は魔女に指導を受けつつ、日々退魔の術を練習した。
もう剣から不思議な声が聞こえることは無くなったが、退魔の力は剣に宿ったままだった。
今では【浄化】の魔法の力を使って、スケルトンくらいの下級の魔物を退治できるようになったのだ。
村の傍に出る低級の不死魔族を退治して、村人からお金を少し貰う。
それが最近の俺達のルーチンワークとなっていた。
「ありがとうございます!」
「またお願いしますよ」
「まかせろポコ!」
今日もポコは元気だ。
この村の人々は貧しい。
お金のない場合は野菜などの食料を貰ったのだ。
人に感謝される仕事は楽しいね。
火星で兵隊なんぞやっているより絶対にいい。
俺はこの世界の神様に感謝したのだった。
「次の村に行くポコ~♪」
「ああ、そうだな」
「行きましょう!」
(第一章・完)
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