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33話 ”複製”それは軟弱である

ウェルとあの方の戦いは序盤からもう戦いが決しようとしていた。


「く、お前本当に人間なのか?」


あの方は動揺しながら聞く。ウェルは答えない。あの方はウェルの重い重い一撃を防ぐ。


しかし防いだときの手が痺れる。ウェルはあの方の質問に対し問う。


「お前こそ人間なのか?」


あの方はニヤリと笑う。


「ハハハハ!よくわかったな!」


先程からあの方は情緒不安定だ。


「そう、私はコピーだ。ちなみに私の仲間のあのメガネもコピーだ。」


「なるほど!」


ウェルは一気に切り掛かる。しかしあの方はそれを剣で止める。この間1秒。


サキとマナは二人の攻防は見えていなかった。二人ともかなりの強者だ。


並の騎士や魔法使いは一瞬で殺されてしまうだろう。しかし二人の実力差は明確だった。


肩で息をしているあの方。もう攻撃の予備動作に入っているウェル、実力差は明確だった。


しかしウェルには弱点があった。そのことにあの方は気づいていた。


炎の壁(ファイヤーウォール)!」


「な!」


そう。ウェルの弱点は魔法による攻撃では防ぐ一方になってしまうこと。


ウェルは頭が悪いせいで魔術を構築できず魔法が使えないのだ。そのことをあの方のコピーは気付いた。


「ぐっ」


そしてウェルはなんとか習得できた魔法障壁と物理障壁はあまり得意ではない。障壁が崩壊した。


ウェルはその体一つで魔法を全て避ける。しかし周りは全て炎に囲まれている。


先程ウェルに当たっていた魔法は炎の壁に囲まれる地点までおびき寄せられていたのだ。


ウェルの弱点である頭の悪さを敵は攻め続ける。ちなみに魔法の炎で一酸化炭素は出ない。


それは魔力によって造られているからである。しかしその熱は本物。


ウェルは苦しい状況になった、そう思われた。その瞬間ウェルは空高く跳んだ。ジャンプをしたのだ。


そして炎の壁から脱出する。そして剣を構える。


「飛翔流 剣技 袈裟斬り!」


あの方の体が肩から斜めに崩れ落ちる。


「バカな、、、」


そして彼は息絶えた。そしてメガネの男もウェルが葬った。


そして戦いは終わった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「はあ、やはりあの程度では無理か。」


細目の男がため息を吐く。


「しかし良い実験になったのではないですか?」


メガネをかけた男が言う。メガネは話を続ける。


「しかしクキとオデは可哀想ですね。あの分身を本物だと思っている。つまりあの二人は信用していないと言うことですか?」


「もちろんだよ。それにあの二人は魔神化止まり。魔人化になることもできていないじゃないか。私の信用を勝ち取りたいのならせめて魔人化ぐらいはできないと。」


「そうですね」メガネは首を縦に振り頷く。


「それにオデなんか自分のことを戦闘特化の幹部だと思い込んでる。あいつは下から二番目なのにね。」


「そうですね」メガネは笑うのを堪えながら言う。


「ではもう少し様子を見ましょう。」


「そうですね」


しかしメガネをかけた男は知らなかった。目の前にいるあの方もコピーだと言うことに。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


俺の名前はソラ。元の名前は辻本空。転生者だ。


俺は今メイド服を着た姉ちゃんたちに事情聴取を受けている。俺はとにかく無害な子供のフリをする。


「お、お姉さんたち、だ、誰?」


そしたらメイドの姉さんたちが顔を合わせ笑う。


「アハハハ、無知なフリしても意味ないよ。君さっき初級魔法使っていたでしょ?」


「え、いつから見ていたんですか!?」


「最初から。」


藍色の髪のメイドがニヤリと笑う。


これは、、、よし転生のこと以外は全て話すとしよう。


「なるほどねー3歳で初級魔法全てを、、、」


「天才ですね」


これまで沈黙していた白い髪のメイドさんが言う。


「しかも君、大陸の事とかについても詳しいんだね」


「は、はい!好きで調べていたんです。」


「なるほど」


藍色の髪のメイドさんは納得したような顔だ。


「それにしても親が死んでも、君、冷静だよね。」


白色の髪のメイドさんが痛いところをついてきた。俺は考えておいたことをそのまま喋る。


「なんか、昨日まで普通に過ごしていてので死んだと言うことに対して現実感がなく、、、」


これは本当だ。昨日の俺は今日魔法の特訓についてしか考えていなかった。


もし俺にあの兵士を倒せる力があれば、もし俺に今日のことを予知できる能力があれば、そう考えていると自然と目から涙がこぼれ落ちてくる。


白色の髪のメイドさんは驚いた顔をしてハンカチを出す。


「ご、ごめんなさい」


「いえ、お姉さんたちは悪くありません。」


俺は視線を地面い向ける。そしたら藍色の髪のメイドさんが言う。


「なあ、君、私たちと一緒に来ないか?」


お?なんかゲームみたいなイベントが来たぞ?


「え、でもこの子は男だよ?」


「でもソウエイ様も男じゃん?」


「あれはメイ様が、、、」


おいおい男女差別は良くないぞ!あ、でもこの世界の文明は中世レベルだからあり得るのか?


それにメイ様?ソウエイ?誰かの名前かな?俺の知らないことだらけだ。


「まあいいか」


どうやら白色のメイドさんが今回は折れたらしい。藍色の髪のメイドさんが手を伸ばす。


「私たちと一緒に来ないか?」


俺はその手を握った。返事はもう決まっていた。


「はい!」


そして俺は新たな一歩を踏み出す覚悟を決めた。


「あ、これからは私のことは”サキ”と呼んで。この白いのがマナ」


「よろしくお願いします。」


白色の髪のメイド、いやマナさんが頭を下げる。


俺も頭を下げる。


「よろしくお願いします。俺の名前は空です!」


こうして俺は王宮勤めのメイドたちの仲間入りをした。

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