魔法
ま、マイペース…
『ようこそ、司書様。完全なる図書館へ。何かご用ですか?』
メイアが眠った後、護はスキルを発動していた。ステータスなどはまだまだ低いと言わざるを得ない。死なないためには手元にカードが必要だった。
「切り札で検索してくれ。」
『かしこまりました。』
空白の空間に本や資料が並べられた本棚が並んでいく。その数は十以上に上った。
『検索の結果、20574冊の本と50375個の記録等が見つかりました。』
護はあまりの多さに頭が痛くなる。どうやら切り札を求めるのは自分だけではなかったらしい。
「条件に追加で水薬、低コスト、副作用を。」
『条件の追加を確認。……結果、374冊と、9458個の記録等まで絞りこみました。』
(まだ多いか。もう少し絞りこむには…)
護はどんな条件を追加するのかで悩む。効果についてはどういったものがいいのだろうか。どんな状況で使うのかをはっきりさせる。
「さらに条件の追加。反撃、短時間。」
さらに絞られ、本棚一つで済む量になった。
『150冊の本と1067個の記録等に絞りこみました。』
「この中で良さそうなものは…。これなんかどうかな。」
護が手にしたのは一冊の古ぼけた本。題は『逆転』。著者は書かれていない。本の内容は小説といった物語ではなく、レシピなどが書かれている。副作用が大きなものがほとんどだが、どれも素材は低コストで集まるようだ。
護は違う本に手を出してみる。題は『俺の逆転劇』。著者はアスメヤ。こちらは個人の逆転劇から昔にあったという物語が載っている。レシピ等は載っていなかったが、一つ気になったエピソードがあった。
それは、一人の男が命尽きる寸前で水薬を服用し、格上の相手を圧倒的な力で倒したというもの。特にその後男は死ぬことなく元気で天寿を全うした、という終わりに着目する。『逆転』に載っていたものは寿命が縮んだり、体の一部が動かなくなったりと、どこかを確実に代償として払うものだった。それに比べるとどう考えても小さい代償と思われた。
護はこの話の題、『反撃の薬と不屈の男』を見つめる。
「反撃の薬で検索してくれ。」
その検索で残っているのは『俺の逆転劇』と四つの研究レポートだけになる。研究レポートには材料、レシピ、仮説と運用結果、考察がそれぞれ書かれていた。
護はしっかり内容に目を通していく。一旦読み終わると、何も無い白い空間を見つめる。
(とりあえずはこれにするか。全身筋肉痛になるのは避けられないがそれだけで済むなら御の字かな。)
護はレシピを直接コピーするとスキルの使用を止めて、暗闇に落ちていくのであった。
「あ、あなた、起きてください。」
メイアの声で目覚めた護。メイアの服装は昨日の寝間着姿のままだった。まだ日が昇っておらず薄暗いがメイアの顔が赤くなっていることに護は気づく。
「おはよう。…あなた?」
「夫に対してそう言うのだと伺っておりましたが、変でしたか?」
メイアは自信のない声でそう尋ねる。
護も慣れない呼ばれ方に照れてしまう。変というよりは、こそばゆい。
「違和感が少しな。護でいいよ。」
「では、今まで通り護様で。その…着替えないといけませんね。護様…」
メイアが何を言おうとしたのか察した護は背を向ける。朝からムラムラするようなイベントは理性がガリガリ削れるため、避けるに越したことはない。
結局眠る前にしたことと言えば情熱的な口づけだけである。体は正直だったのだが、理性軍が勝利し手を出していない。
背中合わせになるように向こうを向いて各々着替えると、今日の朝はどうするかという話題になる。
「動けるようになられたので、訓練場に向かいましょう。」
メイアはいつものポーカーフェイスになっている。侍女としてのスイッチが入っているようだ。
(こっちの顔の方が落ち着く…。いつも年相応の笑顔で来られたら我慢できないぞ、おそらく。)
侍女としてのメイアを見ながらそんなことを思う護。獣にならないように気を保たねばと決心した。
