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The Judge~after story~  作者: PeDaLu
1/6

始まる初休み

高校生活最後の夏休みが今始まる。鏑木たちはどんな夏を作ってゆくのか

「おーい!おーい!鏑木!起きてるかァ!」


「なんだうるさいな……」


「うるさいとはなんだ。今は授業中だ。英語の授業だ。眠っちゃうほど先生の授業は退屈か?全く傷ついちゃうよ……」


===1===


暑い……暑すぎる……。この学校にはなんで冷房がないんだ。


俺の名前は鏑木宣親。高校3年生だ。この授業が終わって期末試験さえ乗り切れば夏休みだ。高校生活最期の夏休みだ。今までで最高の夏休みにしよう。まずはこの眠たい授業を乗り切らないとな。


だが、この街は狭い。主なイベントといえば街外れにある稲荷神社での夏祭りくらいか。まぁ、なんだかんだ言って縁日もたくさん出るし花火も打ち上がるし、なんといっても神楽の舞が見惚れる程に綺麗なんだよなぁ。主に舞ってる女の子が。もうひとりの舞手は男だから興味がない。なんでも今年の男の舞手は今まで誰とも話さなかった根暗なやつ……確か伏見とか言ったかな。まぁ、興味が無いから名前なんで何でも良いんだが、そいつがどうしても今年の舞は自分にやらせて欲しいって願い出たらしい。練習もかなりやるって言うし酔狂なことですよ。まったく。自分が指名されちゃったら折角の高校生活最期の夏休みが台無しになるところだった。


「おーい、鏑木、このあとどうする?期末試験も近いし真面目に勉強でもしちゃう?」


「あー。そうだなぁ。中間試験は散々だったし期末はちょっと頑張らないとなぁ」


「うっそ。鏑木が勉強するって言ってる。明日雪でも降るんじゃねぇのか?」


コイツは新道康介。まぁ、なんていうか親友ってやつになるのかな。いつからかは忘れてしまったが俺はいつもコイツとつるんでる。


「おーい!ウタマロぉ、鏑木が勉強しようって言ってるぜぇ!」


「うっそだろ?あの鏑木が?明日、ヤリでも降るんじゃねぇのか?」


そしてコイツは榊原歌麿。すっげぇ名前だろ。ウタマロだぜ?平安か石鹸かって感じだろ。新道と中学からの親友らしく、必然的に俺とも仲良くなった。俺たちはこの三人でいつも一緒にいる。新道と歌麿は中学時代は野球をやっていたらしいがレギュラーにもなれず、高校は諦めて晴れて帰宅部になった骨のない奴らだ。俺は……ずっと帰宅部だ。ベテランだから中途半端な奴らよりは筋が通ってる。


「お前らなぁ。俺が勉強するってのがそんなに珍しことなのかよ。いつも真面目に図書館で通ってるだろ?」


「いや……、お前いつも寝てるだけじゃんか。夏は涼しく、冬は暖かいとか言って。図書館は仮眠室じゃねぇんだぞ」


「マロのくせに生意気な。ちょと俺より成績がいいからって俺の快適な眠りを邪魔していいってわけじゃないからな。そこのところ、よろしく頼む」


「なんだよ、寝る気満々じゃねぇか……。俺は新道に教えてもらってちゃんと勉強するぜ」


この裏切り者め。俺が寝てる間に勉強するというのか。まぁでも今回の期末試験は気持ちよく終わらせてから夏休みに入りたいしな。心を入れ替えて勉学に励むとしよう。期末の試験範囲知らんけど。まぁ、そのへんは新道に聞けば分かるだろ。


しかし、この街はなんでこんなに暑いんだ。盆地だからか?確か盆地は気温が高くなるとかなんとか聞いたことがある。でもそのおかげで女子のスカートが短いのが最高だ。さらに汗で透けるブラ紐とか俺のために神様がこの街を暑くしてると思えるくらいだ。今日も図書館に到着するまでに4ブラを観測した。なかなかの収穫だ。一方、新道はキャミソールだけ透けてるほうが想像がかき立てられてそそる、とか言ってて俺より変態だと思う。マロはそういうことは言わないけど視線の先は揺れるスカートだからケツかパンチラが好きなんだろう。この変態どもめ。


「おお……やっぱり夏は図書館だよなぁ。冷房最高。ここでアイスとか食べられたらもっと最高なんだがなぁ。なんでここは飲食厳禁なんだ。ショッピングモールのフードコートだって飲み食い自由なのに」


「いや、フードコートだからだろ……。そう言えばマロはどこに行ったんだ?あ。アイツもう陣取ってやがる。しかし、いっつもベストポジションを確保するよなぁ。なんで視線の先に女の子が座ってるのが見える場所を即座にキープ出来るのか」


