1.パーティ追放
訳あって追放された四人の冒険者。
彼らは酒の勢いのまま意気投合し、パーティを組んでしまった。
テンプレ追放者のオイハナ、ザコ勇者のユーシ、カス妖精シシャエル、飲んだくれおっさんのコウル、
そんな追放されて当然だったような彼らのろくでもない冒険のお話
ここは剣と魔法の世界。
多くの冒険者がパーティを組み、頼れる仲間と冒険の旅に繰り出していた。
だがまあ人とは愚かなものでこの世界では近頃、足手まといを追い出し路頭に迷わせる、いわゆる追放が流行っていた!!!
「追放が流行るとか冷静に考えてどういうことだよ」
今朝追放されたてホヤホヤの美少女冒険者こと私、オイハナは町の小さな酒場で嘆いていた。
他にも三人、客が居るようでよく見ると私と同じく落ち込んでいるようだ、ガラガラの店内で一人寂しく落ち込むのは全員疲れたようで、いつの間にか全員集まって駄弁り始めていた。
「へー、つまり全員今日追放されたと⋯⋯奇妙な偶然もあるもんだね」
「俺ァ毎週のように追放されてるがな、ガハハ」
そう追放自慢を語る男はこの辺りで有名な飲んだくれのコウルだ、実力はあるが常に酔っぱらっておりトラブルが絶えないのですぐに追放されているらしい。
「ドンマイおっさん、まあ見た目が毛深いおっさんだと追放されてもしゃあねーヨ、我くらい可愛くないと」
そうほざくのは中型犬くらいの大きさの妖精、名前はシシャエルと言うらしい、見た目以外は特に可愛げがないと思う。
「うーん、追放って慣れられるもの何でしょうか、僕は結構辛いですよ、ついに勇者を追放されて」
そう嘆くのは私と同じくらいの歳の青年、ユーシ、さっきから喋り方も丁寧で、少なくとも酔っ払いと生意気よりは好印象だ。てか勇者って言った?
「勇者って百年に一度産まれてきて、すごく強いんでしょ?なんで追放されちゃったん?」
「弱いんです」
「え?」
「僕は百年に一度現れる勇者かつ、千年に一度現れる虚弱体質なんです」
「えぇ、いやでも、勇者の力で乗り越えたりとか」
「勇者は常人の百倍の力を持つと言われていますが、千年に一度の虚弱体質は常人の千分の一の力です、なので僕は常人の十分の一の力です」
「そんなバカな、てかそういうのって計算で求めていいのか」
「つーかよォ、千年だか長ったるいから略せやァ」
「じゃあ千ザコでいいだろーヨ」
「漫画の略し方みたいなのを思いつくな酔っ払いと生意気」
「それで勇者かつ千ザコの僕は戦闘に出れる訳もなく、勇者にしか解けない封印やダンジョンの解放や勇者の剣などを抜いて国に貢献していました」
「その略し方使うんかい」
「その弱さで道中はどーしてたんだヨ」
「めちゃくちゃ強いパーティに入らせてもらっていましたね、その依頼料で国からの資金は使い果たしましたが」
「なんだ、酒奢ってくれる金は無ェのか」
「おう酒カス、ユーシ君の爪垢を酒に入れて飲んどけや」
「まあ国で観測されている勇者の封印はすべて解いてしまったのでお役御免となった訳です」
「え?追放された理由が見えないんだけど」
「あ、それは勇者の剣を持って帰る際に盗賊に盗られてしまってその責任をとる形で追放に」
「なんか普通に可哀想だヨ」
「反応が軽、てかシシャエル、あんたはどうして追放されたの?」
「我か?我の追放物語は!到底涙無しでは聞けないのだヨ!」
「うるせェ妖精、酒かけんぞ」
「もうかけてんだヨ!目に入った痛いヨ!くそ酔っ払いがあああああああ!!!」
シシャエルの目が回復するまで待った
「酷い目にあったヨ、それで我が追放された話は」
「よく行けるね、身体中酒臭くて」
「仕方ねーだろうヨ、話す流れなんだから」
「なんか話す流れ作ってすみませんね」
「我の以前のパーティは、人間の幼なじみと二人で作ったパーティだったのだヨ」
「へぇ、微笑ましいですね」
「ギルドの決まりでパーティは三人以上からじゃなかったっけ」
「そもそも妖精はペット枠だァ」
「ユーシ、お前だけが救いだヨ」
「まあ子供のお遊びのつもりだったけどヨ、幼なじみのハレムは立派な冒険者になってパーティを募集するまでに成長したんだヨ、まあイケメンに育ったから女ばかりのパーティになったんだけどヨ」