「………護様?お聞きになられていたのですか?」
「すまない。何だったけ?」
メイアは一息吐くと再び説明する。訓練場には練習用の武器が様々な種類あり、一通りの動きを教える。そして、その中から筋が良さそうなものから鍛錬していこうという流れを説明する。職があれば、その職向きの武器から鍛えていくのが理論通りなのだが、護にはそんなもの存在しないので手当たり次第、全てを教えてみようと考えたのである。
説明が終わって間もなく、外から発破と掛け声が聞こえ始める。二人は窓を見ると、
「どうやら、始まったようですね。参りましょうか、護様。」
「ああ。」
護はパワーリストを両腕につけると、二人で部屋を出るのであった。
日が昇り始め、少し明るくなった訓練場でガンドルフ達、聖騎士(及び見習い騎士)は武器と盾を持って激しくぶつかり合う。
その喧騒は朝特有の静寂とは程遠く、辺りの人々の目を覚まさせるものだ。
「おはよう、マモル。メイアもか。とりあえず武器を取れ。」
「「おはようございます。」」
二人は短剣の形の木剣を置き場から抜きとる。そしてガンドルフは中央で剣を構え、メイアに向く。
「メイア、かかって来い。」
「参ります。」
メイアはガンドルフの挑発の言葉に淡々と反応し、一気に距離を詰める。護には視認できない速さで動いたため、護の目には瞬間移動したかのようだった。
ガンドルフは盾で助走の勢いが乗った斬撃を受け止める。勢いよく地面を滑りながらも完全に止め切った。すかさず片手に持つ長剣型の木剣で切りかかるがメイアは後ろに下がっていて空振る。
周りの騎士たちも手を止めて、二人の模擬戦を見始める。騎士の中でもメイアの速度に目がついていけない人がいるようだ。
メイアは一撃離脱を中心に攻め立てていくのに対し、ガンドルフは盾で受け流しながら、長剣で反撃の隙を狙っていく。そんなやり取りがしばらく続く。
メイアの速度がさらに加速していき、残像が見え始めたタイミングでガンドルフが動く。盾ではなく長剣で受け流すと、止まらず流れに身を任せるメイアに盾で殴りつける。しかし、かすりはしたものの直撃はしなかった。お互いに距離が離れる。
ガンドルフは手で構え直すメイアを制し、満足したような笑みを浮かべる。
「これぐらいにしておこう。さて、お前らもこれぐらいできるようにならんとな。」
戦闘に見とれていた見習い騎士はその声でハッとなり、訓練に戻っていく。
「マモル、しばらくしたら教えに行く。昨日の打ち合わせした通りにな。」
「はい。メイア、相手頼む。」
「かしこまりました。」
護はメイアと向き合う。模擬戦のような動きで戦えるようになるまで、どのくらい時間がかかるかは分からないが、今は研鑽を積むしかない。そう思いながら、ズタボロになることは予定調和とも言える鍛錬に臨む護であった。
~朝食~
「大丈夫ですか?」
護にそう声をかけるセレスの顔は曇っていた。他の面々も同様のようだ。
「全身が痛むけど、水薬でLPは回復しているから大丈夫だと思う。」
顔色がやや悪い護は、セレスにそう言った。メイア、ガンドルフ、他の面々に扱かれること一時間、護は全身傷だらけの状態になっていた。骨折もあったため水薬で回復したが、激痛が走っている。
「痛みを代償に何を伸ばすのか決まってよかった。」
護はそう続ける。剣道部の一員だったおかげか元からあった、剣術に加え、短剣、盾、槍術あたりは筋が良いことが判明した。
「それは良かったさね。魔法はどうするのかい?」
「よく分からないので、詳しく知れるところありませんか。」
護はエトリアに尋ね返す。完全なる図書館の司書を使えば直ぐに分かるものではあるが、とある件の検索でスキル使用時間をフル活用してしまったため、調べる時間がなかった。それに、読むより聞いたり見たりした方が早いと判断している。
「護様、魔術師ギルドにいらっしゃてはどうでしょうか?ギルドに行けば、初心者用の講義もあるようですよ。」
