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異世界で1人別行動   作者: 狩野 猟
巫女編
10/138

救出

まだまだ…

~倉庫近く~

 

「マモル、俺たちは正面から行く。マモルは裏手に回れ。お嬢を探せ。」

「死ぬんじゃないよ。」

「はい。」


 倉庫近くの藪に潜んだ三人は日が暮れて月明りがうっすら出て頃合いに動き出した。

 正面でガンドルフとエトリアが騒ぎを起こしているうちに、護が救出するという算段である。護にとっては死が直面する初めての場になることもあって神経が研ぎ澄まされていく。

 三人は頷くと、それぞれ移動を開始する。

 

「誰だ!」

「『堅牢』と言った方がいいか。お嬢を返してもらうぞ!」

「敵襲!ドルケに伝えろ!」


 見張りの男は伝達を倉庫に遣わすと、二人と対峙する。そして、ため息をつく。

 

「教会ナンバー2の二人が来るなんてついてないな。ここまで来るのが早いとなると誰かから情報をもらったのか。団長の奥さんたちを人質に取られている以上、引けないがな。」

「安心しろ、殺す気はない。が、手加減はしないぞ。」


 ガンドルフの言葉を聞きながらも、男は剣を抜き、『堅牢』と対峙する。一人では確実にやられるため、カウンターを狙う。

 

「そちらから来んのか。では行くぞ。」


 ガンドルフはいきなり『シールドバッシュ』を発動する。技によって加速されたガンドルフの突撃は、男がぎりぎり反応できるものだった。

 男はすれ違い様に切りつけようとするが、ガンドルフは『シールドバッシュ』をキャンセルし、剣を弾く。

 ガンドルフの足を狙った攻撃は回避したが、エトリアの光弾は回避できず肩に被弾。かなり深い火傷を負う。

 

「もう一人来るさね!」


 追撃をしようとしたガンドルフは、漆黒の矢を弾き、後ろに下がる。

 倉庫の中から十人近く現れる。その中から四十代の金髪、碧眼の男が前に出る。

 

「『堅牢』か。久しぶりだな。」

「おう、ジャック、久しぶり。嫁さんと娘を人質に取られるとは情けないな。」

「知っているのか。」

「そりゃあな、そこの奴も言っておったし、協力者から聞いているぞ。」

「だったら、どうなるか分かるはずだ。」

「坊主たちは俺からみたら全員ひよっこよ。まだ負けん。かかって来い。」


 その言葉を皮切りにガンドルフは吠える。何人かが気絶し戦闘不能になった。『威圧』の効果である。レベルが大体30以上離れていると気絶、差が30以下は、スタン、恐怖といった状態になる。スタンはともかく恐怖はあくまで感情的なものであるため、克服することが可能である。

 ジャックは大剣を構えると、ガンドルフに突撃する。上級まで上がったステータスに、助走をつけた一撃と、ガンドルフの盾が激突する。ガンドルフは後退することなく突進を受けきった。

 

「痺れるぜ、全く。」

「相変わらず硬いな爺さん。」

「爺さんではなく、オッサンと呼べ坊主。」


 ガンドルフとジャックの攻防はジャックが攻め、ガンドルフが守りとはっきり分かれる。ガンドルフは大剣の嵐を受け流し、弾くことで無効化していく。その動きは洗練されたものであり、崩されることはない。いつまでも続けられる安定感がそこにはあった。

 流れを変えたのは復帰したその他とエトリアである。インワドがガンドルフに向けて放った矢を障壁で弾きつつ、光弾をばらまきジャックや他の面々を牽制していく。

 

「かかってこいや、若造ども!『守護』!」


 傭兵団の面子も負けじと、妨害をし掛けているエトリアに攻撃しようとするが、ガンドルフが技を発動させる。ジャックを含めた傭兵団全員の意識がガンドルフに強制的に向く。もし、意識をガンドルフから外してみようものなら手痛い攻撃を喰らうことになると本能が警鐘を鳴らしていた。そのため、ガンドルフに総攻撃を加えるしかなかった。

 傭兵団全員の攻撃を受けることになるガンドルフだが、素の能力の高さと盾、そしてエトリアの障壁や魔法での妨害で完全に受けきる。二つ名である『堅牢』たる所以ゆえんがここに現れていた。

