第2話【サングラス越しの彼女】
妻鳥藍良。
クラスの中心にいて、誰とでも接するような明るく優しい女子。
彼女は男女ともに交友関係が広く、彼女が一人でいるところを灯里は見たことがない。灯里とは対照的に人づきあいの上手な人間である。
クラスメイトの話から藍良には他校の彼氏がいるという。彼女ほど可愛く、コミュニケーションの取れる子は引く手あまたであろう。
数か月しか同じクラスとして生活していない灯里であったが、関わりを持とうとしなくとも自然と注目を浴びている女子であることは感じていた。
だけど彼女はリーダーシップを発揮するタイプではなく、人をまとめ上げる学級委員のような立場にはなっていない。クラスの話し合いが行われても一市民であるがごとく、集団のひとりとして発言していた。
しかし、彼女は積極的に話し合いに関わり、中心にいる。
それが灯里から見た藍良像である。
直接的に関わる機会がほとんどなかった――というよりも灯里が避けていたため、実際にそうであるかと言われれば全てがその通りというわけではない。
今の灯里にとって眩しすぎる人物であった。サングラス越しにも光って見えるほどにその存在感は大きく、クラスで最初に覚えたクラスメイトは誰かと問われると藍良である。
そんな彼女と先日、ふたりっきりで話をした。
不思議な時間だった。
教室の雰囲気に引っ張られたか、いつもの藍良とは違って見えた。
どちらが本当の藍良なのか、どちらも本当の藍良なのか。
藍良に持つ印象は少しだけ変わった気がした。
藍良は言った。
「目を合わせたいとは思わない?」
灯里は藍良が悲しそうな表情をしている気がした。
だから否定が出来なかったのかもしれない。
今は、少しだけ藍良のことが知りたい。それが灯里の気持ち。
灯里は恐る恐る先日の教室へと足を運んだ。
「やぁ、また来てくれたんだね。蛇ノ目さん」
「ど、どどど、どうも……」
灯里の視界には口元までしか入らないが、その口は確かに微笑んでいた。
彼女は今日も快く迎え入れてくれる。
「じゃあ何しようか、ここにはね。トランプとかあるよ」
「な、なんっ……でっ!?」
その教室の箱から藍良は取り出したのは、トランプに花札、ボードゲームなど各種玩具であった。なぜそこにそんなものが保管されいるのか、勝手に使っていいものなのか灯里は不安で不安でいっぱいになった。