メイアがエトリアが答える前に護に教える。
「魔術師ギルドと薬屋のジェイのところへまず行ってから、依頼を受けてレベル上げになりそうですね。」
護はガンドルフ達に活動予定をそう告げる。
「そうか。俺たちは、お嬢のお祈りを待ってから動くから別行動だな。」
「お祈り?」
「お祈りというよりは…神様と話をするといった方が正しいです…」
(あの神様、寂しいの苦手だろうなぁ。ボッチ耐性なさそうな性格だったし。)
護はあの自称光の神を思い出す。性格からして寂しいから構ってもらっているのが一番合っていそうだ。
「魔物が王都襲わないようにするために必要だから、無視できないさね。」
エトリアは護が神妙そうな顔をしていたのでそう付け加えた。どうやらちゃんとした理由があるらしい。
「そうなんですね。神の存在が魔物を寄せ付けないということみたいですね。」
エトリアとセレスが頷く。それを皮切りにそれぞれ動きだした。
セレス達と別れた後、二人は魔術師ギルドに向かっていた。ギルドは南の中央通り沿い、工業区側にある。建物は二階建てで、大きさは薬屋に比べると小さい。隣に並んでいる建物に対して、色が暗いため昼は目立ち、夜は灯りが無ければ闇に紛れやすくなっていた。
二人は護の痛みが完全に引いた頃に到着する。入ってみると、他の建物と同じような受付しかない。その代わり、壁の至る所には火、水、雷等を使用している魔術師の絵がある。
「ようこそ、魔術師ギルドへ。学びに来られたようですね。どうぞこちらへ。」
受付嬢は護達が来たと同時に、言い切って護達を案内する。
どうして分かるのか不思議に思いながら、案内された場所は荒野だった。扉からどこか違う空間に繋いでいるのだろう。
「おや、いらっしゃい。いきなり案内されて驚いただろう。この子は勘が鋭くてね。初心者かどうか分かるのさ。私はノーラ。ここのギルドマスターであり、導師さ。」
何もない空間から現れた六十代のお婆さんはそう名乗る。
受付嬢は一礼すると戻っていった。
「さて、坊や。魔法を見たことはあるのかね?」
ノーラの問いに護は頷く。ノーラは右手を適当にかざすと、手の前の土が盛り上がり等身大の土人形になる。そして鈍重とした動きでノーラの後ろに控える。
「見たことがあるなら話は早いね。簡単に魔法とは、魔力を使ってイメージに形を与えることと言えるよ。さっきしたのは土属性の魔法の一つさ。」
ノーラの作った土人形はさっきと変わらない動きで護の目の前にやってくると、腕を前に差し出して来る。護はその腕を触ってみる。土ではなく岩のような硬さになっていた。
「魔法はMPとINTが関係するよ。回数は主にMPが、威力はINTが、規模は両方が関係しているようだね。とりあえずやってみようか。魔力を動かしたことはあるかい?…あるなら、魔力の形を頭に思い浮かべながら、魔力を外に流してみようか。」
護はノーラに言われた通りに、水が流れるイメージを浮かべる。火にしなかったのは、単に危なかったためだ。そして右手の一指し指から魔力を外に流す。
すると、指の先から勢いがそこまでないが水が流れ始める。
ノーラは関心し、メイアは無反応に見えるが極少しだけ頬が緩んでいる。
「できたようだね。INTが低いみたいだから強い魔法はまだできないと思うけど、イメージがしっかりしている。坊や、後はイメージを直ぐ思い浮かべるようにできるようになるだけさ。」
ノーラはそう言うと、土人形を解除し、護達の背を向ける。
「好きなだけ試すといいよ。そこのお嬢さんもあまり魔法を使ってないようだね。今どれぐらいのことができるか試しておきなさい。」
ノーラはどこかに消えてしまった。
二人はお互い距離をとって色々と試していく。護が試行していく中で気づいたのは、声に出すことをルーティーンにし、魔法の発動を速くさせられるのが一つ。火、水、土、風属性の魔法を発動することができるの二つだった。また、MPの回復はかなり遅く使うペースも練習しておく必要があるといったことも判明している。