 傭兵団のジャックを除いた団員は疲労をあらわにし始める。防御側である『堅牢』の方が消耗しやすい筈なのだが、攻撃側である傭兵団の方が消耗していた。度重なる妨害の中にある光弾のせいである。光弾は攻撃速度が速く、躱しずらい。威力は光魔法Lv9のエトリアが放つことで無視できないダメージを与えていた。既に二人ほどダウンしている。

 

「まだ続けるつもりか?」


 戦闘が始まって一時間弱が過ぎていた。お互い、魔力等が枯渇し始めている。だが、先に尽きるのは傭兵団の方が先であるだろうことは見当がついていた。レベルの差である。

 傭兵団の中で最高レベルであるジャックのレベルは82。その他は最低がLv47。そのためレベルが約90の『堅牢』は人数差を覆すことができていた。

 この世界において一対一において覆せるのはクラス同士だとレベル差が5ぐらいまで、クラスが異なると、10開いていても厳しいと言われる世界である。

 人数がそれなりに居たため、『堅牢』と戦えていた傭兵団であったが、既に半分を倒されじり貧状態。このままいけば制圧されるのは時間の問題と言えた。

 

(時間稼ぎをするしかないか。)


 ジャックからしても無駄な戦いになることは分かっているが、妻子を人質にされている以上引く訳にはいかない。覚悟を決めて悪あがきをしようとしたその時だった。

 ジャックの目の前で魔法陣が煌めき一枚の紙が現れる。メイアたちが妻子を救出したことを告げるものだ。ジャックが目を通していく間静寂が訪れる。ジャックの表情が和らいでいく。

 その様子を見て紙の内容を察したインワドが逃げようとするが他の団員に阻まれた。強行突破を図ろうとして短剣を構えるよりも速くエトリアの光弾が腕を貫き、団員が取り押さえる。

 

「どうやら、成功したようだな。」

「ギルガがやってくれたらしい。あいつには頭が上がらない。」

「もう一人上がらない相手がいるだろうや。」

「メイア殿か。あの『冷血』が参加してくれたのか?」

「そうあの『冷血』が…。しまった!マモルのことをほったらかしにしておる!ジャックついてこい。今メイアの主がここにきている。」


 ガンドルフは慌てて倉庫の中に入っていく。ジャックとエトリアも後に続く。


「巫女のところに向かったのなら、ドルケがいる筈だ。マモルは強いのか?」

「いや、弱い。しかし、不思議と死ぬ気がせん男ではある。」


 倉庫の一番奥の大部屋の扉を開ける。セレスはここに監禁されているはずだった。その中では…




~倉庫前で戦闘が始まった頃~

 護は裏口に回っていた。一番奥の大部屋の一歩手前の通路に入れるようになっているようだ。『堅牢』の対応に追われているのか、通路には人気ひとけがないが少し大部屋から男の声がかすかに聞こえる。

 

(男の声が聞こえる…。セレスもこの中か?)


 護は音を出さないように扉から侵入する。隠密を持っていないため、気配を殺しきれないがそれは暗闇がカバーする。ちなみに護が暗闇の中で行動できるのは「夜目の目薬」というアイテムを使用しているからである。

 

(!!)


 奥で目にしたのは、男が必死に抵抗するセレスに覆いかぶさろうとしている姿だった。セレスの胸元からはメイアよりも大きくて白い二つの果実がそのまま見えている。男の手がそれに手が伸びようとしたとき護の中で何かが切れる。

 護はアイテムボックスから拳大の石を取り出すと、男の頭に向けて全力で投擲する。男は風切り音で気づくが、躱す暇もなく直撃した。男の額から血が流れる。

 

「何者ですかね?せっかく楽しんでいるところを邪魔するなんて。万死に値しますよ。」


 男はセレスから離れると、護に向けて殺気を放つ。その顔は酷く歪んでいた。

 対して殺気を一身に受けている護はというと、殺気で身が竦むこともなく頭の中が急速にさえていく。短剣を構えると、男のステータスを冷静に『真理眼』で確かめる。


ドルケ (男 28歳 人族)職 中級戦士Lv47

LP 428  MP290

 STR 447 AGI 266

 TEC 251 END 274

 INT 304

一般スキル 剣術Lv4 魔法(火・水)Lv3 料理Lv2 色欲Lv5

職スキル アイテムボックスLv2

エクストラ

 

 スキルの数は少ないがSTR(筋力)LP(生命値)が四倍近くあり、その他も二倍は確実にある。ステータスだけで圧倒的に差があった。

 

(メイアやガンドルフさんクラスなら死んでいたけれど、これならいける。)


 切り札の存在が恐怖から守る。恐怖の代わりに目の前の男を倒してセレスと帰ることに集中した。

 ドルケは剣を構えると、護に突っ込んでいく。ドルケの横薙ぎの一撃が護に迫る。回避できず、護は短剣で迎撃した。

 

(重すぎる!!)