「名前と合わせて嫌な予感がしてきた、てか謎に親目線」
「人の名前で判断するのは良くないですよ」
「そして一年経つと十人の女を侍らせるハーレムパーティに成長しやがったヨ」
「案外そうでは無いかもしれないですね」
「幼なじみが他の女どもに取られたから居心地悪くなって逃げたのかァ?軟弱者じゃねェか」
「いや、遊ぶ金が欲しくて女どもの私物売って金にしてたのバレた」
「最低ですね」
「害獣じゃねェか」
「追放系にあるまじきまともな追放理由」
「ちゃんと追放されたときに金は返したヨ!」
「罪は消えてないですよ」
「ユーシ、お前に言われると我何も言えないからやめて欲しいんだヨ、つ、次はオイハナの番だヨ」
「はいはーい、満を持して美少女冒険者オイハナさんの悲しき追放物語を語ろうじゃあないか」
「うるせェアマ、酒かけんぞ」
「さっきも見たぞこの流れあああああああ!!!」
オイハナの目が以下略
「略すな」
「え、なんですか急に、目戻りましたか?」
「あ、なんでもないよ、じゃあ話そうか」
「切り替え早ーヨ」
「話す流れだしね、ではまず私はここら辺で一番強いであろうパーティに将来性を見込まれ入り、その後は⋯⋯」
「そ、その後は」
「テンプレで追放された」
「⋯⋯?」
「は?テンプレってなんだヨ、というか将来性もなんだヨ」
「将来性ね、私を鑑定したら詳細不明のスキルがありまして、それがテンプレでテンプレになってテンプレテンプレでパーティーに入ったよ」
「テンプレテンプレうるせーヨ」
「テンプレってなんですか?追放された理由は?」
「私があまりにも役に立たずそのうえテンプレテンプレテンプレで追放の流れに」
「テンプレテンプレで話を濁すなァ、それしか語彙が無くなったのか」
「うるせー!私が見てきた追放モノのテンプレすぎてテンプレって言わないとなんだか惨めで悲しくなるんだよぉ!」
「追放モノのテンプレって言うのもなんだか悲しいと思いますけどね」
「ユーシくんが言うと思いの外刺さるね、傷ついたので酒を飲みます」
「じゃァ俺も」
「我も」
「じ、じゃあ僕も」
「「「どうぞどうぞ」」」
「え?」
そうして追放を忘れるように酒をがぶ飲みした私達は仲良く慰め合い、はしなかった。
「キャハハハ!あんたらの中じゃ私はまだマシな方だね!特に飲んだくれと生意気!」
「てめェも大概だァ!そもそも話すの逃げてロクに聞けてねェんだよ!」
「我はまぁ!?酷いことをしたとは思っているヨ!?でも追放されてばっかのおっさんよりはマシだヨなぁ、ユーシぃ!」
「全員色とりどりのカスですね強いて言えばシシャエルが一番カスですがそもそも僕弱いのに責任だけ乗っけてくる国も世界も全部カスですよカス」
「ユーシくんこわれちゃったぁっ!」
酒と自分より下に見れる相手を手にした私達は心のままに暴れていた、ガラガラの店内、もう一人の影に気づくまでは
「おい、テメエら人様の店で暴れやがって、その酒は誰が提供してると思ってんだぁ?」
一瞬で全員の顔が青ざめる、何故なら目の前には身長3mを超えるマッチョが居るからだ。
「あ、マスター、これはその、」
「言い訳は要らねえよ、あたしゃ優しいんだ、だから一思いにやってやる」
一呼吸置くと、マスターは私達全員を掴み投げ飛ばしていた。
「テメエら追放されたんなら!マトモな職着くこと考えな!それが出来ずに飲んだくれるなら、酒場追放じゃあ!」
人生二度目の追放は酒と土の味がした
そして頭も冷えた頃
「ね、あんた達さ、行く宛てないなら私とパーティ組まない?これも何かの縁だし」
「え、良いんですか?僕弱いですし、いえ、ここで断るのは失礼ですね、よろしくお願いします」
「おうヨ、よろ」
「おォいいぜ」
「ユーシくん以外雑ぅ、ま、いいかよろしくね」
こうしてろくでもない追放者どものパーティは生まれてしまい、世界を追放の渦に巻き込む旅が始まったり始まらなかったりした。
めちゃくちゃノリで書きました。楽しんでくれたら幸いです。
良ければ感想などお待ちしております。