メイアの方はまずバスケットボールくらいの大きさの火球を五つくらい作り出してコントロールし、護が作り出した土柱を的にしてぶつける。能力の差で土柱はあっという間に壊れてしまった。次は水球を同じ大きさで作り、浮かせた状態で止めたところを、鎌鼬で切り裂く。それらを何回か繰り返して終了した。
「大体分かったし、これぐらいにしておこう。メイアの方は大丈夫か?」
「問題ありません。次は薬屋ですね。水薬が心もとなかったので補給できそうです。」
二人は受付嬢に礼を告げ、薬屋に赴く。人気のないおっさんにジェイに用事があると言い、素材を買ってジェイの扉を叩く。
「おお、マモルか。今日は何を作ればいい?」
護はアイテムボックスからレシピを取り出し、ジェイに渡す。
「アイテムボックスが使えるようになったということは、冒険者ギルドに行ってきたんだな。」
そう言いながらジェイはレシピを受け取ると、目を通していく。その間、二人は素材を取り出していた。
「どこからこんなものを見つけてきてるのか気になるが…。問題なく俺が作ってやる。」
ジェイは早速作り始めるのであった。
~夕方~
「護様、もうそろそろ冒険者ランクを上げられると思います。」
冒険者ギルドで依頼の達成を報告した後、教会に戻る途中でメイアがそう告げる。
白の依頼は討伐依頼だけではなく単純な労働の手伝いといったことも入っている。これは、一種のお試し期間であり、向き不向きを測るために設立している。そのため、本格的な討伐、採取依頼といった冒険者向けのものは青ランクからになっていた。
なお、白から青に上がる基準は低く設定されている。理由としては、人が足りないぐらいの依頼が青や緑に集中しており、早くなってもらうため。また、運という名のふるいにかけるためである。青以上は同じランクでも難易度にばらつきが出てくる。依頼書の情報と現実が異なっているなんてこともザラだ。結局、必要な要素として運があり、ランクを上げるのに必要な依頼数をこなせるかが最初の試験となっていた。
そういった趣旨の説明を受けた護はというと、どこかしっくりくるところがあった。
(運の善し悪しはどんなことにも絡んでくるからなあ。特に実力が及ばない時は。)
「あまり、反応なさらないのですね。中にはふざけるなと言って、憤る方もいらっしゃるのですが。」
メイアは護の様子を見てそう言ったが護は首をかしげるだけで終わる。
メイアも幼い頃から運の大切さは身に染みているので、それ以上何も言うことはなかった。
二人が宿舎に戻ると、セレスとエトリアが待っていた。
「待っていたよ。マモル、あんたに聞きたいことがあったさね。」
四人は、護達の部屋に入る。入ってすぐにエトリアは話を切り出す。
「マモル、これはできないかさね?『浄化』」
エトリアのスキルによって、埃が薄ら被った机が綺麗になる。埃は綺麗サッパリなくなっていた。
護は『真理眼』をエトリアに向けて使用する。
エトリア・アクスドーラ(女 64歳 人族)職 上級守護魔法師Lv88
LP 652 MP 972
STR 583 AGI 634
TEC 682 END 612
INT 1121
一般スキル 杖術Lv6 戦棍術Lv2 魔法(光)Lv9 (風・土)Lv7
(火・水)Lv5 家事Lv5 園芸Lv3
職スキル 浄化Lv1 祈りLv3 障壁Lv5 アイテムボックスLv2
エクストラ
先ほどエトリアが使用したのは、『浄化』と呼ばれる職スキルらしい。『真理眼』を使いながら、集中してみるが、詳細は出てこなかった。そのため、護は問いただしてみることにする。
「どんなスキルなんですか?」
「さっきみたいに汚れを落としたり、レベルを上げたら解毒や除霊に使えるさね。」
(解毒にも使えるって、性能ぶっ壊れてないか?)