 護は体ごと吹き飛ばされる。倉庫に置いてあった木箱を壊しながら十メートル近く飛ばされたところでやっと止まった。セレスが猿ぐつわ越しに悲鳴を上げる。

 ドルケは破顔しながら、

 

「おやおや、こんな雑魚が助けにくるなんて身の程を知らないようですね。殺気を受けても動じていなかったのは気のせいでしたか。そうですね、殺しはしませんから巫女様が汚れていく様子を見ませんか?」


 ドルケの言葉に対して護は風魔法を放つ。余裕で回避されてしまったがその間に体勢を整え、LPがどれだけ減ったか確認する。

 

「さっきのような雑魚のような魔法で倒せると思っているのですか?魔法とはこうするのですよ。『ファイヤーボール』」


 ドルケの周りにハンドボールぐらいの火球が三つほど現れる。それらは三方向に分かれて護を襲う。どれか一つは確実に当たると思った護は対処をどうするか決める。

 

「『ウォーターボール』」


 護は一つテニスボール大の水球を作り、一つの火球にぶつける。残り二つは回避し、水球によって威力が落ちた火球を短剣で切り裂き消滅させる。そしてドルケと間合いを詰めていく

 

「まだまだですよ!」


 火球と水球が更に迫ってくる。ドルケは一度に三個までしか作れないようだが、発動時間の間隔が狭く、弾幕になっていた。

 護は最低限の迎撃をしながら回避していくのだが、完全にはできずにいくつか直撃をくらい火傷や打撲が増えていった。

 

「しっ!!」


 距離を詰めた護の一撃はドルケが剣で受ける。受け止めたままドルケは力任せに護を吹き飛ばそうとする。対して護は短剣を滑らして受け流した。

 護はそこから距離を詰めた攻撃を繰り出していく。短剣での攻撃を中心に体術の補正を利用した拳と蹴りも織り交ぜていく。それでも、ダメージが全然足りないが、ドルケの攻撃を潰せていた。

 

「厄介ですね。でも、その程度。死ね。」


 受けに回っていたドルケがそう呟くと同時に護の攻撃を無視した一撃を繰り出す。護は咄嗟に防ぐが蹴りを繰り出した後だったため、また吹き飛ばされてしまう。

 ドルケは吹き飛び終わった護に追いつき更に縦の一撃。護は短剣を合わせるが、上手く流せずに右肩を切り裂かれながら再び吹き飛び、部屋の壁に激突した。

 

「ごほっ」


 護の唇から血が流れる。右肩からは燃えるように熱くなっている感覚と血が流れている。また、体中に痛みが走っている。

 

(痛い。…でも、これで倒せる。)


 LPは12/132。短時間で一桁に迫っていた。出血もしているため近いうちに切るだろうと、護はぼんやりと考えながら、切り札を切る。

 『アイテムボックス』から「反撃の薬(カウンターポーション)」取り出すとそれを一気に飲み干す。

 ドクンと心臓が鼓動する。そして、体からは痛みの代わりに肩の熱さよりもさらに熱を感じるようになるが、どこか心地良い。意識もはっきりと覚醒した。

 

「何か悪あがきを考えているようですが、もう遅いですよ。」

 

 ゆっくりと近づいてきたドルケが護が「反撃の薬」を飲んだことを特に気にすることもなく剣を逆手にし、振り下ろす。

 

「!!」

 

 ドルケは驚きと共に後ろに下がる。手加減なしの一撃を護は短剣で弾き、無視できない威力の風の刃を首に向けて放ってきたからだ。ドルケは護を警戒する。立ち上がった護の顔は死期が迫った青白さをしながらも、目は猛獣のごとく鋭い。

 

(死ねない。セレスを助けるまでは死ねない!)

