42話 ”流浪人”それは放浪癖保持者である
ついに明日私は英雄さんと少し話す。一番知りたいことは転生者について。
転生者とはなんなのか?
どのような存在なのか?
と色々気になることはあるけれども、まず協力者になってくれたから少し温厚に話そうかなとか考えていたら、天井からポテチが落ちてきた。
それをタイミングよく私は踏んでしまう。急にポテチが廊下を歩いている時に天井から落ちてきたら正直誰でも踏んでしまうだろう、と私は一人で言い訳をする。
ポテチはボロボロになり私の靴と地面に付いている。普通に汚い。私は天井を見上げる。
そこからはパリパリとポテチを食べる音が聞こえてくる。私はポテチを食べる人物に声をかける。
「エイカでしょ?おーい」
しかし反応はない。とても静かだ。私はそれからも声を掛け続ける。
そして相手が折れたようだ。
スルリと天井裏から一人の人物が降りてくる。メイド長 放浪のエイカである。
髪は透き通るような水色だが目をどの暗闇よりも黒い。
「やあ、メイ。久しいね」
「うん本当に。かれこれ一年はあってないんじゃないかな?」
「手紙でやりとりしただろ」
「文通みたいに言うなよ.........任務の報告だろ?」
「そうとも言う。」
エイカは色々とめんどくさがり屋だ。リンと性格は少し似てるがその仕事ぶりはまるで違う。
エイカはどちらかと言うとのらりくらりと話をはぐらかすけどリンは話そうとしない。リンの方がめんどくさい。
だがエイカには放浪癖がある。気づいたら違う大陸にいるとかはよくある事だ。
私は近況報告に話を変える。
「ここ数ヶ月は連絡がなかなか出来なかったけど、どこに居たんだ?」
「ああ、魔大陸の魔王の領土。」
「え、魔大陸行ってたの?」
「ん?魔大陸にいることがそんなに驚くこと?」
「えと、次の作戦の舞台に魔大陸がなるかも知れないんだ。」
「あ、そうなんだ。」
興味なさそー。しかしもしかしたら貴重な情報があるかも知れない、と言うことで私はもう少し会話をしようとする。
「最近魔大陸での軍事行動が活発らしいけどそう言う情報ある?」
「いや、特には。あ、でも配下からそう言うことは聞いたかも。」
「なるほど。」
私は顎に手を添え考える。
エイカがよく知らないと言うことはそんなに魔大陸の魔帝の軍や魔王の軍の動きはそんなに活発ではない?
でも今の状況からは判断できない。やっぱり今度一回魔大陸に行こうと私は再確認した。そして私は話を変える。
「あ、そうそう転生者についての情報あった?」
私がそう言うと一瞬エイカの表情が曇った感じがした。しかし次の瞬間ではもう元の顔に戻っている。
見間違いだろうか?
「いや、まだわからない。」
「OK。じゃあ情報が入ったら報告しといてくれ。」
私はそう言ってその場を離れた。
廊下には少し険しい表情をしたエイカと床で砕け散ったポテチだけが残っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして英雄と会談?する当日。
私はただただ心の中で思った感想をそのまま口にした。
「家デケェー.........」
そうまさにその大きさに私は驚いた。
それは市民が少し大きい家を見て大きいと思う感じではなくこれは正に規格外の大きさだ。
普通に王宮と同じくらいの大きさじゃないか?
なるほど。それで英雄さん家は帝都から距離が少し離れているところにあるのか。
一つの街に王宮ほどでデカイ街があったら街が大きくなりすぎる。
街が大きければ大きいほど街の端の方のまで治安が行き届かなくなる。
あと単純に街の敷地の中に入らないんじゃないかな。
なるほどな、街の人のことも考える英雄様。それで大層な人気なわけだ。
私はこれから会う相手に悪態を吐きながら英雄の屋敷に入った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「まさかメイの口から転生者なんてものが出てくるなんて。」
エイカは天井裏でポテチの袋を開封し呟いた。
「まあ知っていて当然か。転生者について報告したのは私なんだし。」
そう言いエイカはポテチを一枚口に運ぶ。味は薄塩だ。
「でも、今は報告したことを少し後悔するな。」
彼女はそう言った。それはもう独り言ではない。天井裏にもう一人、人間がいた。
「すいません。私が後先考えず報告してしまい。」
彼女はエイカの側近である。
「いや、あれはしょうがなかった。それより今は新しい情報の方が重要だ。」
「例の転生者に関する追加情報ですね。」
「そう」
エイカは否定せず答える。
「あの情報はメイ様に報告しますか?」
「いや、まだいい。でもいつかは報告しないと。」
そして彼女たちは天井裏から消えた。
そこには空になっているポテチの袋が置いてあった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ムハハハハハハハ!」
黒いコートを着た男は暗い山小屋の中で薄気味悪い声を上げる。
「盤面はすでに整った!あとは行動に移すのみ。今回こそ成功してみせる。」
彼は彼にとっての過去を思い出す。
「ここまで長い道のりだった。しかし全ては私と姉さんの手中。もう誰にも邪魔をすることはできない。全ては未来、いや世界の為に。」
彼はそう言いながら山小屋から姿を消した。
そして二日後にその山小屋から距離が近い街で黒いコートを着た不審者の目撃情報が街の騎士団に寄せられていた。
その出来事があったのはメイが英雄と会談をする一日前の出来事である。
新作を今書いているため一週間ぐらい投稿が今できません。申し訳ありません。
8月4日報告
短編版の制作が終わりました!タイトルは『国から追放された俺。復讐する気は全く無かったけど俺のスキルから誕生した無駄に有能な配下たちが復讐の舞台を整えたので適当にざまぁ?します。』です。読んでいただけると嬉しです。明日の午前0時ちょうどに投稿します。文字数は10000文字くらいです。よろしくお願いします。この作品も明日から投稿再開します。




