第21話 出会い
ー夏陽、さん…
雨の神・水風湖白は泣いていた。
ー夏陽、さん、
心の中で呼び続けるのは晴れの神・夏陽炎夜の名だった。
「か、よう…さん…」
すると、草木をかき分ける音が聞こえた。
ーにげ…な、きゃ…
足が動かない。
体が動かない。
息ができない。
「だれ…ですか?」
透き通った声が湖白の耳に飛び込んできた。
ーきれいな、声…
そこにいたのは桃色の髪の毛の美しい少女だった。
「どしたの、櫻ちゃん」
後ろから来たのは翡翠色の髪の毛の、これまた美しい少女だ。
「ひとがいるよ、すごくきれいなひと」
「ん〜?どっかでみたことある気がするなあ」
「だれですか?」
湖白は泣いたあとの震えた声で答えた。
「雨の、神の、水風、湖白です」
「あー!湖白さんね〜。思い出した思い出した!」
「あさひさん、どうしますか」
「湖白さんはなんでここにいるの?」
「えっ、と…」
どうにか頭を回転させていい答えを探す。
「襲撃…?されちゃって、夏陽さんのところに行こうとしたら…自転車の充電が切れちゃって…」
「なるほどね〜」
「あさひさん、かようさんってどなたですか?」
「2年前に就任した晴れの神様」
「あ、はれのかみさま、ならわかります」
神達の中で一番就任期間が短いのが晴れの神・夏陽炎夜だ。
「お願いします、こはを…私を夏陽さんのところに連れて行ってください」
* * *
「あっちも襲撃が起こったか…」
「湖白様は騒ぎに乗じて家を抜け出してしまったそうです」
「何が起こってるんだ…」
晴れの神・夏陽炎夜は頭をガシガシと掻きながら渋い顔をした。
「炎夜様、」
上に立つものとして、しっかりしていろということのようだ。
「わかっている」
「わかっていません」
小さい頃かいるこの従者は炎夜のことをよくわかっている。
戦場の中に立派に立つ杉の木のようだと、湖白を評価していた。
ー足がつった
どうでもいいことで頭を紛らわそうとしても無理なものは無理であった。
* * *
「お願いします、こはを…私を夏陽さんのところに連れて行ってください」
恋焦がれる少女は自身の安全より、好きな人を選んだ。
「つれていけない、です」
そう、櫻に言われた時は死にたいと思った。
「はれのほうもしゅうげきだって、ききました。こはくさん、しんじゃったらやだ…」
朝日も口を開く。
「私も櫻ちゃんにさんせーい。危ないから、せめ従者でもいいから連れてかないと。あたしは連れて行くこと自体に反対なんだけど…」
「こはくさん、しんじゃ、だめ。やだよ…」
櫻の言葉は願いそのものに聞こえた。
それでも、きめたことはきめたことなのだ。
「えっと…」
「あぁ、忘れてた。あたしは夏の神、陽虫朝日」
「はるのかみ、はなまいさくらです」
「春の神様、夏の神様、ごめんなさい。行かせてください」
願われても懇願する。
それくらい、晴れの神を慕っていた。
「だから!行ったら死んじゃうの!!わかる!?」
朝日だってわざわざ、死にに行くようなことはしないで欲しいだろう。
「わかります!でも、今行かないとダメなんです!」
それでも、まだ諦めたくない。
「それより従者はどうしたの!?」
死んでもいいから諦めたくない。
「危ないので宮に置いてきました!」
朝日は途端に青い顔になった。
「雨のほうでも襲撃あったんでしょ!?従者はいついなくなるのかわかんないんだよ!!もう会えなくてもいいの!?」
それでも、意見を曲げることはなかった。
「行かせてください!」
「ダメったらだーめ!!」
「今、行かないとダメなんです!」
「今、あなたが死んだら困るのはどっちだと思ってるの!?」
「迷惑はかけません、だから…」
「あなたが死ぬことによって、誰かしらに迷惑がかかるの!」
「でも!」
「けんかしちゃだめです」
討論しまくっていた2人の前に天使が現れた。
PV600回突破!
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