 

 護の精神は熱く燃え盛るような体に引っ張られたような状態になる。心地よさはそのままに熱さが支配する。

 

「『ファイヤーランス』『ウィンド』」


 護の周りに炎の槍が六つ七つ現れる。それらは風の魔法を受けてドルケの魔法の倍以上の速さで突き進む。

 

「ひっ!」


 威力の高さに怯えたドルケは水球で相殺しようとする。しかし、消しきれなかった一発を受け、残りもすべて受けてしまう。

 

「いてえぇぇ!」


 ファイヤーランスが、直撃したところは肉がえぐられ、焼け焦げていた。ドルケは『アイテムボックス』から水薬ポーションを取り出そうとするが、護の気迫のこもった咆哮を聞き飲むのを中断してしまう。

 

「うおおお!」


 護の手にはいつの間にか長剣(・・)が握られており、ドルケへ突撃する。その速度は倍以上。ドルケですら出せない速度で護が近づき、ドルケに大きく剣を振り下ろす。

 

「くそっ。『クロススラッシュ』!」


 ドルケが迎撃に技を使用する。十字に切り裂く鋭い斬撃は護の縦の一撃とぶつかり合った。一瞬の均衡の後、護の長剣が折れてしまう。また、ドルケの技も解除される。この時、ドルケは勝利を確信する。護は自身の剣の間合いの中におり、この距離ならまだ勝てると。顔が笑みで歪みかける。

 

(まだだ!!)

 

「『フラッシュ』!!」

「ちっ、目が!『ファイヤーウォール』!」


 魔法を使用した護すら視力を奪う威力で光り輝く。目を潰されたドルケは護が突っ込んでくると思い、前に広範囲でカバーできる『ウォール』を反射的に展開する。

 展開を読んでいた護は突撃せずに剣を再生し、残りの魔力を注ぎ込む。そして、炎の壁が解除されると同時にドルケに全力の横薙ぎを放つ。

 バキンッ!

 受けたドルケの剣が折れ、護の一撃で驚愕に染まったドルケが吹き飛んでいく。窓を突き破り暗闇へと姿を消す。木か何かに派手にぶつかった音がかすかに聞こえた。

 護はしばらく短剣・・を構え、警戒するがドルケが戻ってくる様子はない。

 

(戻ってくる前にセレスを助けないと。)


 体が寒い。さっきまでの高揚感ともいえる熱さは過ぎ去り、いつ倒れてもおかしくない状態だった。薬の効果が切れかかっているのだ。完全に切れる前にセレスを解放することを護は決める。

 護がセレスの元に辿り着くと、セレスは泣いていた。泣いているのが、護がボロボロで見るからに死にかけだからか、それとも犯されかけたからかは護には分からなかったが、

 

「セレス、助けに来た。」


 とだけ告げる。護はセレスの猿ぐつわをナイフで切り、枷は鍵が無いため、強引にナイフを固定している所に入れ、なけなしの魔力と共に力技で外す。外したところで薬の効果が完全に切れた。力尽きた護は、セレスの白い肌に倒れこんでしまう。

 意識が遠のきかける中で護はステータスを見ると、LPが5/132となっており風前の灯状態になっていた。このまま出血で死にそうだ。

 解放されたセレスは死にかけの護に慌てて回復魔法をかけていく。

 

「護さん!!『ミドルヒール・ライト』」


 護は自身のLPが少しずつ回復していくのとセレスの身体の温もりを感じながら、闇に沈んでいった。


 


「ガンドルフ、坊主、見るんじゃないよ!」

「「目がっ~」」


 ガンドルフとジャック、エトリアが大部屋に突入して、セレスと護を見つけた瞬間、その大声と共に杖と光魔法がガンドルフとジャックを強襲した。あまりの早業に両方と喰らってしまい身もだえする。

 その間にエトリアはセレスに近づき、『アイテムボックス』からマントを羽織らせる。そして、護たちの状態を確認する。セレスは衣服が破れてはいるものの怪我一つないが精神的に消耗していた。護は、セレスの回復で傷跡は残っているものの全快しているようだ。今はセレスの膝の上で眠っている。

 まだ眠っている護を起こすかどうか悩むエトリアだったが、かなり寝顔が穏やかだったためそのままにする。

 

「お前たち、もういいよ。」

「咄嗟に閉じたから目に傷は無いが、本気で痛かったぞ。お嬢大丈夫か?」


 エトリアの許しを得て男二人も寄ってくる。ガンドルフはエトリアに文句を言いながら、セレスに声をかけた。

 