護はまだ知らないことだが、解毒自体は魔法でもできるため、そこまで重要視されていない。除霊という名のアンデットに大ダメージを与える方が重要である。
「とりあえずやってみます。『浄化』」
汗をかいて汚れている自分の服に向かって『浄化』をしてみる護。魔力の流れとは別の力の流れを感じながら、服が綺麗な状態になっていく。
「できたみたいだね。次にこれはどうさね。『障壁』」
エトリアを包むように光の膜が展開される。護は恐る恐る触ってみる。薄さに反してビクともしない。現時点の護では破ることはできないだろう。
「『障壁』」
目の前の見本を頼りに護はそう唱えるが、障壁が展開される様子はない。力の流れも全く感じられなかった。
「駄目だったみたいです。『浄化』の時みたいなスキルが発動するような感じも全く無かったです。」
「『障壁』を取得できるのが中級職である守護魔法師から、だからかもしれないさね。どんな条件があるのか分からないけど、確実に制限があることは、はっきりしたねぇ。」
「夕食の時間が近づいてきたようです。移動しませんか。」
考察に耽りだした護達に、メイアが事務的な口調でそう告げる。
その言葉通りに夕食を済ませた後は特に変わったこともなく、護たちの部屋を月が雲の隙間から照らす。
護とメイアは自室で資金と各種の道具を改めて確認した後、二人そろって一つしかないベッドに腰かけていた。
「やはり、駄目でしたね。」
メイアは護の綺麗にはなったがボロボロな衣服を修復しながらそう言った。
護の職スキル取得で結局取得できているのは『アイテムボックス』と『浄化』だけである。その他はまだ取得できていない。メイアの『命中補正』も試してみたが、中級職からのものとあって結果は失敗である。
結局、現段階では下級職からしか、職スキルは得られないという結論に達した。護としては強力なスキルが得られないことに半分がっかりして、もう半分は納得している。ほいほいと楽に使えたら、便利そうだがその分制御が間に合いそうにない。下手な事故を起こすよりかは幾分マシである。
「現時点では、と考えたらそこまで残念じゃないさ。」
「レベルが低いですからね。上げれば取得できる可能性もあります。…修復終わりました。」
護は服を受け取る。ふと、こうやって過ごせていることに気づく。平穏と言えるかもしれない。しかし、どこか静かすぎるものを護は感じていた。
「どうかしましたか、護様?深刻な顔をされているようですが。」
「いや、何でもないよ。」
「本当にですか?相談してくださいね、護様。……妻なので。」
最後にボソッと恥ずかしそうにメイアは付け加える。護の息子が思わず反応してしまったが、気づかれないように落ち着かせる。また、騒動を望んでいるとは流石に言えない。心の中で護は謝った。
月明りの中、お互いの繋がりを言い聞かせるように、二人は口づけを交わすと、眠りについた。
~???~
「団長、三日後決行でいいですよね。クライアント様がうるさいですし、あなたの奥さんと子供さんの命もそろそろ保証できなくなってきましたし。」
月明りに照らされたのは十人からなる男達。その中で一番若い男が団長と呼ばれている四十代の男にそう告げる。その男は苦い顔で頷くしかなかった。
若い男は高らかに笑い、歪んだ笑顔のまま告げる。
「誇り高き『フラメレーヴェン傭兵団』。傭兵団でありながらも騎士のごとく清廉潔癖。金だけでは動かない分、嫌われているところにはとことん嫌われているいるが、実力は本物。最初の頃は俺も入れて誇らしかったし、それでいいと思っていた。でも俺たちは傭兵ですよ。例え人の道から外れても、目の前に大金を積まれれば答えるのが俺たちの存在意義では?」
若い男は、顔が歪んだまま愉悦が混ざった声で続ける。
「抜けようと思いましたよ、一度はね。でも俺には何も残っていない。だから、最後に利用させてもらいますよ。俺たちの資金のためにね。」
三人が頷いた。この三人は、どうやらこの男に共感しているらしい。
その他の面々は団長と言われた男と同じように苦い顔か険しい顔をしていた。
「あ、そうそう。あなたには失望しましたよ、団長。奥さんとお子さんを抑えただけで大人しくなるなんて。そして、それを見た途端に信頼できる一人が脱退なんて求心力なかったんですね。」
三人も笑い出す。当の本人は顔色一つ変えずに黙っていた。
「まあ、俺たちとの最後の仕事頑張ってくださいね。もし、裏でこそこそしていたら、二人の命はないと思っていてください。」
若い男は歪んだ笑みを浮かべながら暗闇の中に紛れていくのであった。
A:なんちゃってQ&Aを始めるよ。
Q:おー。魔法回ですか。その割にはあっさりしていますね。
A:今のところ特に変わったことが無い話だからな。
Q:確かに護が普通に使えていること以外は…特に無いですね。
A:設定上特にややこしい制約が無いからな。勇者の話を挟むから普通かどうかはそれで判断してくれ。
Q:なるほど(それと一章も後半になってきたな)
話を少しだけ進めます。最後のきな臭さが足りない?ごめんなさい、許して…




