第22話 秋の国 紅江紅葉
紅葉ちゃんの話の続き、遅くなってごめんなさい!
第8話を見返してもらえると幸いです
「初めまして。雪の神、葉葉明也と申します」
彼は葉葉明也。
花舞風吹の実の父であり、先代春の神・花舞胡春の元夫。
そんな男が秋の神・紅江紅葉の前に現れていた。
「対面は初めてですね、秋の紅江紅葉です」
秋の神を訪れた男は乾いた笑みを浮かべた。
「そろそろ返してもらおうかと思い、伺いました」
「そういうことでしたか。しかし、あの子たちは行方がわからなくなっている、と」
「隠蔽ではなく?」
「隠蔽なんて致しませんよ」
はたから見れば意味のわからない会話だろう。
それは2人の過去を知る者でないとわからない。
「第一、あの子たちが秋の国を出てから10年、死んだかもしれません」
死んだ、という言葉に敏感に反応する明也。
「さて、どうでしょう」
「あの子たちはきっと、もう帰ってきませんよ」
「到底2人だけで生きていけるとは思えません。そのうち帰ってくるかと」
「秋にはもう戻らない、と言われました」
紅葉は皮肉たっぷりに言い返した。
* * *
「あやめちゃん、あやめちゃん」
少女がいなくなって1日。
まだ希望はあった。
「あやめ、ちゃん」
2日が経った。
きっと数日で見つかる。今日でも明日でもいい。早く帰ってきて。
「あや、め、ちゃん」
3日が経った。
朝日さんのところにはきてないって。どこにいるの、会いたいよ。
「ど、こ、どこに、いるの…?」
4日が経った。
ひまさんが死んじゃった。全部、全部全部、私のせいだ。私が危険に晒しちゃった。
「あや、め、ちゃ、ん」
5日が経った。
きっと私は朝日さんの人生を壊している。少女はいつまで経っても見つからない。
「会い、た、いよ」
6日が経った。
早く見つかって。今、どこにいるの?誰といるの?
「あ、や、め、ちゃ、ん」
1週間が経った。
元々あの子はいないのではないか。私の記憶は大丈夫?合ってる?
「ど、こ、」
どんどん闇の中に堕ちていく。
もう、誰も助けてくれない。
真実なんてない。
この世界も、実は幻なのだろうか。
夢の中の世界なのだろうか。
頬をつねってみるけど、やっぱり痛い。
この世界は本当にある?
自分は正しい?
あの子は本当にいるの?
たくさんの疑問が頭の中を巡る。
もう、誰も助けてくれはしない。
誰も、あの子の帰還を望んでない。
『あやめは、櫻様の刀です』
『櫻様。あやめ、あやめです。覚えてますか…?』
あの子は嘘だったの?
あの子の言ってたことは正しくなかった?
あの子は存在してなかった?
わからない。
わからない。
わからない。
わからないことだらけのこの世界でわかるのは、自分が生きているということだけ。
お願い、早く帰ってきて。
それで、また言ってね、「櫻様」って。
あの子がいないと生きていけないよ。
秋といえば、が見つからず、「紅江紅葉」という名前になってしまいました。
紅い葉で「紅葉」という名前にしようと思い、いざ打ってみたら「紅葉」と同じ漢字であることが判明。
他に名前が思いつかなかったのでそのままに…。
苗字の「紅江」は、秋にまつわる漢字を調べ、それに掛けて「紅江」になりました。
…ということで読みにくい名前でごめんなさい!
この作品があなたに生きる気力を与えてくれますように。
明月莉婭