「はい…。護さんが助けてくれましたから…」


 セレスはそう答えると、膝の上で眠っている護の髪をゆっくり撫でる。その様子はどこか神秘めいていた。月明かりがさせば完璧である。残念なことに雲で隠れてしまっているが。

 

「すまない。」


 しばらく続いた沈黙を破ったのはジャックである。セレスたちに全員にそう謝った。その一言には重みがあった。

 

「坊主が謝る必要はないだろうよ。確かに団長としては団員の面倒を見れきれなかった責はあるかもしれん。今回のことをしっかり胸に刻んで、次はないようにな。」

「奥さんと娘さんにそんな暗い顔で会うのかね?とっとと、会いに行って安心させな。後、堂々として仲間を引っ張るさね。」

「あの人は怖い…。でも、貴方はそう思いません。」


 三人の言葉を聞いても暗い顔は直らなかったが、雰囲気は少しだけ良くなったようだ。

 

「団長!迎えにきたと教会の馬車が来ていますがどうしますか?」


 団員一人である男が走ってきて、そう知らせる。後ろには聖騎士の一人がついて来ていた。


「ネシーナか。助かる。護を運ぼうにも馬では難しそうだったからな。」

「流石『堅牢』の二人ですね。迎えにきました。」


 女性の聖騎士、ネシーナはそう言うと、護の様子をじっと観察する。体の隅々を確認すると一息ついた。

 

「マモル君がついて行ったと聞いたときは、かなり心配でしたが生きてくれて良かった。かなりボロボロになったみたいですが、生きてますね。弟子が死ぬなんて嫌ですから。」


 ネシーナは護に槍術を教えている。彼女はとあることから出会いよりも鍛錬を選んだ女性で、男比率が高い聖騎士の中では目立つ存在である。鍛錬を優先したため、行き遅れ組に入ってしまっているが。

 

「ガンドルフさん、マモル君を運んでください。こちらです。」

「俺たちもついて行ってもいいだろうか?」

「後片付けはどうするんだ?」

「団長、インワドやドルケの拘束などは俺たちがしておくので先に行ってください。それに奥さんと娘さんに早く会ってあげないと駄目じゃないですか。」

「ありがとう。頼んだ。」

「決まったようだな。」


 ガンドルフがセレスと協力して護を起こさないようにおんぶするとネシーナの後を追う。

 そして、ネシーナが御者台に、荷台には護とセレスが乗った。エトリアとガンドルフは乗ってきた馬で、ジャックは違う聖騎士から馬を借りて教会に戻る。


 

 その道中、セレスはゆっくり走る馬車の中で雲の隙間からの月明かりを頼りに護の顔を眺める。護は眠ったままであり、起きる様子はない。再び護の頭を撫でた後、手を握る。その時護が少し反応して、セレスはおっかなびっくりしてしまうが、ごつごつし始めた護の手の安心感からは逆らえず、握り続ける。

 

(護さんの手…。少し硬いけど温かい…)


 セレスは護の戦いを思い出す。ドルケに対しての恐怖も思い出してしまうが、護の手の温もりがセレスを落ち着かせる。そして心の中が様々な思いで満たされていくのを感じながら更に強く握った。

 

(護さんとは…一週間しか一緒に過ごしていません。でも…ずっと傍に…)


 ほんのりと頬を赤く染めたセレスは思いのままに護の頬に口づけをすると、疲れを思い出したようで、深く眠りに落ちていった。


 

~早朝~


「セレスちゃん、マモル君、着きましたよ…。あらら、寝てますね。」


 朝、教会に到着し、ネシーナが荷台の扉を開くと、お互い寝息を立てて眠っている護とセレスを見る。もちろん、セレスが護の手を握っていることも。

 

(セレスちゃんもそういう年頃ですもんね。物語のような出来事があったから当然なのでしょうけど。はぁ、自分で選んだ道とはいえ一人身は寂しいなぁ。)


 心の中でそう思いながら、ネシーナはセレスを起こすのであった。

 

A:さて、なんちゃってQ&Aを始めるよ。

Q:はいはい。戦闘メイン回その二といった感じですね。でも…

 ガンドルフたち『堅牢』の方は結構詳細を省いてますよね。護の方はマシなようですが。

A:フォーカスすると面倒だったので省いた。(キリッ!)

Q:自慢できませんよ、それは。おいおい期待していますよ。

A:善処しよう。(スピード感重視にするとどうしてもな…)

 後は一章エピローグ、閑話が二話、人物紹介を載せて二章に入る予定です。

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