「天性の才能だろきっと」


やっぱりこの中で一番の変態はマロだと思う。


「しかしなんだ。俺が折角勉強するってんだから、なんか華が欲しいよな。鏑木くーん、ここ分からないから教えて♡みたいなさ。ちょうどあそこに勉強してる女の子が二人いるから誘ってきてよ」


「なんで俺がそんなことをしなっくちゃならないんだ。ここは願いを叶えたい張本人の鏑木が行くべきだろ。ほら、あの子青いブラ紐だぞ。青は至高の一品なんだろ?行って来い」


「へーい。失敗しても笑うなよ?」


かくして俺は人生初ナンパを決行することになった。図書館で女子高生をナンパとか変態の極みだろ。まぁそれはそれとして。なんて声をかければ良いのか分からんな。一緒に勉強しませんか?かな。事実だし。ここはビシッとキメて新道に吠え面かかせてやる。


「あ、あのぉ……もしよろしければ、僕たちを一緒に期末試験のべんきょ……」


「うっわキモチワル。鏑木なにしてんの。もしかして私をナンパしてるの?」


「うっわ霜月……なんでそんな髪型なんだよ。なんでメガネなんてかけてるんだよ。分からなかったじゃねぇか。偽物のポニーテールもどきしやがって。ちょんまげかよ」


「勉強するときに髪が垂れてきたら邪魔でしょうが。メガネかけたほうがよく見えるでしょうが。それにちょんまげってなによ。これのどこがちょんまげなのよ」


最悪だ。なんで霜月がこんなところにいるんだ。俺の初ナンパ相手が霜月……。しかもなんでブラ紐が青なんだ。俺の青ブラ信仰を汚すなちくしょう。でもうなじの上で髪を短く縛ってるおかげで首のラインと青ブラが相まって……。


「先輩、この方、お知り合いなんですか?」


一緒に勉強していた小柄の女の子は知らない顔だ。ツインテール、、じゃなくてなんていうんだあの髪型。ロングヘアを肩あたりで左右ゴムで結んだやつだ。俺の好みは霜月じゃなくてそっちの女の子のほうだ。髪型だけじゃなくて全てが。話したこともないけど。


「ああ、同じクラスの睡眠が大好きな筋金入りの帰宅部員だよ。で?私達になんの用事だって?勉強がなんとか言ってた気がするけど?一緒に勉強がしたいの?鏑木が?あした雪でも降るんじゃないの?」


「お前ら……なんで俺が勉強すると雪だのヤリだの降るって言うんだ。俺だって勉強する時は勉強するんだよ。赤点取ってないのがその証拠だ」


「ギリギリの赤点回避でその自信はどこから来るのよ……。まぁ良いわ。今日は特別。仕方がないから一緒に勉強してあげる。ちーちゃん、悪いけど付き合ってくれる?この鏑木ってバカがどーしても一緒に勉強したいみたいだから。んじゃ、私ら移動するのが面倒だからアンタたちがこっちに来てね」


かくして俺の初ナンパは成功したわけだが。相手は霜月だけど。コイツは中学からの腐れ縁で、いっつも同じクラスにでなにかと俺を邪魔してくるやつだ。顔はそこそこ可愛いのにな。可愛いというより美人ってやつか。絶対にコイツとはそりが合わない。でもまぁ、とりあえず女の子と一緒に勉強するという目的は果たせたわけなので、マロと新道を手招きしてこっちに呼び寄せる。


「うっわ!なんで霜月なんだよ」


「アンタも失礼ね。なんで鏑木と同じ反応なのさ。こんなに可愛い乙女二人が一緒に勉強してあげるって言ってるのに」


霜月はともかく、一緒にいるちーちゃんって呼ばれてた榎本千景っていう子は可愛い。美人じゃなくて可愛い系だ。見知った顔ではないので聞くと2年生の後輩だという。この子はキャミソール派のようだ。新道が嬉しそうな顔をしている。マロは呆れたような顔をしてるが目線はちーちゃんの膝に行ってるのがバレてるぞ。ほら、座り直した。


「で?アンタたちはなんの勉強をしに来たの?」


「えいごー。で、早速なんだけど新道君、今回の試験範囲は何ページから何ページまでかね?試験に出るところはどこかね?」


「アンタいっつも英語の授業寝てるもんね。だから無駄に身長伸びんのよ」


「うるせー。霜月は睡眠が足りないから育たないんだろ」


顔から目線を下に移しながらそう言うなり


「うっさいわね。この変態。それにこういうのはスレンダーっていうのよ」


まぁ確かに霜月は美人だしスタイルもいいけど。男っぽいし女の子にモテるタイプだ。


「先輩たち、仲が良いんですね」


「なんでコイツと!」

「なんでコイツと!」


「ほら、息もピッタリじゃないですか」


「もう、面倒くさいからお前ら付き合っちゃえよ」


新道がとんでもないことを言う。マロは相変わらず視線が低い。やっぱりコイツが一番の変態だ。

次回、夏祭り。どうぞお楽しみに

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